カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

中国の「統治」

2014年10月28日 05時43分24秒 | アジア

前の記事〔中国「四中全会」の怪〕で

各新聞社のサイト内検索を用いて比較したところ、おもしろい結果が出たということをご紹介しましたが、今回はこの会議のニュースについて。

中国系以外は、

各社とも懐疑的な(これは正しい)見方も添えて発信していました。

中国系のメディアはすぐにわかりますね。

「世界が高く評価している」

「世界が注目している」

などとでっち上げの記事を書くからです。ふつうにやれば、ばれないのに、ね(笑)。

少し引用してみましょうか。


中央委員会第4回全体会議(四中全会)に関する各紙ニュース



中国と法治―誰のための改革なのか

 中国共産党の最高指導機関である中央委員会の第4回全体会議が開かれた。4中全会と呼ばれ、主要テーマは「法にもとづく国家統治」だった。

 行政や司法の信頼性を高める改革は歓迎すべきだが、そこに込められた真の狙いは、共産党の一党支配をより強固にすることとみるべきだ。

 発表されたコミュニケは、法体系のいっそうの整備、人材育成などを含め、幅広く課題を挙げている。中国の問題状況を直視したものと言っていい。・・・・・・

だが、この法治をめぐる改革は、党中央が地方の隅々まで統制しなければならない、という点にそもそもの目的がある。コミュニケは「党の指導の堅持」を繰り返し強調している。

 では党中央は、つねに清潔で正しいといえるのか。それはどう担保されうるのか。その答えは示されていない。・・・・・・

 前例のない反腐敗キャンペーンは、党の自浄能力を示すとしている。だが、それはむしろ、最高指導部の権力が腐敗と結びつきやすいことを物語る。・・・・・・

 疑問はまだある。習氏は一昨年の演説でも「憲法にもとづく法治」をうたった。しかし、憲法に明記してある諸権利の保障を訴える市民を次々と拘束し、投獄している現実をどう説明するのか。

 一党支配システムの堅持と、真の法治はそもそも両立しえない。いまの中国が抱える矛盾の根源はそこにある。

:朝日新聞デジタル 2014年10月25日02時03分


皆さんは信じられますか。

あれほど中国共産党べったら漬けだった朝日新聞が、中国の大会について疑義をいだいているのです。内容自体は世界中の常識だとはいえ、かつての朝日にはなかったことでして「朝日新聞はここまで言えるほど立派に成長した」のでした(笑)。

上の引用では、懐疑的な部分だけを抜粋しておりますが、概略の意味は通じると思います。もしもわかりにくかったなら、原本に当たって下さい。

どれでもいいですから、検索エンジン〔ヤフーやグーグル〕の検索窓に「中国と法治 朝日新聞」などと入力して検索すれば、ヒットすることでしょう。

朝日新聞は、2つの吉田事件〔吉田調書・吉田証言〕で謝罪して、心を入れ替えたのかどうか、私たちはまだ見守り続ける必要があります。

もしも朝日新聞が何かの取材・報道で中国共産党を怒らせて国外追放されたなら、堂々と、その事実を世界に発信すればよろしい。日本のみならず世界の世論は、朝日新聞を支持することでしょう。ニユーヨーク・タイムズと意見が異なってもいいじゃぁ~あ~りませんか(笑)。

「朝日新聞があらぬイジメを受けている」と伝える能力しかない韓国メディアは、もう「好きなことを言っていなさい」と無視しておくに限ります。もしもこういえば韓国はどう思うか、などは、ここでは忘れていいのです。 



  反腐敗」メカニズム構築=統治強化へ引き締め-中国規律検査委

【北京時事】新華社電によると、中国共産党の第18期中央規律検査委員会第4回総会が25日、北京で開催され、総会コミュニケで「反腐敗闘争を深く展開させる」方針を確認した。規律検査委トップの王岐山書記は「腐敗まん延の勢いを断固として抑え込み、腐敗しないための有効なメカニズムをつくる必要がある」と述べ、汚職幹部は例外なく、法に基づき厳罰に処する制度を構築する意向を示した。

