IT企業(死語?)ヘッドウォータース代表取締役の篠田 庸介氏の著書。
日本のSEの現在と未来のあるべき姿を書いていて、技術者だけではなく、全ての日本人ビジネスパーソンにも参考になる話です。
たとえば、SEに必要な力として、以下の7つをあげています。
①リーダーシップ
②コスト感覚
③営業力
④精神的タフさ
⑤組織第一主義
⑥未来を見る力
⑦覚悟
これはSEだけではなく、経営者でも営業職でも同じこと。そして、みなが全ての問題を自分の問題として見つめ、プロ意識を持つことが必要です。
本書ではそれ以外にも、欧米流の個人主義を嫌い、今流行のワークライフバランスをも否定するモーレツぶり。未来のためには自分に厳しく生きなさい。の一言。
勢いのある会社だから言えるのか、それだけ精神的にも強い人がいる会社だから言えるのか、いろんな要因があり、全ての会社が当てはまるとは言えない内容ばかりです。
人を採用する時に、いい所だけではなく、厳しいことも言い、本当にやる気があり、会社の方針に合った人だけを採用することを推奨していますが、大多数の会社ほど、そんなえり好みする経済的余裕や、時間的猶予もありません。多くの会社では、能力の低い人、言うことを聞かない人たちが離合集散しながら、組織を成しているのが実情だと思います。
それでも、一人でも多くの人が、自分に厳しく、人に厳しく、組織に厳しく一致団結すれば、日本企業が世界で伍していけるのは間違いないと思います。逆にそうしないと世界に見向きもされない、古く、小さく、特殊な見向きもされない市場になってしまうでしょう。
また、組織に貢献することが社員の第一優先であり、社内テロリストを一掃し、上司と部下がそれぞれの想いを理解できる会社であることが、会社も個人も成功するための最低条件だと思います。
本書にあるように、日本はちゃんとした教育を受けなくても、SEになれます。競争も厳しいわけではなく、逆にSEが不足している(ということになっているので)、猫も杓子もSEになれます。文系大学出身者だけでなく、高卒でもスナックのおねえさんでも簡単になれてしまいます。ただ、それがSEが使い捨てになってしまう原因であり、相変わらず技術者が軽んじられてしまう風潮になってしまいます。
資源を持たない国、技術立国を再び目指す日本として、最近にわかに科学ブームを扇動するようなテレビ番組も多く見ますが、一方で事業仕分けによる研究開発や子供向け施設の縮小や閉鎖などと迷走する日本の技術開発。
やはり、民間から。しかも小さく若く小回りが利いて、かつ熱い会社が増えてこないといけないのだなと思います。今は少し遠回りしていますが、ゆくゆくは、そういうこと活動に携わり、以前のように若いエンジニアを支え、育てていく仕事がしたいと思っています。そのためにはまずは自分の腕を磨き、心を鍛え、体を強くしていかねばなりません。