平成太平記

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中国、「中産層人口」米国を上回り1億人強の「巨大所得不平等」

2015年12月07日 17時09分55秒 | Weblog

中国、「中産層人口」米国を上回り1億人強の「巨大所得不平等」

 勝又壽良の経済時評

 週刊東洋経済元編集長の勝又壽良

 2015-12-07

バブルで膨れあがった金満家
世界のブランド品が中国撤退

中国社会が、巨大矛盾で身動きならない事態に追い込まれている。

社会主義の看板が傷ついているのだ。

この矛盾は、バブル経済の発生でますます拡大した。

所得不平等拡大こそ、中国社会の矛盾を象徴する。

それでもなお、「社会主義」を名乗っている。

看板と実態は、これほど異なるのだ。

中国人の海外旅行は、増え続けている。

旅行先での「爆買い」は、どこでも見られるお馴染みの現象になっている。

日本の茶の間にも、中国農村部の貧しい生活ぶりが映像で届けらるほどだ。

それから見ると、「爆買い」層は、同じ中国社会に属しているのかと、不思議な感じに囚われる。

最近、中国の「中産層人口」が、米国を上回ったというニュースが出てきた。

「えっ」と思うと同時に、中国の「エセ社会主義」の下では起こるだろう、という気持ちもするから不思議だ。

バブルで膨れあがった金満家


中国メディア『参考消息網』(11月19日付)は、

「中国中産層は2億人を突破か、資産は不動産に過剰依存」を掲載した。

①「クレディスイスの報告書『グローバル・ウェルス・リポート2015』によると、

中国民間の総資産は22兆8000億ドルと日本を抜き、

米国に次ぐ世界2位となった。

また、中産層の数も1億900万人で世界一となった。

2位は米国の9200万人である。

この中産層の人数が果たして正しいのか、議論が起きている」。

前記の報告書によれば、年収5万~50万ドルの中国の中産層の人口は1億900万人に達するという。
地域別では


▼欧州1億9400万人


▼中国を除くアジア・太平洋1億7100万人


▼北米1億500万人


▼南米4300万人


▼インド4300万人


▼アフリカ1900万人。

中産層の基準は、年収5万~50万ドルである。

日本円で約600~6000万円である。

その人口が1億0900万人である。

日本でも年収600万円以上は珍しい存在でない。

ちょっとした企業へ勤めていれば稼げる金額であろう。

ただ、中産層人口数で米国(9700万人)を抜いたという点が、心に引っかかるのだ。

ここで、1人当たりの名目GDP(2014年、IMF推計)を見ておきたい。

米国は5万4370ドル(世界11位)。

中国は7572ドル(同80位)である。

総人口数(2014年)は、米国3億1900万人(世界3位)。

中国13億6700万人(同1位)である。

この二つの数字を比較して分かることは、

中国は、1人当たりの名目GDPで米国の約14%にすぎない。

人口数では中国が、米国の4.3倍である。

漠然とした感想だが、

中国の1人当たりの名目GDPが米国の14%にすぎない中国が、

中産層で米国を抜くとは、

その裏にとてつもない所得不平等(ジニ係数の上昇)が存在するはず。

それに気づかさせられる。

ジニ係数とは、0.4以上になると社会騒乱がいつ起こっても不思議はない、

とされる危険ラインである。

公式による中国のジニ係数(2013年)は、0.473である。

これは表面的なもので、民間推計では0.6となっている。

米国は0.45である。

米国に比べて中国のジニ係数は「低すぎる」。

ちなみに、日本は0.379である。

②「クレディスイスの報告書は、2000年の社会科学院報告書による全世帯数における中産層の比率をもとに算出された推定値にすぎない。

この15年間で中産層の比率が増えていることも考えられる。

中国家庭金融調査(CHFS)によると、中産層の比率は青年人口の約20%とクレディスイスの統計の約2倍だという。

この試算を採用すれば中国の中産層はすでに2億人を突破していることになる。

中国の中産層の資産構成には大きな偏りがあるのも特徴だ。

資産の約80%が不動産で、金融資産の比率は10.8%にとどまっている」。

中国家庭金融調査(CHFS)によると、中国の中産層比率は青年人口の約20%である。

クレディスイスの推計値の約2倍にも達しているという。

となると、中国の中産層が2億人を上回る計算である。

この数字は額面通りに受け取れないのだ。

中産層の資産は、80%が不動産であること、金融資産の比率は10.8%にとどまっていることだ。

この実態を見ると、不動産バブルによる「アブク所得」が押し上げているに違いない。

つまり、恒常的所得による安定的な「中産層」ではなく、にわか中産層の臭いが強い。

中産層の資産の約80%が不動産であることは、

ここから相当の転売収入を得ていたことを窺わせている。

これが事実とすれば、

不動産バブル崩壊による価格下落は、

今後の中間層の人数に大きな影響を及ぼすであろう。

