平成太平記

日常の出来事を書く

中国の経済リバランスにちらつく「負の連鎖」   ロイター

2014年04月30日 15時59分28秒 | Weblog

コラム:中国の経済リバランスにちらつく「負の連鎖」

4月25日 ロイター

ジェームズ・サフト

中国では今、経済の「リバランス」が進んでいる。

悪いことに、2006─07年の米経済がそうだったように、不動産市場の急減速を伴って大きく均衡が崩れつつある。

そうした事態はおそらく避けられなかったが、幾つかの見覚えのあるリスクを浮かび上がらせている。

それは、不動産価格の低下、債務不履行、そして成長の急減速とつながる連鎖反応だ。

世界にとっては、その影響によるコストが高くつく可能性もある。

これまで中国のあくなき資源需要を支えることで成長してきたブラジルやオーストラリアといった国々は特にそうだ。

ロイターの最新調査によると、中国の今年の国内総生産(GDP)成長率は7.3%になるとみられ、昨年を下回って過去24年間で最低の伸びになると予想される。

これは一見すると、投資依存型の経済を脱却し、消費の寄与がより大きい先進国型の経済に移行するという政府の目標に合致している。

しかし、中国経済に占める消費の役割が相対的に増しているのは、特に不動産分野での投資が落ち込んでいることが大きな要因だ。

第1・四半期のGDPにおける不動産投資の比率は12%と、前年の15%から低下した。

また、1─3月期の住宅販売額は前年同期比で7.7%減少。新規着工面積も25%強の減少となった。

これは、融資の引き締めが原因だろう。1年前に比べると、中国の融資総額は9%余り減少している。

また、中国の債務残高は膨大で、新たな借り入れが続かなければ、不良債権問題に直面せざるを得ないという実例もある。

北京大学で金融を専門にするマイケル・ペティス教授は、「債務急増は不幸な出来事ではない」とした上で、こう指摘する。

「それは成長モデルが機能する道筋では基本的なことで、われわれはその段階に到達した。

(経済学者の)ハイマン・ミンスキー氏はバランスシートに関する論文で、おそらく最も想像力豊かにこう表現した。経済システムは単に現状の経済活動を維持するために、借り入れの加速を必要とする」。

ペティス教授は、中国の債務問題は大きくなりすぎて、借り手への規制や銀行制度改革では管理できないと危惧する。

同教授は「国営セクターから一般家計セクターへの莫大な富の移動がなければ無理だ。私の考えでは、債務の持続不可能な増加がなければ、GDP成長率は3─4%程度もしくはそれ以下になるだろう」と記している。

<ミンスキー・モーメント>

投機に煽られた信用拡大が急停止し、資産価値が突如崩壊することを示す「ミンスキー・モーメント」という言葉は、他のあらゆることと同様に、中国では違った結果をもたらすかもしれない。

中国は経済的な奇跡を成し遂げてきたが、それは投資に大きく依存することで実現し、借り入れによる投資も膨れ上がった。

ここまでは、「ミンスキー・モーメント」に当てはまる。

投資の質が低下し、理論的に借り手の返済能力が低下しているのは事実だが、話は米国のように単純ではない。

中国では、あらゆることが政治的な問題というだけでなく、国の組織が政治的問題(つまり、あらゆること)をどう解決するかについて取り仕切る、はるかに大きな力を持つ。

政府が質の低い投資から脱皮を図ろうとする一方で、多くの人は、不動産が暴落するほどの信用引き締めは行われないだろうと予想している。

また、個人の借り手は米国より借り入れ規模が小さい傾向にあることから、信用収縮への対処は若干容易になる。

しかし、このことは不動産暴落の可能性を消し去るわけではない。

中国でも投資の「アニマルスピリッツ」は同じように存在し、約10年間にわたり過剰な借り入れが続いてきたことから、弱気の連鎖反応が経済全体に広がる可能性も理解できる。

最終的には、中国の不良債権が把握され、一部セクターに吸収される必要はある。

それらを家計に押し付けるやり方は消費を増やすという目標に反しているが、企業のバランスシートはそれだけの不良債権を処理できるようには見えない。

そこで頼みの綱となるのは、中国の強気筋にとって一番の期待となる可能性がある政府だ。

この問題は中国一国にとどまらない。

正常に管理されるにせよ、統制不能となるにせよ、投資依存度の低いシステムへの移行は目前に迫っており、そこからうまく脱出してきた国々(資源国を考えてみるといい)にとって最も期待できることは、ショックを吸収する十分な時間を得られることだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


韓国大企業はなぜ次々と格下げされるのか…「信用」が醸成されない社会の問題

2014年04月30日 15時37分42秒 | Weblog

韓国大企業はなぜ次々と格下げされるのか…「信用」が醸成されない社会の問題

産経

2014.4.4 07:00
日米韓首脳会談後に退席する安倍晋三首相(右端)と韓国の朴槿恵大統領。朴大統領の非礼ぶりに信頼感は生まれない。オバマ米大統領が気を遣い、両者に声をかけているが…=2014年3月25日(AP)

日米韓首脳会談後に退席する安倍晋三首相(右端)と韓国の朴槿恵大統領。

朴大統領の非礼ぶりに信頼感は生まれない。オバマ米大統領が気を遣い、両者に声をかけているが…=2014年3月25日(AP)

 韓国の大企業の「格下げ」が年初から相次いでいる。

高コスト構造や過剰な設備投資などが理由とみられるが、この中には、過去10年で3度も顧客情報を大量流出させた企業も含まれているという。

国をリードする大企業による稚拙な対応は、初顔あわせとなった首脳会談で、韓国語で話しかけた日本の安倍晋三首相に、無礼な対応しかできない朴槿恵大統領の「幼稚さ」とどこか重なる。

経済も、政治も、韓国が信用するに足らない理由の根は同じだ。

高コスト構造、過度な設備投資に、過剰な中国依存 

 ムーディーズは今年2月、韓国の情報通信大手のKTを、投資リスクがほとんどないことを示すA3からBaa1と1段階引き下げた。

高コスト構造が問題視された上に、携帯電話市場の伸び悩みが懸念された。

そのうえ、今後1~2年、売却できる資産がない状態で利益を上げることが難しいとみなされた。

 KTを含め、韓国の主要企業は今年に入って、次々と信用格付け会社の評価を下げている。

ムーディーズは、LGエレクトロニクスと石油大手GSカルテックスをそれぞれBaa2からBaa3としたほか、ロッテショッピングもBaa1からBaa2に。鉄鋼大手のポスコもフィッチから格下げされた。

 韓国の国内総生産(GDP)の約7割は十大財閥企業が占めているされ、主要企業の相次ぐ格下げは韓国経済の失速に直結する。

 理由はさまざだが、例えば、LGエレクトロニクスの場合、携帯電話市場での中国企業の進展が競争圧力になり、今後、収益に影響を及ぼすことなどが指摘されている。

韓国企業は高コスト体質に加え、過剰な設備投資をし、部品の供給については日本や中国に依存。格下げは、市場進出も含め、過度な中国依存を続けていることへの警鐘ともいえる。

 もっとも、KTの場合、引き下げられた後、信用するに足らないだけの理由が発覚した。

10年間で2千万人分以上の個人情報流出 

 中央日報(電子版)や米CNN(電子版)などによると、3月初旬、KTはハッカーに1年間で加入者の4分の3にあたる1200万人分の顧客情報を盗み出されていたことが判明した。警察当局は事件に関わっていた29歳と37歳の男を逮捕した。

 まず29歳の男が自作のプログラムでKTのコンピュータシステムに進入し、情報を盗み、これを電話勧誘業の37歳の男に売り渡した。

男は顧客に電話し携帯電話を売っていたのだが、2人は計115億ウォン(約11億円)も売り上げていたとされる。

 実は、KTが顧客情報を大量に流出させたのは今回が初めてではない。過去10年間で今回が計3度目だ。中央日報によると、同社は2004年に92万人分、12年に877万人分の個人情報をそれぞれ大量流出させている。

 今回の事件後に、KTは「内部のセキュリティ・システムを強化し、すべての従業員の保安意識を高める」と謝罪。

しかし情報通信会社が顧客情報を大量に流出させるという杜撰な企業体質について、中央日報(電子版)は「犯人が極めて初歩的なプログラムを利用して顧客の個人情報を盗み出すのを1年間も気付かず放置した」と批判している。

また、KTの前会長は昨年11月、強引な買収地融資で数百億ウォンの損害をもたらしたとして、背任容疑で検察当局の捜査を受けた。

その後、子会社の社員が3千億ウォンもの融資詐欺事件に関与する事件も発覚。企業倫理に乏しく、安全意識が極めて低いとしか言いようがない事件が相次いでいる。

 中央日報によると、韓国の信用機関「韓国信用評価」は3月13日、これを契機に、KTと子会社5社について信用等級下方監視対象にしたと発表した。

信用のない社会…崩壊の序章? 

