hayashi5 blog

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交渉術

2009-04-17 23:54:34 | 書籍

Negotiation

元外務省ムネオ派でお馴染みの佐藤優氏が、外務省時代に、橋本、小渕、森3首相と、鈴木宗男に仕え、北方領土返還のために暗躍した経験を通して、交渉とはなにか、インテリジェンスとは何かを語る一冊です。

はっきり言って、ハードボイルド。非日常で我々民間人がここに出てくるような、文字どおり命をかけた交渉をすることはないでしょう。

また、いくら外交と言う超法規的な世界とは言え、なんでもありのイケイケオセオセの交渉も、映画や小説の中の話としか思えません。(実際、鈴木宗男氏や佐藤優氏はやるすぎたが故に恐れられ、切られたんですが)

ただ、そんな中でも本書から学ぶことは多く、例えば、

1. 交渉術には次の3つがある。
1) 交渉をしないための交渉術
交渉することで確実に損をする時や、相手が明らかに格下の場合は交渉すらしないこと。
2) 暴力で相手を押さえつける交渉術
一方的に要求をのませる時。未開社会や古代の交渉術だが、未だに有効性は失われていない。
3) 取引による交渉術
狭義の交渉術。相手との力関係が拮抗している場合の交渉術。絶対勝利する技法はないが、金銭欲、性欲、権力欲などの相手の欲望を分析することで、交渉を有利に進めることができる。

2. 部下に仕事をさせる時は命令ではなく、お願いをすること。難しい仕事は、部下がよろこんで引き受けない限り、うまくいかない。

3. 自分の金を仕事につぎこんではいけない。仕事が評価され、多額の金を任されるようになると、持ち出した分を取り返そうという気持ちになるが、人間の認識は非対称なので、持ち出したより多くを取り返してしまう。

4. 恩は売りすぎてはだめ。度を過ぎると、相手が恩を返せなくなり、逆に返す必要がなくなると考えるため、一方的になってしまう。過ぎたるは及ばざるが如しである。

なるほど、目からうろこで、確かにそう言われればそんな経験が何度か思い出されたりする。

勝負は水物。我々の日常においては、心に余裕を持ち、相手を分析しながら進めれば、仕事もまた楽しくなるし、成果も上がるものなのだろう。早速、来週身内で試してみよう。