つまり、中産層は減少する。

中国経済の減速が、

中産層を縮小させていると思われる証拠は、

高級品の売上げが減少していることに見られる。

北京や上海などで大手百貨店の閉店が続出しているからだ。

この理由については、

ネットショッピングが盛んになって、

店頭販売に影響を与えていると、

まことしやかに言われている。

果たしてそうだろうか。

11月11日、例の「独身の日」はネット通販が盛り上がった。

その様子は、NHK総合TVの「クローズアップ現代」でも取り上げられたほど。

その後、次のような「大量返品」が発生しているのだ。

「中国のオンライン取引最大手・アリババの統計では、

同社傘下の天猫モール(Tmall)の11日当日における取引額は912億1700万元(約1兆7300億円)に上り、

前年比60%近い成長となった。

しかし、ネットを通じて購入した商品が大量に返品されており、

実質的な消費額は減少する見通しだ。

あるネットユーザーは、『買った商品は粗悪品だったり、サイズが違ったり、結局全部返品した。

どんなに安くてももう買わない。がっかりだ』と書き込んだ。

また、大量に返品される背景には、

ネット上で販売されている商品の中に偽物が少なくないこともある」(シンガポール華字紙『聯合早報』11月17日付)。

「ニセ物」販売が普通の中国で、ネット販売が100%信頼を勝ち得ているわけでない。

「本物」を購入するには百貨店のような信頼の置ける店舗でのショッピングが欠かせないはずである。

それが相次いで閉店に追い込まれている。

営業不振が理由であろう。

間違っても、「中国で流通革命が起こっている結果」と早とちりしないことだ。

通販で購入する価格帯と、百貨店で購入する価格帯では異なる。

前者では、安い価格の商品が購入されているに違いない。

世界のブランド品が中国撤退


『大紀元』(11月22日付)は、次のように伝えた。

③「世界的有名ブランドのルイ・ヴィトンの広州市第一号店が閉店となった。

昨年7月の初閉店に続いて4店目となる。

業界の関係筋では、

反腐敗運動や国内消費の低迷といった影響を受け、

さらに多くの高級ブランド店が閉店に追い込まれるという予測がでている。

今回閉店となったのは、

数々の高級ブランド店が出店する広州市のショッピングモール・麗柏広場の店舗である。

香港紙『経済日報』(11月13日付)の報道によると、この店舗は12年前のオープン以来、毎年黒字経営だった。

最新データでは、ルイ・ヴィトンのファッションと皮革製品の今年第3四半期の売り上げはかろうじて前期と同水準を維持、前年比は3%増である」。

ルイ・ヴィトンが、昨年7月から現在まで、中国店がすでに4店舗の閉店に追い込まれている。

これだけでない。

他の多くの世界的な高級ブランド店が閉店を迫られる見通しだという。

つい数年前、中国が世界の高級品市場の首位になったと賑々しく報道されたばかりである。

それが、歯の抜けるように閉店とは、まさに「急変」である。

中国の「中産層が世界一」という話しと随分、トーンが異なっている。

私が先に指摘したように、

中国の中産層は、不動産バブルで一時的に「成り上がった層」ではなかろうか。

本当の「VIP」ならば、有名高級店で、ゆっくりとショッピングを楽しむ。

そういう精神的なゆとりがあるに違いない。

中国の中産層とは所詮、この程度のものなのか。

④「ルイ・ヴィトンを傘下に収めるLVMHグループの最高財務責任者は、

中国の地方中核都市では都市ごとに1店舗しか出店しないという経営戦略を明らかにし

今後、事業の中心を中国から日本や欧州などにシフトさせる予定だと述べた。

中国ニュースサイト『参考消息ネット』(11月16日付)の報道によると、

業界筋は、反腐敗運動をうけて汚職幹部が公金での贅沢品購入を控えていること。

国内外の高級品価格差により消費者が国外購入に移している。

今後1~2年の間で、中国にブランドショップの閉店ラッシュが到来することを予測している」。

ルイ・ヴィトンを傘下に収めるLVMHグループの最高財務責任者は、

事業の中心が中国でなくなると明言している。

中国に代わって、

日本と欧州へ回帰するというのだ。

このニュースを聞くと、早くも「中国衰退」の前兆現象のように見える。

中国へと草木もなびく状況から一転、再び元の「定位置」である日本と欧州が販売の主戦場となる。

中国の市場が、これほど簡単に「ギブ・アップ」される理由は、購買力がないことに尽きる。

「反腐敗闘争」で高級品需要が剥落したとは、まことに語るに落ちたことだ。

賄賂のために有名ブランド品が売れたとは、中国の民度が極めて低いことの証明である。

個人が、所得が増えて生活を楽しむ一環として高級ブランド品を身につける。

中国では、そういう生活スタイルが根付かないと判断したのだろう。

中国の消費の歴史から言えば、

「見栄」のための消費はあっても、

高級品を長く持つことの精神的なゆとりと無縁な国民である。

⑤「米大手コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーが今年はじめに発表した

