「今年の世界経済牽引、中国する」の代わりに米国が主導
2015年01月27日10時46分
[中央日報日本語版]
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アレン・サイナイ会長 |
--米国の時代が訪れたのか。
「2008年リーマンショックで触発された経済危機からもう完全に抜け出したようだ。
--連邦準備制度理事会(FRB)が金利を上げても影響がないだろうか。
「米国経済が完全雇用に近づきながらFRBの金利引き上げは『新たな正常(new normal)』に合わせて施行されるだろう。
--オイル価格はどこまで下がるだろうか。
「1バレルあたり最低20ドルから70~80ドル間を行き来するものと見られる。
--オイル価格の下落局面で韓国のようなエネルギー輸入国が気をつけるべき点は。
「ロシアのリスク管理をうまくやるべきだ。
--中国経済はどのようにみるか
「中国経済の構造自体が心配な面がある。
あまりにも中央集中的な政府が、多元化された経済を監督している。
不正腐敗にシャドーバンキング(shadow banking、影の金融)、不動産の過剰投資まで。
このすべての問題を解決するのは、どの政府でも難しいことだ。
今、中国の景気浮揚策が物足りない印象だから中国政府も悩みが多いだろう。
浮揚はさせなければならないが余剰投資を解決しなければならず、その上に軟着陸の可能性もあるためだ。
それにもかかわらず私は中国経済に対しては概して楽観的だ。
需要があまりにも大きくアジア経済に寄与する面も大きくて、特に今年は米国が中国の成長を助けるだろう。幸いオイル価格も安い」
--中国経済に危機が訪れる可能性は。
「危機は訪れないだろう。
もちろんシャドーバンキングのような高リスク融資の正確な規模も分からない。
ゴーストタウンのような余剰マンションをどのように処理するかも未知数だ。
こういう途方もない懸案が成長を鈍化させるのに一定の役割をするだろうが、危機を呼び起こすほどではない」
--中国に投資しているか。
「中国のポータルサイト百度(バイドゥ)に投資した。
私の中国に対する立場と同じように、その会社について詳しいことは分からない。
ただ中国経済の底力を信じて投資しているのだ。株式市場の透明性がかなり不足している。だが、バイドゥを愛している」
--日本経済は人為的な円安だけで回復できるだろうか。
「私は5年前から円安にしなければならないと日本政府に助言してきた。
インフレがあまりにも低く何より消費心理が極度に萎縮した状況で財政政策がうまくいかない。
円安は輸出を増やすことよりも今後の消費にどんな影響を及ぼすかがさらに重要だ。
他国の通貨の為替レートはずっと下がっている。
それで円安の効果が減っている。
目標にした効果を得るためには、さらに円安にならなければならない。
4年前、私は日本円が1ドルあたり100円に進むといったし、今や私のターゲットは130円だ。
2~3年後には175~200円まで行くと予想している。
スイスフランのケースで見るように、今や私たちは各国の通貨が大量に行き来する時代に暮らしている。全くおかしな話ではない」
--米国証券市場と債権市場のトレンドはどのように展開するだろうか。
「米国と多くのグローバル証券市場は今年、上昇の勢いを継続するだろう。
ビジネスサイクルが拡大の一途にあるからだ。
債権市場は非常に低い金利状況で驚くべきことにずっと低い傾向を続けている。
これは世界的に低い物価、低いインフレ期待値、米国と英国・日本の金利が事実上ゼロである点などのためだ。
金利は経済が(日本や欧州などで)QEを中断してもかまわないほど強い成長の勢いを見せるまでは低い傾向を継続するだろう。
概して肯定的な2015~2016年の経済展望で留意しなければならない要素は
▼米国の消費傾向
▼日本・欧州の回復傾向
▼ドル高傾向による一部の開発途上国の低成長が米国とグローバル経済に及ぼす影響
▼オイル価格の下落の被害国が世界経済に及ぼす影響などに整理される」
アレン・サイナイ氏…1970年代から経済コンサルティング活動を始めて83~96年のリーマンブラザーズとザ・ボストンカンパニーの首席エコノミストとして仕事をした。
北米経済金融学会長、MIT教授などもつとめた。ミシガン大学を卒業し、ノースウェスタン大学で経済学博士学位をとった。米行政府と議会にも持続的に経済アドバイスを行ってきている。
(中央SUNDAY第411号)