 25日の日米首脳会談後にドイツを訪れ、ベルリンでメルケル独首相と会談し、共同記者会見で、日韓関係をはじめとする東アジア醸成について「対話を通じ信頼醸成を進めたい」と述べた。

 果たして、信頼とは何だろうか。

 日米首脳会談で、朴大統領は、韓国語で「お会いできてうれしいです」と挨拶した安倍首相に対し、目を合わせることもなく、硬い表情のまま。

まるで日米韓首脳会談にはイヤイヤ出てきた様子だったという。

 また朝鮮日報(電子版)によると、長引く景気低迷で庶民が苦しむ中で、韓国の国会議員の64・5%は2013年中に資産が増えたとされ、1億ウォン(約950万円)増えた議員は78人にのぼる。

庶民とはかけ離れた政治の現状に、社会に信頼が生まれるとは考えにくい。

 朝鮮日報(電子版)は「外国人投資家にそっぽ向かれる韓国の銀行」と題した記者のコラムを掲載し、「銀行の人事が実力や実績ではなく、コネや働き賭けで決まる」と指摘している。こうした土壌も、信頼なき社会の一因だ。

韓国経済に詳しい日本人関係者からかつて、「中国に進出している韓国の主要企業が、海外、とくに中国での資金調達などで頼ってくるのはソウルにある日本の都市銀行の支店だ」という話を聞いたことがある。

 韓国人もまた、韓国人を信用していない、信ずるに足らない国…。

大企業の格下げは、社会崩壊の序章かもしれない。

 


いつまで続く、朴槿恵の強硬姿勢   武貞秀士=拓殖大学客員教授

2014年04月30日 15時01分10秒 | Weblog


いつまで続く、朴槿恵の強硬姿勢

2月21日UP!〕

武貞秀士=拓殖大学客員教授


「中央公論」2014年3月号掲載 

 朴槿恵政権が発足して一年になるが、日韓関係改善の兆しはない。


 昨年十二月、朴大統領は「新年は過去の歴史の傷をえぐり、国家間の信頼を壊し、国民感情を悪化させる行動をなくさなければならない」と暗に日本を批判した。

今年一月六日には、就任以来初めての記者会見を開いて、安倍晋三首相による靖国神社参拝について「日韓協力の環境を壊すことが繰り返され残念だ」と述べた。

 筆者は日本と韓国の大学の教壇に立つことがあるので、日韓関係について質問を受けることが多い。

韓国人学者からは、「どうして日本は国際社会で孤立することばかりするのか」と問われ、日本人からは「日本が韓国にどのように謝罪すれば、韓国はおさまるのか」と聞かれるが、双方の質問に対する回答が見つからない。

 日韓関係の修復が難しいのは、いまの状態が過去の日韓関係とは違うからだ。

際立っているのが、大統領の対日姿勢だ。歴代の韓国大統領は、政権末期に反日を強めたが、朴大統領は、就任直後から日韓関係では強硬な態度をとっている

歴代大統領との違い

 韓国の歴代政権を見てみよう。李承晩大統領は反日一筋だったが、日韓国交樹立前であり、反日イデオロギーのバランスシートを考慮する必要はなかった。

朴正煕大統領は、強靱な韓国をつくりあげる上で、日本の協力を得ることが早道だと読み取った。国交を正常化し、日本の資金、技術を導入して、国力をつけて日本に追いつきたいと考えた政治家であった。

 全斗煥大統領は、光州事件のあと国内世論が分裂し、民主化の遅れへの批判が高まるなかで、日本に対しては「韓国が安保で中国大陸の防波堤になっている」という趣旨で、安保経済協力を期待するという政策をとった。

盧泰愚と金泳三の両大統領は、韓国の民主化に専念して、日本に政策の照準を合わせることはなかった。

 日韓関係が最も良かったのは金大中大統領の時代だ。

一九九八年、日韓首脳会談で日本との防衛交流の必要を説いた日韓共同宣言を出している。

盧武鉉大統領は、韓国を取り巻く日米中ロという四つの国家のバランサーとしての役割を模索し、その外交戦略のなかに明確に日本を位置づけていた。

李明博大統領は、二〇〇七年十二月、大統領選挙の前日、市長として再建した清渓川前の公園での演説で、「日本に追いつき、中国を引き離すことができる大統領は誰ですか」と観衆に問いかけ、聴衆は「イ・ミョン・バク」を連呼した。

日本を過剰に意識した経済重視の大統領だった。だが、南北関係、経済分野で成果がなかったため、最後の一年間は反日姿勢に転じ、竹島上陸を果たすなど日本に「一矢を報いる」行動で名前を残した。

 これに対し、朴槿恵大統領は最初から日本に対して歴史認識を問いかけ、日本の姿勢変換を日韓首脳会談の前提条件にしてきた。

日本外しの「未来志向」

 朴槿恵大統領は、一九五二年生まれ、西江大学で工学をおさめた異色の大統領である。

政策目標は、「成長と福祉がかみ合い、全ての人が共同体のなかで信頼し合い、経済・社会的な不平等も補正される社会を建設する」。

福祉分野を大事にするソフトなイメージがあり、日本と国交を樹立した朴正煕大統領の娘ということで、日本では李明博政権で傷ついた日韓関係を修復するだろうとの期待があった。

実際、昨年五月の『ワシントン・ポスト』のインタビューでは「自由と民主主義など、普遍的価値を共有する最も重要な近隣国である日本との関係が極めて大切」と述べている。

 だが、朴大統領が就任直後に手を付けたのは南北関係だった。

昨年四月、北朝鮮がミサイルを移動して軍事的圧力を韓国に加えたとき、朴大統領は北朝鮮との対話姿勢を確認した。

北朝鮮の挑発に対処するが、米国、中国の協力を得ながら南北間の信頼を築くことによって、朝鮮半島に持続可能な平和を定着させ、平和統一の基盤を構築する方針に基づくものだった。

五月に北朝鮮が緊張をあおる言動を停止したとき、韓国内では、朴政権が米国、中国と連携した成果との評価が高まった。

七月には南北間で、開城工業団地の操業を再開する協議が始まり、九月に再開された。朴政権の対北政策の勝利とされている。

北朝鮮政策、米国との同盟関係強化、中国との関係緊密化で成果があったということで、朴大統領に対する評価は上昇し、昨年七月に行われた世論調査では、政権に対する国民の支持率は六三%に達した。

大統領選挙の得票率が五一・六%であったことを考えると、大幅に支持を伸ばしている。

 朴大統領の戦略の基本にあるのは、米中と協力して北朝鮮に接し、軍事的には万全の備えをして日本に譲歩を迫るというものだ。

 昨年六月、朴大統領は訪問先の中国で、「東北アジア地域には、経済的力量と相互依存が増大しつつあるにもかかわらず、過去の歴史から始まった葛藤はより深刻化され、政治・安保面の協力は後退する・アジア・パラドックス・が現れている。このような状況を克服するためのビジョンとして東北アジア平和協力構想を推進する」と述べた。

この地域で未来の政治と安保分野の協力を推進するために、過去の歴史からくる葛藤を解決しないと韓国が見なす国家は、その枠組みから外すという「未来志向」の宣言であった。外されるのはもちろん日本だ。

背景にある国力への自信

 韓国の専門家と議論すると、東アジアの信頼醸成のプロセスは、中国、米国、韓国の協調でやり、日本を除外しても大丈夫という「未来志向」の議論に圧倒されることが多い

その背景には外交面、経済面での国力への自信がある。

 国連事務総長は韓国人であり、国際金融関係のトップにも韓国人がついた。

ソウルの西にある仁川市に、GCF(グリーン気候基金)の事務局を誘致することに成功した。サムスンはソニーを追い越し、現代は健闘している。こうした自信に加え、中国の台頭、日本の国際的影響力の低下、日本経済の苦境という現実を踏まえれば、中国重視、日本外しという「未来志向」の戦略は、韓国にとっては極めて合理的なのだろう。