『2014年中国高級品市場レポート』よると、

2014年は中国の高級品市場に初めて衰退の兆しが表れ、前年より売上が1%減少した。

また同社が今年5月、

イタリアの高級ブランド統括団体であるアルタガンマ財団と共同で発表した『世界の高級品市場レポート2015年春季版』では、

中国の高級品売り上げは2~4%減少するとみていた」。

『2014年中国高級品市場レポート』よると、

2014年は中国の高級品市場に初めて衰退の兆しが表れたとしている。

また、『世界の高級品市場レポート2015年春季版』でも、

中国の高級品売上は2~4%の減少を見込んでいる。

習近平氏は、2016~20年の平均経済成長率は「6.5%以上」と強気の発言をしている。

これとは裏腹に、中国の高級品売上は下り坂に向かうというのだ。

底辺の購買力は確実に伸び悩んでいるはずである。

中国政府の推計では、中間層が2億人以上はいるという。

この数字は「眉唾」ものであろう

それだけ中間層が増えれば、

世界の高級品として名声が確立している「ブランド品」を一つや二つは、

身につけてもおかしくない。

そういう、秘かな「おしゃれを」を楽しむ生活スタイルが中国にはないのだ。

「ぎんぎらぎん」に飾り立て、

「私は金持ちです」と誇示するショッピングしか育たないとすれば、

中国中間層の「御里」が知れる。

そして何よりも、所得の伸びに限界が見え始めた。

それが、消費者の財布のヒモを固く閉じさせ、高級品売上に影を落としているのだろう。


(2015年12月7日)


10年後に健保など枯渇開始…韓国で社会保険料引き上げの可能性

2015年12月07日 16時44分42秒 | Weblog

10年後に健保など枯渇開始…韓国で社会保険料引き上げの可能性

2015.12.05

hankyoreh

健康保険2025年、介護保険2028年、国民年金2060年に底をつく 


「国民負担率11.4%上げれば維持可能」…総選挙・大統領選挙の争点に

私が作る福祉国家、老年ユニオンなど市民社会団体の関係者らが1月30日午前、ソウル青雲孝子洞住民センター前で政府の健康保険料賦課体系改編中断を糾弾し、再推進を要求している。聯合ニュース
 
現行保険料を引き上げるか支給額を減らさなければ、
 
健康保険財政が10年以内に累積赤字に転換するなど、
 
このままでは主要社会保険が持続可能でないと推算された。
 
韓国政府はこれを根拠に
 
「適正負担・適正給付」を前面に出して保険料引き上げや給付縮小の必要性を提起した。
 
しかし社会保険制度の改編は、
 
その必要性とは別に階層間・世代間の葛藤が避けられず、
 
社会保険改編問題が
 
来年の総選挙と
 
2017年の大統領選挙など韓国の政治日程で核心争点になるものと予想される。

政府は4日「2060年長期財政展望」を発表した。

長期財政展望は、

現状の社会保険制度を維持したり大きく変えないことを前提に

経済成長率と人口構造の変化などを考慮して財政状況を再計算したものだ。

政府が数十年後の財政展望を出したのは今回が初めてだ。

先ず、

健康保険は7年後の2022年に赤字に転換し、2025年に累積収支も赤字に達すると予測された。

しかも2022年まで保険料率を法定上限である8%(職場保険料基準、現行6.07%)まで上げた場合だ。

介護保険も2024年に赤字が発生し2028年に底をつく。

 介護保険は

一人では生活が困難な65歳以上の高齢者、

またはこれより年齢が若くとも痴呆や脳血管性疾患に罹った人に

療養費や看病費などを国家が支援する代表的な社会保険の一つだ。

すでに赤字である公務員年金・軍人年金などの職域年金は、

今後も赤字補填のために税金を投入し続けなければならないと展望された。

国民年金は2044年に収支が赤字に転換し、2060年には枯渇するし、

私学年金も2042年には基金が枯渇すると予測された。

労災保険も4年後に赤字転換し、2030年には底をつく。

政府はこれに対応するために、

保険料率の引き上げと給付の縮小を前提とする財政変化の推算結果も出した。

保険料率を引き上げて社会保険の持続の可能性を確保しようとすれば、

個人と企業の国民負担率が現在の28.4%から2060年には39.8%へ11.4%p跳ね上がる。

反対に社会保険給付を減らして財政収支を合わせようとすれば、

2060年には受給者の受ける給付が現状の半分以下の46%水準まで下がる。

 政府は給付の縮小よりは保険料率の引き上げを選択する可能性が高い。

政府は現行の社会保険制度を維持する線で、

“裁量的支出”を経済規模の成長水準(経常成長率)に合わせて拡大する場合、

今年38.5%(暫定)の国家債務比率(国家債務÷国内総生産)が2060年には62%まで急増すると推算した。

チェ・ギョンファン副首相兼企画財政部長官はこの日、

政府ソウル庁舎で開かれた財政戦略協議会で「社会保険部門は今のままの体系では持続可能性がない。

社会的合意に基づいて世代間の公平などを考慮して制度改革を行わなければならない」と明らかにした。