最近、各国で国民投票がありました。代表的なものを思い出してみましょうか。
2011年 イタリア 原発再開に関する国民投票
伊、原発再開を断念…国民投票「反対」9割超
【ウィーン=末続哲也】原発再開の是非を問うイタリアの国民投票は13日、2日目の投票が締め切られ、伊ANSA通信が伝える投票率は約57%で、国民投票は成立した。
出口調査によると反対票は9割を超すと見られ、再開反対派の圧勝が確実な見通しとなった。ベルルスコーニ首相は13日、投票終了を待たずに「イタリアはおそらく原発計画と決別し、再生可能なエネルギー分野の開発に取り組む必要があるだろう」と原発再開断念の意向を表明し、事実上の敗北宣言を行った。
福島第一原発の事故後、原発をめぐる国民投票が行われたのは初めて。欧州ではスイスとドイツ両政府が将来原発を廃止する方針を決めており、イタリアの原発拒否の立場が固まったことで欧州各国で反原発世論が勢いづく可能性もある。 :読売新聞 2011年6月13日
2011年3月の福島原発事故後、イタリアでは2011年6月に実施された国民投票で、原子力発電所再稼働が否定されました。
一方、当の日本では現在、再稼働を認め、かつ原子力発電設備を輸出しようとさえ考えているようで、なんとまた対照的なことか。
ヤクザに汚染されたイタリア社会では、深刻な南北経済格差も話題になり、地下経済も統計数値に入れるなど問題が多いのですが、原発に関しては、堂々と否定しました。
2014年3月 ロシア編入に関してクリミア半島のみで国民投票
たしかに現状を武力で変えようとする許しがたい暴力を発揮したのがロシアでした。その国連安保理での非難決議では、確か当のロシアが拒否権を行使したはずです。
この「拒否権」なるものが、さまざまな問題を引き起こしているようです。必要な時代があったのでしょうが、今ではどうか、というところ。
このように「いかにして世界をだますか」という手口は、
ロシアや中国を見ているとよく見えてきます。もちろん当人に「だます」意思があるかどうか、聞いておりませんが、そもそも周辺に自分への敵対心が満ちあふれていると決めつけ、よって「すべて」に反対するのが、国是となっているからでしょう。
それだけ、自信に満ち満ちていると言うべきか、うぬぼれていて間違った方向に進んでいることがわからないと言うべきか。
そしてロシアも中国も、
- 都合によっては、勝手に「自分の領土だ」「内政に干渉するな」と叫んで暴力的になる一方
- 都合によっては、「自分たちは国際法を守っている」と豪語する
つまり、その場しのぎの対応に徹し、隣人と協力して何かを目指す、ということが本質的にできない「要注意国家」に成り下がってしまったようです。
2014年9月 スコットランド 英国から独立するかについて国民投票
独立反対派が勝利し、スコットランド人は、引き続き英国に残ることを選びました。
しかし英国そのものがEUに残留するかどうか、の問題が残っています。
2015年7月 ギリシャ EU緊縮財政に関する国民投票
EU加盟国であるギリシャに対して、放漫経営と粉飾決算発覚の結果としてEUが緊縮財政を要求しました。
この結果に反発する意志を表明したチプラス首相が、突然国民の賛否を問うとして国民投票を実施し、EU緊縮財政に反対の声が多い結果となったのは、昨年のことでした。
現在のギリシャ人がEUによる緊縮財政要求に反発しているのには様々な要因があると思われます。
- 粉飾決算でごまかすというギリシャ為政者の体質に問題がある。
- このあやしげな体質を利用してまで利益を上げようとするフランスやドイツなどの企業があり、EUが財政破綻したギリシャを救うと見せかけて実はこれら企業に損失を与えないためではないかと、疑っているギリシャ人がいること。
- ギリシャ為政者がギリシャ国民に正確に説明する能力を欠き、不正確に導いたためこういう結果になったのではないか。
その後、中東からの難民やらテロの話題ですっかりこの問題が忘れ去られようとしています。その後、どうなったのでしょうか。
これからの国民投票の予定
2016年6月 イギリスがEUから離脱するかどうかの国民投票
4ヶ月後のことですが、9月にずれ込むかも知れないとのこと。
イギリスでは不思議なことに、野党の労働党も、EUに留まるほうがイギリスの国益になる、としています。これは与党保守党キャメロンと同じです。
つまりキャメロン英首相は、むしろ自分の保守党政権内での「EU離脱派」に対する党内調整が必要らしい。
キャメロン政権閣僚の6名もがキャメロンのEU残留に反対し、EU離脱を支持しているようです。
また態度不明だったロンドン市長のボリスが、熟慮の結果ようやくキャメロンに反対しEU離脱を支持に回ったようです。この影響がどのくらいなのか、正直に言って私にはわかりません。たいしたことがないのか、それとも重要な転機になるのか・・・・・・。
この国民投票は2017年末までとされていましたが、前倒ししたようで、日本の定数削減見直しの前倒しに似ています。ただし6月23日に実施するのか、それとも9月になるのか、まだ不明だと言われています。
国会討論で前首相の野田による質問を事前に察知した安倍首相が、国会議員定数の削減を自民党案の時期より前倒しして実施したいと、表明しているのを思い出させます。 その1
国民投票が最後の切り札となるかどうか見ものですが、「中国」では
そもそも「国民投票」どころか「総選挙」そのものが存在しません。
やはり中国は、「不気味な暗黒の国」のままで、なにかが中国共産党によって突然、感情的に決められるため、油断できません。
まるでアフリカの発展途上国なみの非法治国家ですね。
中国の工場での人件費が高騰したため、中国へ進出していた世界各国の企業がどんどん撤退している反面、「まるで異国ではないかと思われるほどの中国国内経済格差」に国民が悩んでいます。
もちろん中国共産党為政者たちが「悩む」なんてことはあり得ませんが(笑)。
日本では、国政は間接民主主義であり
どこかの党組織に属している議員を選挙で選び、数多く得票した党が日本の政治の責任をもつことになります。
しかしこの間接方式には、さまざまな問題点があり、たとえば「ある問題に関しては政党Aの主張に賛同するものの、別の問題に関しては政党Bの主張に賛同する」という人たちの民意を正確に反映しません。ある政党を選ぶ、という仕組みなんですね。
国民投票は、この欠点を補うだろうとされ、ある問題に絞って、政党を経由せずに直接民意を吸収するという意図があるのでしょう。
ただしマスメディアを挙げてのキャンペーンによって、「民主的」に妙な方向へ洗脳されるおそれが、間接・直接を問わず、あります。私たちは、そういうように「民主的に妙な方向へ進む」例をみてきました。民主主義とは、「正しい」から選択されたのではなく、あくまでも「数が多かった」という理由で選択されるものなんですね。
よって、よっぽど国民がしっかり判断しないと、
どのような方向へ進むか分らない、という可能性を持っています。
「民主主義だから常に正しい」のではないことを、今一度思い出す必要がありそうです。
この点で、総選挙というものが存在しない中国などが、それ以前の、あまりにもひどい圧政状態にあると見られ、周辺が監視していかねばならないようです。
中国共産党は、「一党弾圧を続けながら」、この中国包囲網をなんとか解きほぐすべき、あらゆる手段を講じるでしょう。「笑顔を振りまく」こともあるでしょうが、今の韓国のように、これにだまされては足元をすくわれますよ。注意しましょう。
国民投票について考えていると、そのような思いに至るのでした。皆様はいかがですか。