 また、韓国の反日には、韓国が国際社会でさらに躍進するためには、日本の存在が障壁になっているという側面もある。

 一月十五日、朴大統領は訪問先のインドで、国連安保理改革について、「常任理事国を増やすよりも、定期的な選挙を通じて、変化する国際環境にも能動的に対処できるやり方で非常任理事国を増やすほうが望ましい」と表明した。

 韓国は日本の常任理事国入りに反対しているが、韓国のメディアの論調などから見えてくるのは、「アジアでは韓国が次の常任理事国になる」という目標だ。

韓国政府は、「日本は戦争の償いをして、中国、韓国の同意を得なければ」と繰り返してきた。

さらに、常任理事国の増加そのものに反対し、日本の目標を妨げる。その本音は「日本が常任理事国になれば、韓国がなれないから」ということだろう。

 また、昨年九月にアルゼンチンで開かれた、二〇二〇年の五輪大会開催地決定の会議では、韓国の二人のIOC理事が東京に支持票を投じなかったようだ。

韓国には、二四年の五輪を釜山に誘致する構想があるからだ。二〇年に東京で五輪が開催されたら、二四年に釜山での五輪開催は不可能になる。隣国であるため、韓国が力をつければつけるほど、日本と利害が対立する構図だ。

 一方、経済面では、中韓の部品貿易が急速に伸びており、中国の税関総署の統計では、二〇一三年一~十一月の中韓貿易の金額は約二五〇〇億ドル(二五兆円)と、前年同期比七・四%増となった。

この時期の日中の貿易額は同六・二%減の約二八四〇億ドルであった。中韓貿易との差は約三四〇億ドルであり、逆転するのは時間の問題になった。

 韓国の中国への輸出は、サムスン電子、LG電子のスマートフォン、ポスコの自動車用鋼板、厚板などで、二〇一三年の韓国の輸出額に占める中国の割合は初めて四分の一を超えた。日本と韓国の貿易は一三年、一〇・四%減っている。

 日本人旅行客は韓国への旅行を控えるようになり、韓国への外国人旅行客は、一三年、初めて中国人が最多となった。韓国経済は急速に「日本」から「中国」に乗り換えつつある。

 こうした状況下で就任した朴大統領が最初から反日の姿勢をとったことは、韓国にしてみれば当然のこととなる。朴政権の反日姿勢は、韓国の国益を考えた「未来志向」の戦略であり、韓国にとって現時点でそれはうまくいっているといえるだろう。

バラ色の国家戦略

 韓国のこの姿勢は、いつまで続くのだろうか。

中国の国際的地位が上昇し続け、中国経済が右肩あがりを持続し、日本経済が弱体化し日本の国際的地位が没落し続けるのであれば、正しい選択であるに違いない。

それは時間がすぎてみないとわからない。朴政権発足時の韓国の判断は、日本が北東アジアの主要な地域大国として復活しないという判断であった。

 二〇一一年から一三年まで、韓国に滞在して大学の教壇に立ちながら韓国での国際会議や、学者の集まりで、討論をする機会があった。

韓国人専門家からは「日本はどうしてこのような発信力のない弱い国家になったのか。気の毒な日本」「韓国は日本の国際的地位を計算する必要がなくなった」という話ばかりを聞いた。

東日本大震災と原発対策で疲弊した日本は、アジアの指導的国家として考える必要がないという雰囲気が韓国には満ちていた。

韓国がアジアの先頭に躍り出るとき、経済分野と歴史認識問題で日本を封じ込め、中韓協力を強化して、米国の支援を得れば大丈夫という判断があった。

 中国は機を見るに敏である。日本批判を続けながら中韓貿易を拡大する韓国に対して、様々な便宜を供与し続けた。

北朝鮮の地下資源を一方的に中国に輸入しながら、一方では中韓貿易を拡大して、朝鮮半島の南北に対する影響力を拡大する構想を持っているからである。

 日本を押さえ込めば中韓両国に利益ありという戦略で中国と韓国は一致しているので、慰安婦問題、ハルビン駅の安重根記念館開館、靖国神社参拝をめぐっては、中韓はいつでも連携することができる。

そこには「加害者に対する被害者の苦しみ」という言葉ではあらわせない未来志向の構想があることを見抜かねばならない。

 朴大統領の反日姿勢は、強まることはあっても弱まることはないだろう。

朴大統領のもとでは、日韓関係について日本専門家が大統領府に助言をすることが不可能な状態だ。

大統領側近に日本通がおらず、日韓国会議員交流の成果が大統領府の政策に活かされる構造になっていない。

韓国外交部北東アジア担当部門のトップは中国スクールで、「中国を韓国外交の中心に据える」という戦略はますます加速している。

 日本批判をし、歴史問題をネタにして、中国と一緒に日本の非を指摘し続けることにより、韓国内で圧倒的な支持を獲得することができる。

国民の支持率が低下すれば、日本を批判して、国内の人気を挽回することができる。反日がもっともてっとり早い方策であるのはいままで通りである。

 朴政権の政策は政権発足時のままである。朝鮮半島の信頼プロセスと北東アジア平和協力構想を通じて、この地域の平和と繁栄を模索すると強調し、日本の役割に触れなかった政策である。

中韓の戦略対話と経済緊密化を進め、米国との同盟を強化してゆくとき、韓国経済は世界市場で存在感を増し、バラ色の未来があるという国家戦略は、一年後のいまも変わらない。

中国依存への不安も

 朴大統領は中韓関係を強化しつつ、日本批判を続けながら、中国との間の懸案事項を対話で解決してきた。

朴大統領が昨年六月、中国を訪問して首脳会談をしたとき、両国の軍事分野の人的交流を拡大することに合意し、中韓の制服組トップ同士の信頼関係ができつつある。

両国の外交と軍事分野の研究機関が合同で中韓戦略対話を実施したのは両国の軍事交流の成果のひとつである。

 昨年十一月下旬、中国が防空識別権を拡大して、日中関係が緊張したが、中韓でも領有権をめぐり係争中である岩礁を防空識別圏の中に入れたので、論争が起きた。

しかし、中国政府関係者は「中韓は(日中とは異なり)話し合いで解決できる関係」と述べ調整を急ぎ、その言葉通り、中韓間で防空識別権問題が紛糾することはなかった。朴政権の反日姿勢が韓国にもたらした利益のひとつであった。

 朴大統領の置かれた立場は、日韓関係に関するかぎり厳しいものではない。

日本に譲歩することのほうが国内政治と対中外交上のリスクがある。

日本との関係改善に軽々に乗り出せば、中国からの厳しい揺さぶりに直面するだろう。

朴大統領は中国の気分を害してまで、日本との関係改善を模索することはできない。

ましてや円安、ウォン高で韓国経済が苦境に陥り、中国経済への依存度を高めつつあるとき、反日、親中路線を強化する以外の選択はない。

 では、韓国内に「日本を外し、中韓を強化することにはリスクがある」という意見はないのだろうか。

韓国ソウルにある峨山政策研究院世論研究センターは、昨年十二月二十六日の安倍首相の靖国参拝直後に世論調査を実施した。

その結果では「日本との積極的関係改善のために大統領が積極的に動くべき」(五七・八%)という意見が「必要ない」(三三・八%)より多かったそうだ。

韓国社会は、朴大統領の対日姿勢がいまのままでよいと考えているわけではないという結果である。

 その背景には、韓国が中国経済だけを頼りにしていて大丈夫かという将来への不安があるだろう。

韓国済州島では、観光振興のために、中国の不動産業者の要求を受け入れて、大規模な住宅地造成をしているが、済州島の先祖代々の墓を更地にして、マンションを建てることに、韓国人は複雑な思いを抱きつつある。

経済優先、中国マネー誘致のために韓国の先祖代々のものを地ならしすることへの抵抗である。

これは、韓国で存在感を増す中国という存在に対する韓国社会の葛藤であり、韓国のいまの国家戦略が持つリスクのひとつであることに韓国人のごく一部は気づきはじめたように見える。

 一方で、韓国では安倍政権はかつての政権とは違うという見方が浮上しつつある。

韓国に譲歩を繰り返した過去の政権と違い、安倍政権は歴史問題で圧力をかけても譲歩する兆候がない。

 中国経済に依存し、中韓協力を外交の柱に据えた韓国は、日本外しの戦略を維持しながら、米韓関係を調整しつつある

しかし、中国経済の好調は長期間続くものではない

中韓FTA締結や、韓国の核兵器保有につながる米韓原子力協定の改定問題で、米韓関係は波瀾含みだ。

韓国の対中、対米、対日政策のメリットとデメリットの結果は、意外と早く出るのではないだろうか。


(了)

