カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

年間投球数〔日米投手比較〕

2014年07月26日 04時52分39秒 | スポーツ

先日、MLBテキサス・レンジャーズ所属のダルビッシュが中4日のスケジュールは厳しすぎる」と述べました。詳しくは、文末の引用を御覧下さい。   

これが私の従来の考えに一致しており、当然ながら好感度となりました(笑)。

それを裏付けるように、MLBへ渡った日本人投手の何人かが故障で投げられない事態に至っております。今年2014年に楽天からヤンキースへ移籍した田中将大もその一人で、「中4日」のほかに理由があるかも知れないことは承知しております。 

大きな故障がない 

      • ダルビッシュ(北海道→ATL)
      • 岩隈久志(楽天→SEA)
      • 黒田博樹(広島→LAD→NYY)
      • 田沢純一(BOS)
      • 井川慶(阪神→NYY→オリックス)

故障経験あり 

      • 田中将大(楽天→NYY)
      • 上原浩治(巨人→BAL→TEX→BOS)
      • 藤川球児(阪神→CHC)
      • 和田毅(福岡→BAL→CHC)
      • 川上憲伸(中日→ATL→中日)
      • 松坂大輔(BOS→CLE→NYM)

多くの場合

    • 日本では「中6日(7日に1回登板)」
    • MLBでは「中4日(5日に1回登板)」

とされます。

1試合での投球数を100球前後とするMLBのほうが一見して投手にとって都合がいい、と考えられていますが・・・・・・ 

ダルビッシュは、これに対して「そうではない」、と言ったのです。  

これもMLBで成功した人だけに許された発言でしょう。MLBで勝てない投手が同じことを言えば、負け犬の遠吠えとしか受け止められない。


簡単な計算ですので私もやってみました。  

数々の変遷がありましたが

    • 日本の年間試合数が144
    • MLBの年間試合数162 多い

を前提とします。それゆえMLBでは1試合100球という制限目安を設定したのですが・・・・。 

 

平均投球数を、日本が120、MLBが100とすると、年間投球数では、日本の投手は試合数が多いMLBの75%。これになれた日本の一流投手がMLBで故障するのは、文字通り投げ過ぎなのでした。

ただし練習でたくさん投げてから試合にのぞむという日本の風潮があるため、この結果はいくぶん緩和されるかも知れません。

いっぽう日本の投手がMLBと同じ3200球を年間に投げるとするなら、1試合で160球を投げることになり、これは先発からずっと延長戦を投げ続ける数値であり、実際にはあり得ないでしょう。

もしここに試合前の練習40球を加えるならば、120+40=160 とほぼ同じ結果になりますが、この場合はMLBの場合の試合前の練習球を数えていません。

では試合前の練習の球数を加味して比較してみましょう。

この表は、

    • 日本で試合前に88球、試合で120球投げた
    • MLBで試合前に30球、試合で100球投げた

日本でここまで投げると、両者の年間投球数が同じになることを示しています。ただし両者とも、登板日以外での練習を除外しています。

ところで実際の完投率はどの程度でしょうか。ダルビッシュと田中将大について日本での完投率を調べてみました。いずれもWikipedia調べ。

興味深いことに、7年間の日本での完投率は、7年平均でダルビッシュと田中将大では、両方とも32%と31%でほぼ同じでした。

ということで上の投球数の表で日本では120としておりますが、これは多すぎるようです。もう少し少ないと仮定する方が現実を反映しているようです。

 

最後に少し訂正しました。

日本では、少々試合前に少し練習投球が多い(66)としましたが、これでも年間ではMLBの80%に過ぎません。

いかにMLBの試合数が多いかがわかろうというものです。もちろんここには、個人での投球練習は含まれていません。

 

こうしてみると

簡単な計算だけでしたが、この結果、「中4日」の1試合100球制限は、投手保護とは言えない、まっかな偽りであることがわかります。

ダルビッシュが「中4日」は短すぎると発言した意味がおわかりだと思います。 

MLBが

商売上の理由で、球団の数を増やし、必然的に試合数を増やしたならば、「中4日」に見合うだけの投手陣をもたねばならないことを示しています。

一刻も早くこれに気づいて改善するよう望んでおります。

日本の投手マウンドと比べて固い、ボールの縫い目がどうのこうの、言葉のかべがある、などというのは、なれるまでは大変でしょうが、根本的な理由ではないと思われます。

MLBでは、とにかく先発投手陣を、あと1~2人増やして、投手の登板間隔を広げることです。「中5日」になれば素晴らしいし、故障で先発陣が減ることも考慮して「中6日」の枠にしておけば、最高です。

