米大統領トランプが
「批判されるばかりの記者会見」をやめて、直接その場では非難されることがない「短いツイッター」を乱発して意見を発するようになり、他の首脳にも流行となりました。
しかし、これが「動かぬ証拠」となり、大統領弾劾のための有力な証拠の1つになるだろうとは、実に皮肉なものですね。
まだまだ記者会見のほうが「あとでいかようにもごまかせたので、マシだった」という歎きの声が聞かれそうです。
トランプもまた、ユダヤ教徒の娘夫婦に因んでエルサレムの歎きの壁(こちら)にたたずみ、公約にかかげていたのでしょうが、大統領に当選して1年後になってようやくエルサレムに米大使館を移動する準備を命令したようです。しかしこれが、当事者同士の話し合いさえ軌道にのっていない段階でしたから、「致命的な暴力騒ぎ」をもたらしました。
トランプの長女の夫はユダヤ教徒。宗教対立に安倍首相も巻き込まれる?:週刊朝日 2017年2月17日号←リンク切れ
このころ既にトランプは、公約にかかげていた大使館移動を考えていたようです。都合のいい「かつての公約」は実行しようとするのですが、不都合な「そのごの言葉」はすぐに否定します。
誰が中東の混乱を引き起こしたのでしょうか。誰もが認めるその1つがイスラエル建国でしたが、それまでもみられた紛争をいっそう複雑にし過激派やそれを利用しようとする国を生みましたが、拍車をかけたのがこのトランプ公約でした。
トランプにとって、アメリカの銃社会の大混乱に比べたら、中東問題など大したことがなさそうですが、世も末ですね。
米、エルサレム首都認定 大統領選公約を優先
ドナルド・トランプ米大統領は12月6日、エルサレムをイスラエルの首都と認定すると発表した。:newsweek 2017年12月7日
これは「便利な道具は、身を滅ぼす道具にもなる」「一方の人を狂喜させると、他方の人を憤激させる」という見本ですか。
- 直接の非難を受けることになる記者会見の代わりにツイッターを利用し始めたのですが、逆にこれが動かぬ証拠となるとは。
- 携帯端末機が普及し便利な社会になったものの、販売者側の都合で、身元確認しないまま販売したため、振込め詐欺に利用されました。
- 誰でもが発信者になれるという画期的な時代が到来したけれども、ニセ情報をまき散らす同士が急増したため、従来からの情報発信者もより信頼性を得なければならなくなったのです。
- 一部では収穫が増え収入が増えたけれども、多くが廃業に追い込まれただけでなく、農薬被害で体調を崩したり奇形児が生まれたり、さらには遺伝子操作した作物が増えこれをエサにした家畜が殖えてどういう悪効果があるかわからないまま金儲けに走る人たち。
- 人を殺傷する目的で開発された核爆発・核融合を利用した兵器のもとをとるために発電に応用しようとしたけれども、その応用が先走って「無害化」などいつのことやらわからないまま。
米アラバマ州の位置
このアラバマ州で先日(2017/12/12)
米連邦上院の補欠選挙がありました。
いままで共和党が優勢な地域でしたが、僅差で民主党が議席を獲得し、1年後の中間選挙でどうなるか分らなくなりました。
米連邦上院の定員は「100」で
選挙前の共和党は「52」だったので、今回の選挙によってまだ「51」とかろうじて過半数を得ているようです。
米アラバマ州の上院補選、民主候補が勝利 トランプ政権の議会運営に暗雲:afp 2017年12月13日
民主党ダグ・ジョーンズが共和党ロイ・ムーアに勝ったようです。
20年以上共和党の地盤でしたが、疑惑の最中にあった元アラバマ州最高裁長官の共和党ムーアが予想通りまけたので、応援していたトランプにも大きな痛手だったのでしょう。
米アラバマ州上院補選、トランプ氏が民主党候補に祝意:ロイター 2017年12月13日
一応共和党のトランプが、皮肉を込めて、勝利した民主党候補を誉めたようです。
米共和党の亀裂深刻=補選敗北、中間選挙に影:時事 2017/12/17
この記事では
選挙の応援に関して、共和党内部での分裂があったと伝えており、政権をあとにしたバノンが執行部に不満をもっているとしています。共和党では、主流派と反主流派の対立が激しくなっていたため、上院としては民主党が25年ぶりに共和党の保守州アラバマで勝ったようです。
バノンが原因で負けたのか、それともバノンを切れないトランプそのものが原因で負けたのか、私には分かりません。
こちらによると、アラバマ州から連邦議会へ選出している議員は
- 上院へは2人の共和党員
- 下院へは6人の共和党員・1人の民主党員を選出
かつては民主党が完全に独占していたけれども、1994年ごろから共和党がほぼ独占し、それが今でも続いているようで、その一角が今回の上院補選でくずれ、民主党に1人を送ることになったのです。
しかしながら、貧しいことで知られているアラバマ州では、こんな問題もあるようです。
アラバマ州の貧困は先進国で最悪──国連:newsweek 2017年12月14日
アラバマ州バトラー郡の集落で国連特別報告者が調査中に、「各家庭から排出される未処理の汚水が、野ざらしになった排水用塩化ビニル管を伝って側溝に垂れ流されていた」としています。これが原因かどうかはわかりませんが、寄生虫の感染症が流行したのは、アフリカの衛生状態が悪い地域と似ていると言います。
気になったので「アメリカ地域ランキング」 で調べてみました。
これによると、「アラバマ州」に関しては次のようになっています。
極めてよい特徴
一次金属製造業従事者の割合・・・・・・全米州比較で2位
繊維製品製造業従事者の割合・・・・・・全米州比較で2位
紙製品製造業の年収・・・・・・全米州比較で2位
死因にしめるがんの割合・・・・・・全米州比較で47位
死因にしめる乳がんの割合・・・・・・全米州比較で47位
極めて悪い特徴
人口にしめる労働力人口の割合・・・・・全米州比較で48位
人口10万人あたりの侵入盗件数・・・・・全米州比較で3位
死亡率(2011年7月~翌年6月末)・・・・・全米州比較で2位
家具・食器店の被雇用者の年収・・・・・全米州比較で最下位
社会福祉業従事者の割合・・・・・全米州比較で最下位
金属・繊維関係の就職率や死因に占めるガンの割合がよさそうですが、盗み・死亡率・家具従業員の年収・社会福祉従業員の割合が全米で最悪状態です。
全体的に言えば
治安や福祉関係で不十分と見られ、ガンの割合は少ないけれども、低賃金で製造業に多く従事しているようです。
グローバル化で儲かる米超富裕層の裏で、こういった人たちがいるのがアメリカの実情でした。トランプはこれらを無視し、オバマ同様に一部の層だけに特化して、支持を得ようとしています。
歴代大統領のなかでは
できのわるい大統領が続いたこともありますが、前大統領オバマは比較的レベルの高い人だったように思います。オバマが外交でも比較的いい成果を生み、内政でも国民皆保険を試みたのはよかったとしても、一部の富裕層だけを富ましていたようで、残念ながらアメリカ人全体を把握できていなかったようです。
しかし新しいトランプは、その国民皆保険さえ廃棄しようとし、さまざまなトラブルをおこし、内政・外交でも、レベルが低すぎるとしか言えません。
事件や事故が起るたびに
日本のみならず世界の地理に詳しくなっていきますが、このアラバマ州の選挙結果がこれからどう影響するのが、注視していきたいと思います。
さてさて、皆様はどう思われますか。