 習近平指導部は、23日に閉幕した党第18期中央委第4回総会(4中総会)で、共産党指導下での「法治」の全面的推進によって国家統治を強化すると決定。王書記はこの決定を受け、「国家統治にはまず党による統治が必要で、党統治は必ず厳しい態度で臨むべきであり、党の規律は国家の法律より厳しいものだ」と引き締め、党の規律を厳しく順守させることで腐敗を抑制し、党による統治を強化する考えを示した。・・・・・・

:時事ドットコム(2014/10/25-20:09)


こちら時事通信社は、たんたんと事実を報道するだけであり、むしろあっちこっちに笑いがこみ上げていておもしろい。順番にいきましょうか。

まぁ、遅すぎた感もありますが、中国政府はようやく腐敗を撲滅する旨、決心したようです。しかしです、しかしながら・・・・・・

(1)「反腐敗」

腐敗を撲滅しようとする考えている規律検査委トップの王岐山書記なる人物がどのような人物かはわからないのですが、「腐敗撲滅はきれいなキャンペーンだけれども、王岐山は薄汚い独裁政党の手下である」と発言する者がいたとすれば、その人はたちまちにして逮捕・拘束・処刑されることでしょう。

もちろん罪名は「国家機密漏洩罪」。そう、これは決して触れてはいけない国家の機密なのでした。仮に王岐山が、実直な人だったと仮定して(無理がありますが)、そうならそうであるほど中国共産党幹部の悪質な腐敗に気付くことでしょう。そのときに王岐山がどう出るか、です。もちろん、そのような場合にも、中国共産党に忠誠を誓う人を抜擢しているはずですが、そこは面従腹背〔めんじゅうふくはい)の国。どうなるか楽しみです。が、無理か(笑)。

(2)「共産党指導下での「法治」の全面的推進」

一般論で言えば、中国共産党そのものが腐敗しているのに、どうしてそこが設置した腐敗撲滅機関が正常に働くと考えるのだろうと、これが不思議でしようがないのです(笑)。

ヤクザ集団とぐるになった某県警〔ヤクザへ天下ったり組織図を提供したり取り調べ情報を事前に漏らして報酬を得るなど〕が、暴力団の取り締まり強化月間というキャンペーンをはるのに似ている、といえばわかりやすいでしょうか(笑)。

当然のことながら、県警が徹底的に襟を正すことから始めなければなりません。しかし中国共産党に襟を正せと要求するのが、そもそもの過ち。

共産党指導下」というのが、おもしろい。中国では中国共産党幹部の頭脳が最高なのであり、それより立派な人が存在すると言ってはならず、党幹部がロボットのように動くバカであるなどと言えば、明らかに国家機密漏洩罪に該当します(笑)。

中国では、あくまでも中国共産党の指導のもとに行動しなければならないのです。日本語で言う「指導」とは、立派な人が劣った人を正しく導くための教育のことですが、中国では中国共産党以外の人を立派だと言うと、国家機密漏洩罪になる。そこのあなた、笑い事ではありませんよ(笑)。←あんたが笑っているぢゃ~ないですか。

これらが暗示するのは、規律検査委の王岐山がかりに幹部の汚職を見つけたとしても、それを咎めてはいけない、ということ。もしも中国共産党主流派の汚職を咎めるようなことをすれば、規律検査委トップ職を解任するだけでなく、過去にさかのぼって不正蓄財・脱税・セクハラなどをでっち上げて裁判にかけ高額の罰金と一族郎党の財産を没収し、教育的指導の名のもとに強制労働に従事させるが、それでも構わないか、と脅しているようなものです。

もうひとつは「法治」を強調すること自体が、現在中国では「法律」が機能していないことを暗示しているのです。

通常のことでは伝統的で恣意的な「人治」でゆくけれども、中国共産党主流派以外の人の「腐敗撲滅」に関しては、きっちりと「法治」でゆくぞ、と宣言しているのです。党主流派の汚職以外ならどんどん摘発してよろしい。支配下にある名ばかりの裁判所で思い通りに処分できますから。