 

 


オバマの前で「中国が頼み」と言い切った朴槿恵

2014年04月30日 12時30分44秒 | Weblog

オバマの前で「中国が頼み」と言い切った朴槿恵

首脳会談でも韓国を引き戻せなかった米国

鈴置 高史

日経ビジネス

2014年4月28日(月)

4月25日の米韓首脳会談で、オバマ大統領は韓国の「離米従中」に歯止めをかけられなかった。

北朝鮮の核武装が現実味を帯びる中、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が最も期待する「止め男」は習近平国家主席だからだ。

踏み絵は2枚

 今回の米韓会談の焦点はただ1つ。

「中国の指示通りに動くようになった韓国を、米国が手元に引き戻すことができるか」だった(「『自殺点』と日本を笑った韓国の自殺点」参照)。

 「韓国の従中」は米国にとって、もはや朝鮮半島という地域の課題にとどまらない。

シリアやウクライナでの弱腰で「オバマのアメリカ」は世界中の同盟国から信頼を失いつつある。

ロシアや中国はそれに付け込もうと画策する。

 米中間で二股外交を展開する韓国を今、叱り飛ばしても引きつけておかないと米国の権威は失墜し、覇権も揺るぎかねない状況だ。 

 ことに3月末に北朝鮮が4回目の核実験の実施を示唆したばかりだ。

この実験が成功すれば韓国の「従中」に拍車がかかる可能性が大きい。

 今回、米国が韓国に迫った“踏み絵”は2枚。

米国が主導するミサイル防衛(MD)への参加と、機密情報の交換を約束する軍事協定を日本と結ぶことだ。

 いずれも日―米―韓の3国軍事協力体制を強化する目的だ。

そしてだからこそ、自身への包囲網を作られると恐れる中国が強力に反対し、その中国に脅された韓国はこれらを拒否してきた。

あっけなく合意したが……

 では、首脳会談で米国の要求は通ったのか。まず、MDの導入。10年以上も韓国が逃げ回ってきたこの問題は、あっけなく合意に至った(注1)。

オバマの顔さえ立てれば

日本の専門家はこう読む。

    • 韓国と米日の別個のMDを統合運用するのは技術的に不可能に近い。

 

    • そもそも韓国が独自のMDを開発するのは経費、時間の面からいって現実的ではない。

 

  • 「韓国型MD」の開発・導入を韓国政府が本気で言っているとは思えない。米軍もまともに機能するとは見なしていないだろう。

 

韓国のハラづもりは以下であろう。

    • 中国に対しては「構築するのはあくまで韓国独自のMDであり、3国軍事協力体制に組み込まれたわけではない」と言い訳する。

 

    • 米国には「相互運用性を向上させれば米国主導のMDに参加しているのと同じだ」と納得してもらう。

 

    • 実態がどうであろうと、米国だってオバマの顔を立ててもらえれば文句はないはずだ。

 

  • 我が国は敵ミサイルを捉える能力が足りない。米国のくれる衛星情報はあった方がいい。

 

 米国から突きつけられた踏み絵を、韓国は別の物にすり替えて踏んで見せた。

米国も、それは分かっていて「合意」したのだろう。大統領訪韓の目に見える成果が必要だったのだから。

早くも空手形?

 そして、もう1つの踏み絵である日本との軍事協定。韓国はこれも米国に譲歩した。

しかし、早くも空手形になる雲行きだ。「Joint Fact Sheet」(英語)では以下のように記された。

  • 米韓両国は北朝鮮の核とミサイルの脅威に対抗するため、米韓日3国の情報の交換が重要であるとの認識で一致した。

 

 軍事協定を結ぶとまで韓国は約束しなかったが、含みは持たせた。だが、朴槿恵大統領は共同会見で記者の質問に以下のように答えた(注4)。

(注4)朴槿恵大統領の発言はここで読める(韓国語)。

  • 従軍慰安婦問題に対し(日本が)何か実質的な提案を持って誠意ある努力をなした時に、信頼の絆が生まれ「協力しよう」という動力となるであろう。

 

 「慰安婦問題で進展がないと日本とは一切、協力しない――つまり、軍事協定は結ばない」と言ったのも同然だ。

 2013年9月に訪韓したヘーゲル米国防長官も3国軍事協力を求めた。朴槿恵大統領は直ちに拒否したが、この時も「慰安婦」を言い訳に使った。韓国の姿勢も手口も全く変わっていない。

国防長官も"子供の使い"

 仮に日本が「何か具体的な提案」を提示しても「不十分」と言い続ければ軍事協定の締結を拒否できる、との思惑が韓国にはあるのだろう。

「日本の謝罪は不十分だった」と後から言い出し、謝罪や金銭を何度も要求するのが韓国の常道だ。

 いずれにせよ、昨年は国防長官を"子供の使い"にされた米国。今度は大統領までソウルに送った。それでも韓国の姿勢を根本から変えることはできなかった。

 オバマ大統領は訪韓を控えて実施した中央日報の書面インタビュー(4月25日)で、韓国の「離米従中」に警告を発していた(注5)。

(注5)ここで読める(英語)。

 米国も「頑固な朴槿恵」は十分に知っている。搦め手から攻めたのだろう。ハイライトは以下だ。

  • (安全保障面で米国と強固な関係を持つ韓国が、特に経済面で、急速に中国に傾いているという印象をオバマ大統領は持つかとの質問に答え)朴大統領が中国との建設的な関係を深めることを我々は歓迎する。ただし、韓国の安全と繁栄の基礎となっているのは依然として米国との同盟である。

 

 「米国との同盟なしでは、ちゃんとは生きていけないぞ」と脅したわけである。確かに、韓国側はここを突かれると弱い。

 強大な隣国、中国になびきたいが、今現在、北朝鮮から守ってくれているのは米国だからだ。経済面でも「米国傘下」だからこそ資本も技術も入ってくるのだ。

アジア回帰の実績を見せよ

 困った韓国の指導層は、米国の弱点を突き返す理屈を検討したようだ。

その一端が顔をのぞかせたのが「親・朴槿恵」紙、朝鮮日報の「"信頼の危機"に直面するオバマのアジア政策」だ。

 筆者は朴斗植(パク・トシク)論説委員。オバマ訪韓直前の4月23日に掲載された。記事に付けられた要旨は以下だ。

  • 米国は「アジア回帰」「再均衡」といった外交的な修辞を総動員し、アジア重視を強調する。しかし、ほとんどは掛け声倒れだ。オバマの韓日歴訪は米国への不信感を払拭する機会だ。

 

 記事の内容もオバマ大統領に手厳しい。ポイントは次だ。

    • 米国のアジア政策に対する懐疑的な見方が米国内にも広がっている。米国の言葉と実際の行動が異なっているからだ。

 

  • 「回帰」や「再均衡」が現実のものになるのか予測できない。オバマ大統領が強い意志を示したことがないからだ。

 

 オバマが「離米従中」をやめよ、と迫って来たら、お前こそ「アジア回帰」の実績を見せよ、と言い返す作戦だ。

 一方で、この記事には言い訳めいた部分もあり、また、同盟の破局まで示唆し「泣き」を入れたくだりもある。以下である。

    • 米国の意を迎える韓日間の競争は日本(優勢)に傾きつつある。日本は米国が要求する政治、経済、軍事面での要求をすべて受け入れる態勢を整えたからだ。

 

    • 韓日両国は対中関係で根本的な違いがある。日本は中国との覇権争いにすべてを投入する。一方、韓国は北朝鮮問題や統一を見据えて動かねばならない。

 

  • 韓米同盟にこうした韓国の戦略的苦悶を受け入れる幅と深みがなければ、近いうちに本当の危機を迎えるだろう。

 

