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Time goes by, Life goes on...

2050年の技術 英『エコノミスト』誌は予測する

2017-06-26 23:12:00 | 書籍


エコノミスト誌自らのアナリストやさまざまな分野の専門家が2050年の世界を技術の面から斬る一冊。

目次は以下。

■はじめに 破壊的で大規模な技術の変化「メガテック」

〈第一部 制約と可能性〉

■第1章 日本のガラケーは未来を予測していた
過去、現在、SFで描かれる未来。この3つが2050年を見通すための鍵になる。
15年前、スマートフォンの登場を予測した人々は、日本の女子高生に注目した。

■第2章 ムーアの法則の終わりの先に来るもの
チップの極小化によるコンピュータの高性能化(ムーアの法則)は、原子のレベルに
近づき限界を迎えつつある。だが、そこからコンピュータの発展の未来が見えてくる。

■第3章 第7の波、AIを制する者は誰か?
メインフレーム型コンピュータの第一の波を制したのはIBM。第二の波はパソコン。
その波を制したビル・ゲイツは、遥か未来のAIの登場について当時考えていた。

■第4章 なぜデジタル革命では生産性向上がみられないか?
経済学者のロバート・ゴードンは、産業革命と比べると、今日のデジタル革命では、
生産性、労働賃金、生活水準はほとんど上がっていないと指摘したが、その盲点は?

■第5章 宇宙エレベーターを生み出す方程式
どんな技術が実現可能か。物理学者はその答えを導き出す方程式をすでに手に入れてい
る。タイムマシンや光速を超える情報伝達は実現しないが、老化や疾病は克服できる。

■第6章 政府が「脳」に侵入する
人間の脳はインターネットに接続され、図書館、スーパーコンピュータ、宇宙望遠鏡
と直結する。だが同時に、スパムやマルウエア、ウイルスも一緒に取り込んでしまう。

■特別SF1 傷つく自由(アレステア・レナルズ)

〈第二部 産業と生活〉

■第7章 食卓に並ぶ人造ステーキ
世界人口は約100億人に達するが、食糧危機は起こらない。細胞培養を通じて、多く
の食品が工場で製造されるからだ。牛乳も卵も、生産に生身の動物は必要なくなる。

■第8章 医療はこう変わる
集中治療室での診断情報の解釈から難易度の高い外科手術まで、学習能力をもったAI
が担うようになる。一方、糖尿病、癌などでは予防用ワクチンの開発が進むだろう。

■第9章 太陽光と風力で全エネルギーの3割
太陽電池は透明な軽量フィルムとなり、自宅の窓やカーテンはもちろん、衣服でも
発電が可能になる。原発は先進国では廃炉が進み、中国、インド、ロシアのみに。

■第10章 車は編まれ、住宅は印刷される
3D印刷の市場規模はまだ67億ドル程度だが、2040年には1兆ドルを超える。その未来
を見抜いた中国は、すでに大量生産ラインで活用。建物まで印刷している。

■第11章 曲がる弾丸と戦争の未来
すでに西側のスナイパーの狙撃距離は2475メートルを記録。今後は、空中で軌道を
修正できる弾丸の開発で、照準線の向こうに隠れている敵を狙撃できるようになる。

■第12章 ARを眼球に組み込む
誰もがスマートフォンの代わりにARメガネを使いはじめる。街からは看板や信号が
消え、他言語はリアルタイムで翻訳。その技術はやがて眼球自体に取り入れられる。

■特別SF2 博士の救済(ナンシー・クレス)

〈第三部 社会と経済〉

■第13章 人工知能ができないこと
AIがわれわれを超える知性を持つことを心配する人は多い。しかし、アルファ碁は
対局の最中に火災報知器が鳴り響いても、次の一手を探しつづけるだけだ。

■第14章 プライバシーは富裕層だけの贅沢品に
コンピュータはすでに医師よりも正確に乳癌の発症を予測できる。だが、その認識パタ
ーンは膨大かつ曖昧で、人間の理解を超えている。ゆえに因果関係の把握は不可能だ。