中国の裁判で中国政府が敗訴するなんてことは絶対にあり得ない、のでした(大笑)。

(3)党の規律は国家の法律より厳しい

これは、「国家の法律にはルーズな面があるが、中国共産党の規律はもっと厳格である」ということを主張して引き締めているつもりであり、読んだ人もそうとらえるでしょうが、別の見方をする人がいます。

これは中国共産党が中華人民共和国を建国したことを忘れてはいけない、というキツイお達しなのでした。つまり、暴力的な中国人を統治するために強硬な中国共産党が存在します。対外的には法を整備しなければならず見かけはそうしたのですが、中国国内では外国のような生ぬるい法律の下で生きていけると思ったら大間違い。国内ではもっときつい中国共産党の規律があるのだ、これを忘れるな、と言うのです。

いわば、中国共産党の権力を強化する、という意志表明にほかなりません。

(4)党による統治を強化

これは重要な結論でしょう。

中国を中国共産党から解放するなんてことはあり得ないのに、人民解放軍なるものがある、というジョークは別として、「共産主義国特有の腐敗」をなくすという壮大な夢を語りながら、実は中国共産党による締め付けを徹底する、と宣言しているのでした。

人権弾圧だとしていくら外国から制裁されても中国には中国共産党のやり方があり、たとえ貿易が激減しても、貧困層をさらに貧困にさせればいいだけのことであり、大した問題ではないのでした。

普通の国家ならば、運営に失敗したら、別の政党に政権を移さざるを得ませんが、政権交代があり得ない国ではこんな惨めなことになっていまいます。

これでは中国人があまりにもかわいそうではありませんか。

 


 社説:中国4中全会 民主化なき法治は疑問 

 北京で開かれた中国共産党の重要会議、第18期中央委員会第4回総会(4中全会)は「法に基づく国の統治」を全面的に推進するという方針を決めた。立法機関である全国人民代表大会(全人代)や、裁判所、検察など司法機関の改革で「法治」の徹底を目指す狙いだ。 

 政策も法の執行も権力者の意向に左右される「人治の国」とみられてきた中国がどこまで「法治」を実現できるのか。中国が政治、経済両面で国際的な影響を強める中、隣国・日本も無関心ではいられない。・・・・  

 中国では地方幹部が違法な土地収用や公共事業を推し進めて私腹を肥やしたり、司法に介入したりする例が後を絶たない。住民の反発を招き、暴動に発展するケースもある。改革にはこうした権力の私物化を防ぐ狙いがある。・・・・ 

 無論、中国が進める「法治」は三権分立など西側をモデルにしたものではない。憲法も社会主義制度堅持を掲げる。「中国の特色ある社会主義的法治」であり、「共産党の指導」が前提だ。コミュニケは党改革も求めるが、党を監督するシステムに関する言及はない。・・・・ 

 民主化要求デモが続く香港については「法的手段を用いて主権、安全、利益を守る」としているが、中国にとってデモは「違法行為」だ。中国国内を含め、「法治」が共産党の統制強化のための手段として利用される危険性も大きい。 

 権力を監視し、暴走を防ぐ機能を持つ民主主義制度を欠いたままで、「法治」を徹底し、社会の公正を保つことができるのか。習政権が今後打ち出す具体的な政策を注視していきたい。 

毎日新聞 2014年10月25日 02時30分


こちらは、民主制を否定しながら「法治」を徹底することは、腐敗撲滅という仮面をかぶった中国共産党の弾圧強化ではないかとも読め、好感をもちます。

 


中央委員会第4回全体会議(四中全会)のニュースさえ知らなければ、私としてもこんなことを言わずに済ませたのでしょうが、知ってしまったからには、こう言わざるを得ませんでした。

皆様は、中央委員会第4回全体会議(四中全会)の記事をどうとらえましたか。

 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。