習近平に突然の電話

 韓国にとって、米国への反撃の手法はもう1つある。

「米国よりも中国の方が頼りになる。米国があまりにうるさいことを言うなら、完全に中国側に行くぞ」との威嚇だ。

 朴斗植論説委員の記事の「近いうちに本当の危機を迎えるだろう」という部分は、まさにそれであろう。そして、韓国は「口だけ」ではなかった。

 オバマ訪韓を2日後に控えた4月23日、朴槿恵大統領は突然、習近平主席に電話をかけた。

 韓国各紙によると「北朝鮮のさらなる核実験はこの地域の核のドミノを引き起こす。北に対する一層の努力をお願いしたい」と要請した。

 これに対し習近平主席は「北朝鮮の核保有に反対するとの立場は中韓両国で一致している」と韓国との共同歩調を示唆、朴槿恵支援の姿勢を明確にした。

やり取りは非公開に

 韓国の通信社、ニュース1は「オバマ訪韓を前に朴大統領、習主席と電話」(4月23日)で次のように解説した(注6)。

(注6)ここで読める(韓国語)。

    • 米国は中国牽制のため、日本との新蜜月関係に韓国の参与を期待している。

 

    • しかし韓国政府は北朝鮮との問題で、中国の調停者としての役割が必要だ。

 

    • オバマ大統領のアジア歴訪を通じた、韓―米―日の3国同盟強化は我々としては負担となっている。

 

  • 朴大統領は習主席との通話を通じ、米国との協調よりも中国とのそれが重要だという点を改めて強調したのだ。

 

 今回の米韓会談では、首脳同士のやり取りは、会談前から非公開と決められていた。

北朝鮮の手前、結束を見せないといけないというのに、中国問題では米韓の間で激しい対立が予想されたからだろう。

 このため、どんな会話が交わされたかは漏れて来ない。

ただ、2013年9月以降の国防長官、副大統領、国務長官の訪韓時の発言から考え、オバマ大統領が「離米従中」を諌めたのは間違いない(「『歴史は棚上げしろ』と韓国に命じた米国」参照)。

 そして、朴槿恵大統領も「米国の無力化」「頼りにできる中国」などを挙げて反論したと思われる。

最大限サービスしたのに

 実際、米韓首脳会談の後の共同会見で朴槿恵大統領は「中国への厚い信頼と期待」を表明した。

もちろんオバマ大統領の目の前でだ。朴槿恵大統領は記者の質問に答え、以下のように語った(注7)。

(注7)ここで読める(韓国語)。

  • 中国は北朝鮮の貿易の90%、経済支援の80%以上を占めているので、影響力は相当に大きいと思う。現在の危険な状況下で、中国がリーダーシップを発揮し、脅威が現実のものにならないようにしてくれることを望む。

 

 北朝鮮には中国が最も大きな影響力を持つのは事実だ。それ故にオバマ大統領も中国に対北圧力を期待している。

 だが、同盟国たる韓国の「離米従中」を阻止するために忙しい時間を割いて訪韓したら、自分の目の前で韓国の大統領が「中国頼み」をあからさまに表明する……。オバマ大統領にとっては何とも不本意な出来事だったろう。

 神戸大学大学院の木村幹教授は「韓国を自分の陣営に引きとめようと、オバマ大統領は今回の首脳会談で、最大限の"サービス"をした」と評する

 戦時の作戦統制権の問題では韓国の虫のいい要求を受け入れ、委譲時期の延期に事実上、踏み切った。従軍慰安婦に関しても「ひどい人権侵害だ」と共同会見で語り、韓国の肩を持った。

「言うだけ番長」のオバマ

 ただ、木村教授は「オバマ大統領の"サービス"を、韓国が評価するかは別の問題」とも言う。

 確かにそうなのだ。4月26日の朝鮮日報の社説をオバマ大統領が読んだら、さぞ大きなショックを受けたことだろう。見出しは「米国は口先でアジアのリーダーシップを発揮できない」。要旨は次の通りだ。

    • 今回の首脳会談は、北朝鮮が4回目の核実験を強行する動きを見せる中で開かれた。

 

    • しかし4回目の実験を阻止する具体的な方策に関しては「中国の役割」が強調されただけで、それ以上の内容は示されなかった。

 

    • 朝鮮半島は今、米中対立と韓日対立、さらには北朝鮮リスクという重層的問題を抱え込んでしまった。

 

    • オバマ大統領は2011年に「アジア回帰」を宣言した。しかし(言葉通りにアジアに回帰しなかったせいもあって)共同会見で米国記者の質問はウクライナに集中した。

 

    • 韓国を含むアジアの関係各国も韓国国民も米国のアジア政策に疑問を抱かざるを得ない。

 

  • 現在、オバマ大統領にとって必要なのは言葉ではなく実践だ。このままでは米国がアジアでリーダーシップを確保するのはますます難しくなるだろう。

 中韓首脳会談で大勝負?

 韓国の保守系紙の多くは平凡な社説を載せている。

中央日報の「韓米同盟をアジア太平洋の核心軸と再確認した会談」がその典型だ(注8)。米大統領訪韓へのご祝儀といったところだ。

(注8)ここで日本語で読める。

 朝鮮日報の社説は相当に異例なのだが、政権との近さを考えると、朴槿恵大統領の本音を代弁しているようにも見える。

 今回、米国は「離米従中」に歯止めをかけるために大統領をソウルに送り込んだ。だが、こうした社説が最大手紙に載ったことを考えると、それは空振り、いや、逆効果になった感さえある。

 朝鮮半島の勢力図を変え得る、次の首脳外交は習近平主席の訪韓だ。まだ時期は「年内」としか決まっていない。

 しかし、習近平は中国の影響力に自信を深めていることだろう。

朴槿恵が北京を見つめながら、オバマの攻勢から逃げ切ったのを確認できたのだから。

 韓国が二度と米国側に戻れないよう、中国はここで一気に勝負に出てくるかもしれない。

(注1)ホワイトハウスが発表した「Joint Fact Sheet」(英語)で読める。

 もっとも、それを米国主導のMDと呼ぶのは難しい。朴槿恵大統領は「韓国型ミサイル防衛システムである」と共同会見で明言し、米国が主導するMDとは明らかに一線を引いた(注2)。

(注2)朴槿恵大統領の発言はここで読める(韓国語)。

 半面、韓国政府は「米国や日本が構築するMDと連動すべく『相互運用性』を改善する」(朝鮮日報「韓米首脳、初めて連合司令部をともに訪問」=4月26日)とも説明している(注3)。

(注3)ここで読める(韓国語)。


韓国経済ウォッチ~中国の今後

2014年04月30日 08時58分22秒 | Weblog

韓国経済ウォッチ~中国の今後

経済
2014年4月 7日
 
 
 
 日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

<日本との類似性>


 1980年代の日本の経済力は、飛ぶ鳥をも打ち落とす勢いであった。年間1,000万ドルを超える貿易黒字を出すことによって、アメリカと貿易摩擦を引き起こすことにもなる。

日本は短期間に蓄積された莫大な資本力を武器に、アメリカの不動産と企業を買い漁るようになる。

当時、東京の書店街には、「日本経済は21世紀を制覇する」というような、日本経済に対する自信に満ちた書籍が多数出版されていた。あれほど自信に満ちていた日本経済が今のような状況になろうとは、誰も想像できなかった。

syanhai.jpg しかし、その当時も日本の未来に対する既成世代の懸念は、全然なかったわけではない。

先祖が血と涙の努力の結果に手に入れた経済の豊かさに、今の若い世代はタダ乗りしているとか、豊かになったせいで今の若者にはハングリー精神が欠如していて、現状維持をするのは難しいだろうとか、日本の未来に対して不安に思っている意見もあったのだ。


 日本経済の絶頂期であった1980年代から20年以上経った今、現在の日本経済は力強い成長も見られず、世界第2位の経済大国の地位も中国に譲っている。

たしかに日本経済は絶頂期のときに比べると、世界経済で日本経済が占める比重は縮小しつつあるが、日本経済が今後どのような姿になるかは、もう少し推移を見守る必要があるだろう。

失われた20年を経験しているにも関わらず、日本経済は底が固いし、最近の個人金融資産の発表によると、前年対比個人資産が200兆も増加し、1,645兆になっている。

日本経済の底力がうかがえる
 

ところが、中国は日本が低迷していた時期に、急速に浮上してきた。世界経済の成長エンジンになっている中国経済を切り離して世界経済の行方を議論するのも難しいほど、中国経済は世界的に大きな存在になっている。

アメリカも、中国製なしでは生活が成り立たないくらい中国製が生活に深く関わっているし、日本や韓国も農産物もさることながら、中国で生産しないと価格競争できる製品をつくれない状況になりつつある。

