韓国・統一進歩党に“内乱陰謀疑惑” 幹部らが北に呼応する地下組織?
2013.08.31
産経 ZAKZAK
【ソウル=黒田勝弘】韓国の親北・左翼政党である統一進歩党に“内乱陰謀疑惑”が持ち上がり大騒ぎになっている。
情報機関の国家情報院は統一進歩党の幹部、李石基(イ・ソクキ)議員(51)らが北朝鮮に呼応する地下組織を結成し、有事に備え「銃器の確保や国家施設破壊など暴動を計画していた」として党関係者3人を逮捕し、国会議員会館の李議員室を家宅捜索するなど大々的な捜査を続けている。
韓国で刑法上の内乱陰謀罪事件は1980年5月、反政府武装闘争になった「光州事件」に関連し当時、野党指導者だった金大中(キム・デジュン)元大統領らが逮捕(後に無罪)されて以来、33年ぶり。
国家情報院は李議員らの地下組織での発言記録などを証拠として入手し、その内容の一部がすでにマスコミで報道されている。
注目されるのは北朝鮮との関係だが、今のところ具体的な指令などは明らかでない。
国会で6議席を持ち、親北朝鮮路線で知られる統一進歩党は「情報機関によるデッチ上げの政治的陰謀」と強く反発。
野党陣営は「選挙介入疑惑で世論の非難を浴びている国家情報院の居直り」と批判しており政治問題化は必至だ。
国家情報院をめぐっては昨年末の大統領選の際、心理情報局のスタッフがインターネットで与党有利の選挙工作をしていたとする疑惑が野党陣営から提起され、幹部が選挙法違反で起訴されたほか国会でも批判、追及が続いていた。
国家情報院としては、南北対立の状況下では北朝鮮による韓国への政治工作を阻止するために選挙情勢など国内政治動向の監視は不可避との立場だ。
選挙介入疑惑を機に野党陣営を中心に国家情報院の組織改革や活動制限などを要求する声が高まり、その是非をめぐって与野党が激しい攻防を展開。国内政治は「国家情報院の改革」が最大争点になっていた。
国家情報院による統一進歩党追及は「親北・左翼勢力の破壊工作から国家を守るためには政治動向監視は必要」という情報機関の役割を世論に訴えようとするものだ。
政界筋では「窮地にあった国家情報院の大逆襲」との声が聞かれる。
国家情報院など捜査当局は李石基議員も逮捕の方針だが「内乱陰謀罪」の立証は難題といわれる。
反政府・野党陣営の反発が激化した場合、朴槿恵(パク・クネ)大統領の政権運営にも影響を与えかねない。