カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

プライバシーとは

2014年09月02日 13時03分45秒 | 生き方

私がみるところ

  • 「自分だけの秘密」は許さない
  • 個人の「すべての考え」は共有すべきもの

という規範がいきわたった社会は、どうも危ないようです。

そういう世の中は

「正直を装いながら、平気でウソをつく」という二重構造社会になりやすく、社会をどうよくするか、の議論の芽が摘まれる恐れがある、

ように思います。

「本当の気持ちとは別のうわべの人間を繕う」よう要請された社会に住んでいると、きっと疲れ果て、その反動で誰かに八つ当たりする日常になりそう(笑)。

そして、「秘密をもたない」よう強制される社会では、本来の自分を偽ってもいい、と全員が認めているようなもの。

密告〔でっち上げが多いが、事実もあるらしい〕で知人・友人を裏切る国民を中国共産党政権が優遇していますが、民主社会ではあり得ないこのような

密告者優遇制度(もちろん非公式)は、独裁政権だからこそ成り立つし、独裁政権が存在する為に必要

なのです。

これでは、まるで日本の江戸時代のようで、徳川幕府に逆らいさえしなければ結構自由だったという人がいるように、今の中国でも、中国共産党に逆らいさえしなければ結構自由なのです(笑)。

よって、本来の自分をそのまま表現すると、どんな悲劇が待ちかまえているかわからず、必然的に自分自身を偽らねばならないのです。

最終的には国民が家族以外の誰も信用できなくなってしまうのでしょう。いや、親や子という家族でさえ、いつ寝返って裏切るかわからない!

密告とか人を売る行為が常態化すると、

どのような息苦しい世の中になるか。

「覆い隠すことなく、なんでも言わねばならない。もし言わないと迫害や差別がまっている」となると、もう最悪の事態に陥るでしょう。

 

ここで「プライバシー」という言葉が登場します。

 

中国にプライバシーに相当する意味の漢字語「隠私(インス)」ができたのも、わずかここ数年の間のことだ。 :P.218-219 金文学著/蜂須賀光彦訳「中国人民に告ぐ!」祥伝社黄金文庫 平成22年(2010年)11月30日第10刷発行

やはり中国にはプライバシーそのものが、存在しなかったようです。中国語で「隠」という言葉には、どんな意味があるのか、わかりませんが、これが法的に確立するのは相当先のことではないでしょうか。

KEIKAのチャイナROOMでは

隠私 プライバシー
隠情 人に言えない事情

としていますが、公と私のようにも見え、どうも境界がはっきりしません。私は、「人に言えない事情」も「プライバシー」でいいのではないかと思います。


プライバシーは、個人の家庭でも守られず、その家庭自体、家族たちが境界を定めることは難しい。グループ内部の様々な人たちが入れ代わりたちかわりやってくるし、別の家族が何かの用事で毎日のように立ち寄ることも決して珍しくはない。人々は互いに家庭を訪問しあい、会食、縫い物、アイロンかけ、洗濯などをする。ときには泊まっていくこともある。 :P.20 サニア・ハマディ「アラブ人とは何か」 明石書店 

アラブでも「プライバシー」は一般的な言葉ではなさそうです。そもそも個人そのものが存在しないのかも知れません。

イスラム教には、大きくわけてシーア派とスンニ派というのがあるらしいのですが、それぞれの中で無数の流派があるに違いなく、これが「個人」が発達しないこととどういう関係になるのだろう、と疑問は増すばかりです。

「個人」が存在しないという社会では、全体主義が発達しそうですが、過激派イスラム教徒を押さえることができない、むしろ過激派を奨励する人も少なくない状況をどう理解するか、難問ですね。

西洋社会と中東社会では、2000年程度の異質なようで同質の歴史に縛られていて、私などには違和感が多すぎます。このような一神教が、絶対に相手を許さないという混乱する現代社会社会の根源にあるのではないか、と思うのです。

「個」を異常に尊重しすぎる社会も、「個」が認められない社会も、うっとうしく、どこかに、ちょうどいい段階があるはず。こうしてやがて「個」の意味が変質してゆくのでしょう。

もちろん私は、今の日本の流儀が最高だ、などとも思っていませんが(笑)。

 

近所に住んでいる姑(台湾人)が電話もよこさず、呼び鈴も鳴らさず合鍵を使って突然ウチに入ってきて、買ってきた魚や野菜を冷蔵庫に入れてゆく時。つまり家族関係がとっても濃いんです。向こうが好意でやっているのはわかっていても、プライバシーがなくなってしまったようでつらいです。そういう時は、メルマガ上でお笑いネタにする、同じく台湾人と結婚した日本人に愚痴る・・・の2本立てで気晴らししています。:高田亜季 2004/1/23 melma! ニュース

この手のニュースを聞くと、台湾のみならず、日本でも「あるある」という声がわき上がりそう。こんな行動を取る人は、日本にもうじゃうじゃ棲息しておりましたが徐々に絶命危惧種になりつつあるようです。さて台湾では、その傾向がないのでしょうか。

 

ユーザーの知らぬ間に「追跡コード」も印刷 

米国の非営利団体、電子フロンティア財団(EFF)は、米ゼロックス社製のプリンターが印刷する、実眼では見えない“追跡コード”の解読に成功したと発表した。EFFはこのコードの存在を7月に発見、米当局は紙幣偽造など犯罪に使われたプリンターを特定するための追跡コードであることを認めていた。 

 米国の非営利団体、電子フロンティア財団(EFF)は17日(米国時間)、米ゼロックス社製のプリンターが印刷する“追跡コード”の解読に成功したと発表した。紙幣偽造などを防ぐためのコードで、同社は政府機関以外には解読できないと説明していた。 

 EFFは今年7月、ゼロックスのカラーレーザープリンター『ドキュカラー』が印刷した面に、プライバシー侵害の可能性のあるコードが刷り込まれていることを公表した。直径1ミリ未満の小さな黄色いドットが15行×8列の格子状に並んだもので、拡大鏡か、ドットを浮き立たせる青い光がなければ目に見えないという。 

 その後、米財務省秘密検察局(シークレット・サービス)が、このドットが犯罪に使われたプリンターを特定するための追跡コードであることを認めた。プリンターを悪用した紙幣偽造を防ぐため、政府機関が特定のメーカーと契約して製品に組み込むよう要請したものという。 

 EFFは、こうした追跡コードがユーザーのプライバシーを侵害する可能性があると主張し、ゼロックス社は、政府機関以外には解読できないと説明していた。しかし、同団体の研究者がドットを分析して解読に成功し、プリンター機体製造番号と、印刷した日時を示していることが判明したという。EFFはあらためて、プライバシー懸念を表明している。 

 EFFは、他の大手メーカー製のプリンターについても調査し、疑いのある黄色のドットを印刷する製品のリストをウェブサイトに掲載している。:高森郁哉/Infostand 2005年10月20日


多くの国家犯罪の典型は、ただし法治主義国家での話という条件付きなので中国やロシアなどは除外されますが、法律が設定されるまでに国家がおこしたがる抑圧に見ることができます。

カラーコピー機による偽札の印刷犯罪を摘発するという意図があるのでしょうが、これらが「国家による国民の監視」につながらないかどうか、見極める必要がありそうです。

この監視を認めてしまうと、ロシアや中国のような惨めな国家社会になってしまいます(笑)。

ここでは

    • 新しい技術は、必ず新しい犯罪を生む
    • 新しい犯罪を絶対に許さないとする国では、新しい技術が生まれない

という矛盾をみることができそうです。

 


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