 また、中国は生産工場としてではなく、今後、大きな消費市場として生まれ変わろうとしている。

製造の軸がアジアに移った今は、一番先に産業化に成功した日本と、日本から技術を教えてもらいながら、量産技術を磨いてきた韓国、それからすでに技術的にも韓国との格差がなくなりつつある中国とがどのような戦略で競争していくのか、推移を見守る必要がある。

 とても面白いことに、中国に対する経済依存度が高くなっている韓国の書店街には中国経済の展望について比較的に明るいものが多いのに比べて、日本の書店街には中国経済の展望に悲観的な書籍が溢れている。

アメリカも、どちらかと言うと悲観的な書籍が多いような気がする。


 しかし、そのようななかでも、アメリカ国民がアジアで最も大事だと思っている国は、今や中国であるし、中国との国家レベルでの情報交流も頻繁になっている。

韓国は、貿易において今一番の相手国は中国であるし、加えて、日本との歴史問題などもあって、中国と仲良くなっている側面もある。

しかし、一部では覇権主義国家であり、韓国とは体制が違う中国との関係に、警戒感を示す韓国の専門家があるのも事実である。また、経済に詳しければ詳しいほど、日本との関係は大事であると力説する韓国の専門家もいる。

<多様な中国関連のシナリオ>
 

そのなかで、ある日本の経済学者が分析した中国経済に対する展望は、かなり説得力があった。その日本の学者は、中国の経済状況は20年前の日本の経済状況とかなり類似している、と指摘している。

 日本の経済が衰退し始めた時期を、1985年のプラザ合意であると指摘する学者もいる一方で、大多数は90年代の初めに始まったバブル経済の崩壊を挙げている。

当時、日本全国の不動産価格の合計金額は2,000兆円で、アメリカを4つ買えるような金額であった。

バブルがはじけ、不動産価格が半分に、また3分の1にまでなったところもある。

経済成長で蓄積した資金を不動産につぎ込んだことによる後遺症が現れることによって、日本経済は不調に陥ったのである。

日本の経済学者は、中国の不動産市場の状況は、その当時の日本と似ていると指摘している。

中国不動産のバブルがはじけるのは時間の問題であると見られていて、その兆候がいろいろなところで現れ始めている。

中国経済にある程度知識のある人であれば、中国が高度成長をする過程で建設と不動産に資金が必要以上に流れ込んでいて、バブル気味であることは知っている。

 それに供給過剰の問題も抱えている。90年代の初めに、日本の産業界は家電、鉄鋼、化学、自動車、半導体、エネルギーなど、全産業において供給過剰がピークに達していた。

当時の日本の企業は、今後も市場で需要が持続的に増加すると予想し、設備投資を続けていた。
 

しかし、急激に需要が冷え込み、その結果、大規模のリストラを実行せざるを得なくなったし、企業が倒産することによって発生する失業も急増した。このような供給過剰も、今現在の中国経済においては、大きな悩みのタネの1つである。

syanhai2.jpg 日本経済がぶち当たった高齢化問題にも、中国は直面している。

14億人に達する人口大国である中国では、高齢化が急速に進んでいて、それも大きな問題を孕んでいる。

老人人口の増加と人口増加を抑制するために取った産児制限の結果、労働人口の減少がそれである。

急激に増えつつある人口を何とか抑えようとして取った政策が、別の問題を起こしているのだ。

産業現場に新規労働力の投入が減っているし、2030年頃には、中国は労働者を外国から入れないといけないようになると言う予想すらある。

 二十余年前の日本経済との類似性以外にも、最近、中国に対する悲観的な意見が段々多くなっている。
 

ウォールストリートジャーナルのコラムニストであるマイケル・オースリンは、「中国のパーティーは終わった」という記事で、長期間累積されてた中国の問題はこれ以上放置できない状況になっていると警告している。

彼は、「バラ色であった中国経済は今後20年間大きな試練に立たされるだろうし、その結果は誰も予断できない」と言っている。
 それに、中国は日本と違って、金融システムが整備されていない。最近話題になっているシャドーバンキングの問題は、金融制度が整備されていないなかで出てきた問題である。

 地理的に、韓国は日本と中国の間に位置している。

日本と中国が政治的にも、経済的にも安定して発展していくのが望ましいのだ。しかし、現実は楽観論と悲観論がオーバーラップしていて、判断が難しい。

ある人は日本の復活を主張するし、またある人は中国は今後も成長し続けると言い切る。しかし、私たちはもっと冷静になって未来を見つめ、バランスの取れた視点で未来を予測する必要がある。

 今、日本、中国、韓国は経済問題だけでなく、歴史問題などでどの時期よりも関係が悪化しているし、ギクシャクしている。

今はグローバル時代で、自国だけで完結するものは少なくなっている。つまり、お互いにかなり複雑に関連している。

政治家、マスコミが中心になって、まるで相手の国の国民がそのような考え方をしているかのような印象を植え付けてしまうが、実際はかなり違うのですごく残念である。

 相手を理解する努力なしに、相手を非難するだけでは何の発展も期待できない。人間はバカであり、自分で直接経験していない苦しみを理解することは難しいが、長い歴史のなかでやっとアジアに経済の軸が移ってきた今、愚かにもお互いに感情的になってチャンスをつぶしてしまうのはどうだろうか――。


“サムスンショック”揺れる韓国経済 「告げ口外交」日本たたきのツケ

2014年04月30日 08時43分26秒 | Weblog

“サムスンショック”揺れる韓国経済 「告げ口外交」日本たたきのツケ

SankeiBiz

2014.4.29 07:32

サムスン電子の業績低迷が韓国経済を揺さぶっている。

サムスン電子の業績低迷が韓国経済を揺さぶっている。

韓国経済が“サムスンショック”に揺れている。国内総生産(GDP)の約2割を占めるサムスン電子が8日、2014年1~3月期の連結営業利益が2四半期連続で減益になったと発表したためだ。

 告げ口外交による“日本たたき”だけで国民の支持を得てきた朴槿恵(パク・クネ)政権。

サムスンの収益悪化が鮮明となる中、効果的な政策を打てなければ、経済崩壊も現実味を帯びてくる。

 営業利益4・3%減 二四半期連続の衝撃

 サムスンが発表した14年1~3月期の連結決算(暫定集計)によると、本業のもうけを示す営業利益は前年同期比で約4・3%減の約8兆4千億ウォン(約8200億円)。営業利益の減少は2四半期連続だ。

 売上高は約0・2%増の約53兆ウォン。部門別の業績は公表されていないが、主力製品のスマートフォン(高機能携帯電話)の減速やウォン高などが影響したとみられる。

サムスンは前四半期(13年10~12月期)の連結営業利益が2年ぶりの減益となり、数年来、右肩上がりで伸びてきたサムスンの成長に“黄信号”がともっていた。

電機業界に詳しい日本の関係者は「2四半期連続の営業減益というのは想像以上の衝撃ですね。

もはや稼ぎ頭のスマホでは収益を上げるのが難しいことがはっきりした」と指摘する。

 2四半期連続の営業減益とはいえ、赤字に転落したわけでもない。パナソニック、シャープ、ソニーなど日本の家電各社が数年前まで赤字を垂れ流していたことに比べると、サムスンの経営はまだまだ健全といえる。

それでも韓国が大騒ぎをするのは、サムスンの業績低迷はそのまま韓国経済の凋落(ちょうらく)につながるからだ

 十大財閥がGDPの7割占める歪さ

 韓国のGDPの約7割は現代自動車など十大財閥企業が占めており、なかでもサムスンはその2割に達する。

13年10~12月期に営業減益になったときは2年ぶりとはいえ、一時的なマイナスとの見方もあったが、今回の減益でサムスンの業績が下振れしていることは間違いない。

 1月9日付の朝鮮日報(電子版)によると、『韓国政府はサムスンと現代自動車を除外した経済指標を発表する準備を進めている』という。

経済の実態を正確に反映させるのが狙いで、記事中で企画財政部の関係者は「韓国経済はサムスンと現代自に過度に依存し、統計がゆがめられる錯視現象が起きているとの指摘がある。

政府としてもそれがどの程度かを確認する必要があると考えた」と述べた、としている。

 「錯視現象」とは、実際はサムスン、現代自の業績にもかかわらず、経済全体が好調と錯覚してしまうもので、韓国経済の現状に危機感を抱く関係者は少なくない。

 告げ口外交に終始のツケか…

 朴政権は発足当初、情報通信技術と科学技術をベースに新しい製品・サービスを創出する「創造経済」を掲げるとともに、財閥・大企業重視を是正する方針を打ち出したが、その成果は現れていない。