■第15章 10億人の経済力が解き放たれる
アフリカでは農民のほとんどが女性である。市場価格を知らない彼女たちは、業者の
言い値で取引し、貧困状態にとどまっている。彼女たちを救うのはスマートフォンだ。

■第16章 教育格差をこうして縮める
中産階級の子供が最初の2年で親から語りかけられる言葉の数は、労働階級の子供と比
べて数百万語多い。幼児教育から始まるこうした格差を、技術の力でいかに埋めるか。

■第17章 働き方は創意を必要とされるようになる
私たちは現在、毎日150回以上携帯電話を確認し、メッセージ等の通知に10.5秒に
1回の割合で作業を中断させられている。こうした働き方はいつまで続くのか。

■最終章 テクノロジーは進化を止めない
「産業革命は蒸気電力の開発から始まった」。実は、これは誤解である。技術の誕生は
革命の結果に過ぎず、原因ではない。今も昔も、テクノロジーに意思などないのだ。


見ての通りの、今話題の技術からの2050年の世界を予想する内容。目次を見るだけでも、勉強になります。

本書の面白いのは、エコノミスト誌の科学担当、経済コラムニストなど自社のライターから、MIT教授などの学者や起業家など民間からも寄稿されている点。なお、15章はビル・ゲイツの奥さんでビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同創業者で共同会長のメリンダ・ゲイツさんの寄稿です。

各章にはまとめがあり、それをみるだけでも勉強になります。

AIをはじめとしたすでに実用化されたものから宇宙エレベーターや曲がる弾丸などSF的な(しかし本気で開発をしている)ものまで多岐に渡ります。

2050年と言えば、今から33年後。まだ生きているとは思うけど、現役ではないだろうから、どこまで未来を見届けられるかわからないし、そもそもここに書かれた内容(ある程度今の時点で予測している技術や社会)は、その時にはもう古い技術になっているのは確かだと思います。でもこういう予想は面白し、大切なことだと思います。そしていろいろな技術は、出来る限りの平和利用してもらいたいなぁと思います。技術には必ず負の局面があるのは仕方ないことですが。


三菱みなとみらい技術館

2017-06-24 16:43:00 | Tokyo
Responseの記事でみたみなとみらいにある三菱重工の展示館を見に行ってきました。陸海空の働く乗り物です。



新交通。戦前は機関車とかもつくっていたそうな。



しんかい6500。僕らの時代は2000でしたね。







そして、MRJ。フライトシミュレータは大行列でした。



ロケットのエンジン。宇宙にも進出。



航空機や船舶は、残念ながら模型だけでしたが、いろいろ作ってますね。

これ以外にも、原子炉や火力発電なども。いろいろやり過ぎてて大丈夫なんかなぁって思ってしまいますね。


カムカムミニキーナ 「狼狽 ~不透明な群像劇~」

2017-06-22 22:30:00 | Tokyo
カムカムミニキーナ2017年公演@芸術劇場です。





ゴーストライターと狼とダムに沈んだ町を背景に相変わらずの意味のわからないお話でした。

相変わらずのみなさんのエネルギーでした。叫びすぎてなんって言ってるかわかんないけど(笑)。

芝居だけじゃ食っていけないだろうに、情熱はすごいよなぁ。

次回は、11月にダイナリー再演だそうです。

年内関東シリーズ

2017-06-14 21:30:28 | run
今日は横浜マラソン抽選発表。一般は倍率2.7倍だったのですが...



見事に落選でした。

仕方なく他をさがしてたところ、5月22日受付開始で先着順の埼玉国際マラソンがまだ受付中。

早速申し込みました。

当初見込みよりレース間隔が1ヶ月から2週間となってしまいましたが、頑張ります。

アカデミーヒルズ「我々にとって理想とは何か:ポピュリズムや孤立主義を超えて 」

2017-06-12 20:54:36 | 学問
久しぶりにヒルズに聴講にきました。



スピーカーは、社会学者、紛争調停人 ヨハン・ガルトゥング博士とTeach For America 創設者 ウェンディ・コップさん。

ガルトゥング博士は、今回「日本人のための平和論」を出版されたそうで、そのプロモーションを兼ねた来日のようでした。但し、今朝スペインから飛んできたのでお疲れなのか、ご自身の話(主に本の要点)とファシリテーターの米倉さんとのいくつかのやりとりの後、帰っていかれました。なお、通訳は奥様(日本人)でした。本の要旨は4点とのこと。
1) Solving conflict
2) East Asian community HQ in Okinawa
3) Defensive defense
4) Independence