 

もう一つ考慮しなければならないことがあるとすれば

それは日本の高校での投げすぎでしょうか。

もしも4000校が参加する勝抜き戦〔その1 その2〕で甲子園出場までにどれだけ投げ続けなければならないか。

近年では高校野球でも複数投手をもっているところが増えているようですが、厳密な管理が必要なのかも知れません。地域によって参加校数が異なりますが、単純計算だと、6連勝は必要です。強いところでは3人の先発投手を用意しているかも知れませんが、練習試合などを含めると一人の投手で膨大な数の球を投げているのでしょう。

最終的には

    • 20歳前に投げすぎる日本の投手
    • 20歳後に投げすぎるアメリカの投手

ということになるでしょうか。食べ物の違いもあり、様々な要因がからんでくるため、もちろん簡単に結論を出すわけにもいきませんね。

 

最後に、元となったダルビッシュの発言を引用しておきます。  

 

ダル、中4日は「短すぎ」 相次ぐ肘故障に持論 

 米大リーグ、レンジャーズのダルビッシュ有投手は14日、オールスター戦を翌日に控えた記者会見で田中将(ヤンキース)ら肘の故障が相次いでいる主因の一つに中4日の登板間隔を挙げ、「絶対に短すぎ。中6日あれば(肘の)炎症は取れる」と、先発枠を5人から増やすことを提言した。 

 スプリットの多投が故障の一因に挙げられているが、「スプリットぐらい(握りが)浅ければ(負担は)ツーシームと変わらない」と否定。「もっと(球界全体で)議論しないといけない」とも語った。 

 公式球についても「滑らなきゃいいだけの話」と言及し、日本プロ野球のように握りやすく、ばらつきの少ない球の使用を理想とした。また、トレーニングは背部や下半身に重点が置かれすぎているとし、「球速は上がるけど、(肘を)プロテクトできない」と指摘した。(共同):産経デジタル 2014.7.15 11:22

 

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加筆:2014/07/26 16:28

これを書いた3時間後くらいに、次の記事を発見しました。 


マー君の故障 米では原因を日本での投げ過ぎに求める声強い

NEWS ポストセブン :2014年7月26日(土)7時6分配信

 

この記事で

アメリカでは「日本の投げすぎ」ととらえる声が強いとしておりますが、こんなのは、簡単に変わる可能性があり、信頼性は低いと思います。

公平なのは、アメリカ出身の投手の故障率を公表することで、それを各国で比較することでしょう。

外国出身の力士が日本で大成せずけがをして廃業した場合の原因を探るのはつらいものですから、母国での成長過程に問題があったのではないか、と考えた方が楽なんですね。日本の相撲界の徒弟制の何かに問題はなかったかどうかを考える勇気が必要でしょう。

MLBの世界でも金儲けに撤して試合数を増やしすぎ、結局投手にしわ寄せがきているので、ダルは投手陣を増やせと言っていて、暗に投げすぎを批判しているのです。

やはり日本では若い頃に投げすぎ、アメリカではMLBで投げすぎ、なのでしょう。

私としては

「食べ物の違い」から体の構造が異なってくることも示唆しております。同時に日本では若い頃に投げすぎているとも指摘しています。

そうならば、ドミニカ共和国で若い頃の投げすぎがあったか、なかったか、そして故障率は、となってきます。

どこの国でも、野球でもサッカーでも相撲でも

若い人が過酷な戦いを勝ち抜いて一流になるわけですが、成長時代の過激な鍛錬に負けてしまいその99%以上が別の道を選んでいると思われます。そして私たちは残った1%の人たちについて、その故障の原因が何であったかを議論しているわけですね。

本当に必要なのは

けがでその道をあきらめた99%の人のけがの原因に接近することで、これは日米問わず、やらなければならないことです。アメリカの有力投手がやはり投げすぎで道をあきらめたことはなかったかどうか、慎重な研究が望まれます。

何十億円という金額に目が眩んでしまい、腕の腱の手術など何でもない、と考えるのでは、これからも無数に故障者を生むことにつながり、危険でしょう。

 


 



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