「朴政権は発足以来、“告げ口”外交にのみご執心で、財閥偏重か変わらず、そのツケが回ってくる」と別の関係者は厳しく言い放つ。

 スマホ分野は、中国企業が「低価格スマホ」を武器にサムスンを激しく追い上げており、同時に薄利多売のマーケットとなりつつある。

サムスンは営業利益の6~7割を稼ぎ出すといわれるスマホの「次」が見えておらず、豊富な資金力を活用しても、現時点で業績が再び急上昇することは考えられない。

 『サムスン電子の業績がなければ韓国経済は昨年マイナス成長を記録していたといわれるほど、国の経済全体に占めるサムスン電子の影響力は大きいのだ』

 1月8日付の朝鮮日報の社説(電子版)はこう警鐘を鳴らす。サムスンがつまずけば、韓国がつまずく-という構図が現実となる日は近い。


韓国の個人負債、スペイン並みに深刻

2014年04月28日 20時39分57秒 | Weblog

韓国の個人負債、スペイン並みに深刻

2012年06月14日

[ 中央日報日本語版]

  韓国の国内総生産(GDP)を考慮した個人負債規模が財政危機に陥っているスペイン並みに深刻な水準となった。

  個人負債の増加速度は経済協力開発機構(OECD)加盟国で3位と平均を大きく上回った。 

  大韓商工会議所が14日に発表した「個人負債現況と政策課題」報告書によると、2010年の韓国のGDPに対する個人負債の比率は81%でOECD平均の73%より高かった。  

  これは財政危機を陥っているスペインの85%に迫る水準だ。ギリシャの61%より20ポイント高い数値だ。

  個人負債増加幅も急速に拡大していうる。2006年以後鈍化した個人負債増加率は2010年に前年比2.4ポイント上昇の9.8%を記録した。

  同じ年のGDP成長率の6.3%より高い数値だ。OECD加盟国中ギリシャの12.1%、トルコの10.8%に続き3番目に高い数値だ。

  大韓商工会議所は「OECDが今年の韓国の経済成長率を3.3%と低く予想した理由として高い個人負債を指摘するほど韓国の家計負債は規模や増加速度の面で問題になりかねない」と分析した。

個人負債1千兆ウォン超える…景気回復への影響懸念=韓国

2014年04月28日 20時29分55秒 | Weblog

個人負債1千兆ウォン超える…景気回復への影響懸念=韓国

2014年01月08日09時03分
[中央日報/中央日報日本語版]

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韓国個人負債、1000兆ウォン突破。
 
  膨らんだ個人負債が結局1000兆ウォン(約97兆8000億円)を超えた。このまま放っておけばさらに膨らみ消費回復の足を引っ張ることが懸念され、いじろうとすれば不動産景気に冷や水を浴びせないか心配だ。
 
いままさに回復を始めた韓国経済に最大の悩みの種だ。韓国政府は個人向け融資の速度調節に出る計画だ。
 
個人負債規模は昨年9月末に991兆7000億ウォンとすでに1000兆ウォンに迫っている。
 
韓国銀行が7日に明らかにしたところによると、昨年10月と11月の2カ月間に預金取り扱い機関(銀行、貯蓄銀行、信用協同組合、セマウル金庫など)の個人向け融資は9兆ウォン増えた。ここにまだ集計されていない保険、キャピタル、カード会社の個人向け融資増加分まで合わせると昨年11月末の全個人負債は1000兆7000億ウォンを超える。
 
2004年末には500兆ウォンに満たなかった個人負債規模は9年で2倍に増えた。

  今年に入り個人負債拡大を先導したのは住宅担保融資だ。
 
停滞していた住宅ローンの増加傾向は昨年5月から急激に伸びた。政府が4月1日と8月28日に不動産対策を発表すると住宅売買価格が回復し融資も増えた。
 
国民銀行のキム・ギョンジン与信商品チーム長は、「一時的な税金優遇が住宅売買市場に需要者を誘引し、ここに政府が主導して作った低金利の貸付商品が相次いで出され住宅担保融資市場が活性化した」と説明した。
 
伝貰資金の貸し付けも増え続けた。短期間に急騰する不動産費用負担を減らすため政府が低金利の伝貰資金貸付保証商品を増やしたのが原因だった。

  問題は個人負債の増加速度だ。
 
昨年6月末基準で個人可処分所得に対する個人負債比率は137%水準で過去最高だった前年末の136%より高くなった。
 
負債が所得よりも早く増加しているという意味だ。
 
韓国経済研究院マクロ政策研究室のピョン・ヤンギュ室長は、「所得が増えても負債は返し続けなければならない状況のため消費を増やせないことが韓国経済の障害になりかねない」と指摘した。
 
個人負債の増加が消費萎縮から内需沈滞へとつながる恐れがあるという懸念だ。

  住宅担保融資の満期が3~5年と短いため一度に償還時期が集まることも心配だ。
 
金融監督院によると今年一時償還満期となる銀行の住宅担保融資規模は40兆7000億ウォンに達する。
 
昨年より17兆5000億ウォン多い規模だ。もし銀行が満期になった貸付金の回収に乗り出せば家計には大きな衝撃となりかねない。
 
ソウル大学のユン・テク教授(経済学)は、「米国が量的緩和縮小の影響で今年下半期以降に金利が上がるなら、個人負債負担は大きくなる。
 
短期間に集中している住宅融資の満期を15~30年ほどに長期化できる構造を作らなければならない」と指摘した。

  1000兆ウォンという数値に負担を感じた政府は今月中に個人負債管理策をまとめる計画だ。
 
すぐに引き締めなくてはならないほど個人向け融資が危険な水準ではないが速度調節に出る時期になったとみている。
 
金融委員会のイ・セフン金融政策課長は「住宅融資構造を長期・分割償還方式に変え、弱い相互金融の貸付健全性規制を整備する案になるだろう」と説明した。
 
保証金が3億ウォン以上である高額伝貰に対しては保証を制限し、伝貰資金の貸付が過度に増えることにブレーキをかける予定だ。 

  長期的には負債を返済できる能力をどれだけ拡大できるかがカギだ。
 
現代経済研究院のイ・ジュンヒョプ研究委員は、「雇用創出で所得は増やし教育費などの支出は減らすのが最も望ましい解決策。
 
中長期的な対策を立てなければならない」と話している。

韓国、「高齢化・家計負債・投資需要不足」のトリプル需要不足時代

2014年04月28日 20時13分10秒 | Weblog

韓国、「高齢化・家計負債・投資需要不足」のトリプル需要不足時代

2013年08月06日
[ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]

中央SUNDAY第334号

  韓国の4-6月期の成長率が前期比1.1%成長し、9期ぶりに0%台の成長率を抜け出した。1-3月期の0.8%の成長に続き、4-6月期に1.1%成長したことで、危機は乗り越えたとみられる。
 
しかしこうした景気循環的な動き以外にも流れの変化にも関心を向けなければならない。
 
韓国は今後、国内需要が低迷する可能性が高いからだ。投資と消費需要レベルで、韓国は重要な転換点を迎えている。 

  ◆所得が減る高齢層 

  1つ目、高齢化に象徴される人口構造変化が消費需要を委縮させる可能性が高い。
 
現在の40・50歳代は韓国経済の生産と消費の主軸を形成している。50歳代の世帯の場合、所得1分位(貧困層)に属する比率が11%にすぎないほど所得が多い。
 
一方、70歳代の世帯は貧困層の比率が67%に達する。もちろん現在の50歳代が70歳代になる場合は少し異なるかもしれないが、高齢層世帯で消費増加を期待するのは難しい。 

  問題は現在の40・50歳代が20年後には60歳代以上、30年後ならば70歳代以上になるということだ。
 
2000年に約1100万人だった40・50歳代の人口が今まで500万人も増加し、経済の活力と消費需要を創出したとすれば、今後10年間は40・50歳代の人口は停滞状態となり、10年後からは急速に減少する局面に入る。
 
消費を支えたエンジンが過去10年間に急速に増加し、しばらく停滞した後、今後10年後からは減速モードに入る。消費というかまどに10年間にわたり薪を入れ、10年後からは薪を取り出すようなものだ。

