2018年2月に開幕予定の韓国「平昌(ピョンチャン)冬季五オリンピック」。
もう3年を切りました。
プレオリンピックなどの開催を考えると、残された時間はあとわずかとなりました。
最近はオリンピックなどの国際大会では準備の遅れが指摘されることはしばしばです。
しかし、ほとんどの場合、最後は急ピッチで建設を進め、なんとか間に合わせる、ということになります。
なんといっても国の威信をかけた国際イベント。
なんとしても成功をさせる、というのが基本的なスタンスになります。
しかし、平昌冬季オリンピックはこれまでのケースよりもさらに厳しい状況があるようです。
準備は進んでおらず、開催を危ぶむ声さえ出ています。
まず、韓国での国際スポーツイベントの失態があります。
韓国でのF1の開催失敗は象徴的です。
韓国グランプリは、2014、15年と開催できませんでした。
グランプリ開催の契約は2016年までありますが、
これまで4度の開催で累積赤字は1900億ウォン(約209億円)に達しており、
組織委員会は解散してしまいました。
2014年、15年に開催できなかった違約金として、
最大1億ドルの支払いを求める通知が大会組織委員会に送付されたと言いますが、
誰がそれを払うのか。
大きな借金を残して、責任者が逃亡という失態をおかしてしまいました。
仁川アジア大会も不評でした。
大会運営費は不足し、ボランティアの質や運営体制の未熟さの問題など様々な形で運営への不備となってあらわれたのです。
聖火が消えたり、エレベータが止まったり、照明が落ちたりと、多くの問題が起きました。
しかし、冬季オリンピックはさらに大掛かりなものとなっており、
また韓国への逆風が強まる中での開催となるわけで、
一層の厳しさが予想されるのです。
最大の問題は、資金不足です。
まずは資金があれば、最後の追い込み建設なども可能ですが、
これがないとなると、非常に大きな問題となります。
まずは政府に余裕のある資金がありません。
韓国の財政は相当に厳しいものがあります。
国家の威信をかけた国際イベントといっても使える予算は限られています。
平昌市は人口5万人程度の小さな自治体です。
財政赤字の町ですから、オリンピック開催の資金を調達できるような状況ではありません。
そこで考えられたのが民間からのスポンサー収入。
しかし運営費の4割近くを賄うスポンサー契約は、
目標が30社のところまだ4社に留まっていると報じられていました。
20年の東京五輪では、すでに目標15社のうち5社もがスポンサーに決まっています。
資金がなければ開催できない、という現実が迫ってきていたのです
ここにきて、前進がありました。
平昌冬季オリンピック・パラリンピック大会組織委員会はサムスンと公式スポンサー協約式を行ったと報道されました。
これはオリンピック開催においていいニュースです。おそらく朴大統領が特別に依頼したのでしょう。
すでにオリンピック・グローバルTOPスポンサーであるサムスンは、
平昌オリンピックに特別に拠出する必要はありません。
その状態に100億円程度と言われるサポートをするというのです。
それに伴って、組織委は、
サムスンほか
大韓航空、
KT、
ヨンウォン・アウトドア、
パゴダ語学院、
サムイル会計法人など6社と後援協約を締結しました。
スポンサーシップ目標額の41%になるもので、一息つく感じです。
しかし、それだけではまだまだ足りない状態です。どうするのか。課題です。
大韓航空のいわゆるナッツ姫事件も大会に陰を落としています。
平昌オリンピックの大会組織委員長は
ナッツ姫の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長の父の趙亮鎬(チョ・ヤンホ)・韓進グループ会長。
この事件が起きてから、趙亮鎬氏はオリンピックの資金集めどころではないといいます。
追い打ちをかけるように、朴槿恵大統領の側近ら8人に対する裏献金疑惑がメディアを賑わしました。
結局、李完九()首相は4月20日、
外遊中の朴大統領に辞意を伝え、
辞任が確実になりました。
これによって朴首相の支持率はさらに低下。
オリンピックの開催に向けての資金集めにも悪影響を与えます。
韓国のこれからの経済はかなり厳しい見通しです。
中国経済も低迷をしています。
中国頼みになりつつ構造の中で、厳しい状況が予想されます。
実際にお金がなければ、開催も難しくなる可能性があります。
日本はどうするのか。
基本的に韓国の開催案件ですから韓国が決めることになります。
しかし、求められるならできるだけの支援をするのがいいと思っています。
部分的な共同開催も必要なら前向きに考えるべきでしょう。
韓国と日本とは長い友国です。
困っている時に力になるのが友人。
韓国が困っているときは日本が、
日本が困っているときは韓国が支援していくことが友国の前提です。
友人だからこそ、喧嘩もします。
喧嘩を乗り越えて、お互いに助け合うべき時だと思っています。