ただ、例えば1個目の紛争解決のために、尖閣を日中で共同保有する何て言うのは、現実的ではないし、国民感情が許さないなぁと感じることが多々ありました。本を読めば分かるのかな?

ただ、9条改正や自衛隊の軍隊化などは冷静冷静に見てるなぁと思いました。そして米倉さんと違って安部首相肯定派でした。

ウェンディさんは、アメリカでTeach For Americaという教育プログラムを28年も前に立ち上げた方。大学卒業時に立ち上げたそうなので、(女性の年齢の話をするのもなんですが)、50歳には見えない若さとエネルギーを感じました。もともとアメリカの教育レベルの低さを改善し、次の世代を育てるために始めたプログラムで、大学で高度な教育を受けた人を募り、2年間のカリキュラムを経て、公立学校やコミュニティの教師を送り教育の質を向上するもので、実際にワシントンDCなどでは一定の成果をあげているそう。

今では日本含め45ヵ国にTeach For Allとして展開しているそうです。当時、資金集めにためにロス・ペローに資金援助を求めたり、有志を集めるためにアメリカを車で回るなど大変だったそうです。28年前と言えば、インターネットもまだ世に出ていない時代。

Teach For Japanも9年くらい前に立ち上げたそうですが、まだ教員は65名程度。日本は教育は公的なものという意識が強いからでしょうか、資金的にも人材的にも苦労されているようでした。

お二人とも違った側面から世界を良くしようとされている方で、方法論、アプローチは違えど、少なくともその意志は明確で勉強になりました。特に海外の方なので、英語での異業種スピーチ聴講という機会も含め、いい体験でした。



プリューゲル「バベルの塔」展

2017-06-10 15:41:00 | Tokyo
久々に美術館へ。いま話題(?)バベルの塔を都立美術館に見に行ってきました。

ボスやバベルの塔を制作したプリューゲルらが生きた1400~1500年代のネーデルランド(今のオランダとベルギーあたり)地域の宗教画を中心とした展覧会でした。







プリューゲルのバベルの塔は初来日らしく、たくさんの人で、見終わって美術館を出る頃には入場規制をしていました。若い人も多かったです。

ただ、キリスト教徒じゃないので、それぞれの作品がどのような場面や背景なのかわからず、それがわかるともっと興味深いんだろうなぁ。そういう意味では、バベルの塔も旧約聖書に出てくる世界的にも有名な話であり、有名な絵画なのでしょうが、ダ・ヴィンチやゴッホの作品のような一般受けする展覧会に比べれば、見に来る人も少なめでした。

ただ、プリューゲルの彫版画は精巧でぶっとんでておもしろかった。

セキュリティセミナー

2017-06-06 16:39:00 | 学問
今日は秋葉原でサイバーセキュリティのセミナー。

ZDNet JapanとTechRepublic Japanがメディアスポンサーで基調講演と講演2つ、特別講演の4つのセッションです。



講演者は、順に東京電機大の佐々木良一氏、vmwareの楢原盛史氏、ソフトバンク コマース&サービスの増田立夫氏、S&Jの三輪信雄氏。

普段の仕事からは今日のような話はなかなか聞けないので(一応、制御システムのサイバーセキュリティの議論はありますが)、世の中のトレンドのついていけてないことを痛感。

世の中、やっぱり餅は餅屋。ですが、基本的にオフィス等のPC環境についてがほとんどで(全員がWannaCryについて話しました)、産業系、制御系については皆無でした。つまりそれだけ遅れてるってことなのだと思いました。

たまにはこういうセミナーも技術を知って拡げる意味でも大事ですね。自分の仕事がいかに硬直化しているかもよくわかります。