  ◆家計の負債も問題

  2つ目、家計の負債増加で追加の消費余力がさらに減る。
 
未来アセット引退研究所にると、00年以降、40・50歳代の中産階級の世帯(所得2分位から4分位まで)は毎月約11万ウォンずつ負債が増えている。
 
これら世帯の利子負担は2000年の4万6000ウォンから2012年には9万2000ウォンに倍増した。
 
負債がある世帯は負債がない世帯に比べ月平均21万ウォンも所得が多いが、負債関連支出などで家計収支は23万ウォンの赤字だった。一方、負債がない世帯は21万ウォンの黒字となっている。 

  60歳代の所得は40・50歳代の約60%にすぎず、70歳代は30%程度にすぎないため、こうした負債構造を維持したまま60・70代になれば、負債を返済するために消費をさらに減らすか、資産を売って負債を減らしていく方法しかない。

◆企業の投資が減れば国内消費も委縮

  3つ目、企業投資需要も減っている。
 
米国も企業の利益は国内総生産(GDP)比12%レベルだが、投資はわずか4%程度にとどまっている。
 
最高経営責任者が新規市場を開拓するよりも、費用や投資を減らして利益を出すことを優先しているためだという説明も出てくる。

  韓国はこれとは違う特有の要因がある。
 
製造業を基盤とする輸出国が経験するパターンで、韓国・日本・台湾などがここに属する。
 
「国内生産・海外販売」方式であり、多くの生産基地が国内にある。初期の賃金や賃貸料が高くなく、価格競争力が高い時期は、ほとんど国内で製品を生産する。
しかし経済が成長しながら賃金や賃貸料が上がれば、国内生産の一定部門を海外生産に移す。

  国内本社には戦略やデザイン業務だけが残り、生産拠点をすべて海外に移す場合、どうなるのか。
 
企業は利益を得るが、国内の雇用が減り、その波及効果として内需が委縮し、国内成長率は落ちる。
 
こうした類型の国の中には「失われた10年」を経験した国が多い。台湾は90年代後半に、日本は90年代初期から「失われた10年」を経験した。
 
台湾は中国に工場を移して問題が発生し、日本もバブル崩壊という衝撃の中で円高が進み、企業が海外に生産基地を移した。 

  サムスン電子は今年24兆ウォンの設備投資を計画している。うち海外比率は27%だ。
 
グローバル金融危機まで11%ほどだった海外比率は昨年24%、今年27%と高まっている。国内グローバル企業のこうした傾向は続く見通しだ。 

  日本が過去に資産バブルの崩壊、高齢化、海外設備投資増加と3重の需要不足を経験したとすれば、韓国は資産バブル崩壊の代わりに家計負債増加が入り、高齢化、家計負債、投資需要不足という3重の要因が需要を脅かす。 

  人口構造の変化と家計の負債はむしろ今までは消費増加要因だったが、これからは逆に作用する見込みだ。
 
今後の需要不足現象は構造的な問題だ。景気循環的な処方だけではこれを本質的に解決するのは難しい。
 
高齢層の消費需要を引き出し、負債と住宅を過多に持つ家計が抵当証券のような住宅流動化などを通じて現金の流れを創出する一方、企業の積極的な投資誘致などを推進していかなければならない。

朴政権の支持率急落 官僚の癒着発覚 政治家はリーク合戦…沈没事故後の韓国

2014年04月26日 12時38分22秒 | Weblog

朴政権の支持率急落 官僚の癒着発覚 政治家はリーク合戦…沈没事故後の韓国

産経 ZAKZAK

2014.04.25

 


船上から沈没事故の現場を視察する朴大統領。

事故対応のドタバタで韓国民の信頼を急速に失っている 

 韓国・珍島(チンド)沖の旅客船「セウォル号」沈

没事故が韓国社会を揺るがせている。

貨物の過積載などずさんな運航を行っていた船会社の責任が問われるなか、その海運業界と官僚の癒着が発覚。

大惨事直後に与野党の政治家が酒盛りに興じていたことも分かり、物議を醸している。

救援に後手を踏み、悲劇を拡大させる朴槿恵(パク・クネ)大統領の支持率は急降下、政権批判は収まる気配がない。

 沈没事故の発生から25日で10日目を迎えた。韓国海洋警察などのこれまでの捜索で181人の遺体が収容され、行方不明者は121人となった。

 韓国の世論調査機関、リアルメーターの代表は24日までに朴大統領の支持率について、行方不明の家族が集まる珍島の体育館を訪問した18日直後は71%まで上昇したが、23日には56・5%まで急落したことを自身のツイッターで明かした。

 わずか5日間で14・5ポイントも落ちたことについて、リアルメーターの代表は、政府の危機管理に対する国民の不満の高まりを要因に挙げている。

 後手に回る救援活動で死者を増やし続ける沈没事故。真っ先に逃げ、特定犯罪過重処罰法違反容疑で逮捕された船長のイ・ジョンソク容疑者(68)らには「不作為による殺人」容疑の適用さえ指摘されている。

 そんななか、24日の朝鮮日報が気になる情報を伝えた。

 セウォル号を運航していた「清海鎮(チョンヘジン)海運」など船会社の業界団体である韓国海運組合と、監督官庁である国土海洋部や企画財政部の官僚が長年にわたって癒着関係にあったというのだ。

同紙が入手した内部資料によると、海運組合は、2010年の秋夕(チュソク=旧暦8月15日の祝日)に官僚たち20人に対し、410万ウォン(約40万円)の商品券やプレゼントを渡していたという。

 さらに同紙は、関係者の証言として、海運組合への官僚の天下りや飲食接待、時節ごとの贈り物などが常態化している現状も暴露した。

 韓国では、沈没事故の原因として貨物の過積載や安全対策の軽視などが問題視されている。業界と官僚とのなれ合いが、船会社のずさんな運航を許す結果に繋がった可能性がある。

 事故直後の政治家たちにも非難の声が上がっている。

 韓国メディアは、沈没事故発生から3日目の18日、野党・新政治民主連合に所属するソウル市城北区の区長が、民間団体関係者との酒宴に参加したと報じた。

 国民から「不謹慎だ」と批判を浴び、区長は「経緯はどうであれ、公職者として不適切な行動を取ったことは申し訳ない」と陳謝するハメになった。

 だが、朴氏を輩出した与党・セヌリ党も同じ。同党に所属する京畿道楊州市の市長がスポーツ大会後の宴会に出席している場面を写した動画や写真が、インターネット上に流れて炎上した。

 韓国事情に詳しいノンフィクションライターの高月靖氏は「事故対応をめぐって政治への不信感を募らせる国民は政治家たちの一挙手一投足に目を光らせている。

政治家のほうも、6月に迫った統一地方選挙を見据えてかなりピリピリしている。この機に相手陣営にダメージを与えようと、互いにリーク合戦を仕掛け、泥仕合になっている」と話す。

ある自治体に立候補する予定の野党の男性(53)が行方不明者の家族代表を名乗って活動していたことも発覚し、国民の怒りを助長させた。

 事故現場でも耳を疑うような事件が次々と起きている。韓国警察庁によると、ネット上に投稿された事故に関するデマなどで、23日までに87件が摘発された。

 特に悪質だったのが、21日に警察への名誉毀損(きそん)の疑いで逮捕された自称ダイバーの女(26)だ。

 朝鮮日報によれば、女は18日、事故現場近くの珍島・彭木港で、テレビ局の取材を受け、「海洋警察が民間のダイバーによる救助活動をやめさせ、適当に時間をつぶすよう指示した」と証言。

仲間のダイバーの話として「生存者を確認し、声まで聞いている」と話した。だが、後に女が潜水士の資格さえ持たず、証言内容も真っ赤なウソだったことが分かった。

 珍島の体育館には、詐欺まがいの行為を働く悪党も出現。聯合ニュースなどによると、事故以降、ダイバーを名乗る男が体育館に出入りし、「1億ウォン(約986万円)あれば、私が船内に潜って行方不明の子供を出してやれる」と持ちかけているという。

 東亜日報は、行方不明者の家族やマスコミでごった返す彭木港に、ボランティア団体が用意した食料目当てに出入りする不届き者が絶えないとも伝えた。

 こうした事態を受け、中央日報は23日、「セウォル号の悲しみを利用しようとする者は誰か」と題した社説を掲載。「政治的貪欲や私利私欲を満たすために犠牲者の周辺をうろうろして扇動するような行為を根絶しなければならない」と事故に便乗する心ない者たちを厳しく批判した。

 「政・官・財」の腐敗に、徘徊する小悪党。そしてデマ。この混乱ぶりが、行方不明者家族の悲しみに拍車を掛けている。