窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

交渉の男女差研究②-第57回燮(やわらぎ)会

2022年10月14日 | 交渉アナリスト関係


 2022年10月13日、オンラインによる第57回燮会が行われました。燮会は日本交渉協会が主催する交渉アナリスト1級会員のための勉強会です。

 今回は5月12日にお話しした、「交渉の男女差研究」の続編。前回取り上げた交渉の男女差研究から明らかになった、(男性にももちろん役立ちますが)とりわけ女性が抑えておくと良い交渉力アップのポイントについてお話ししました。

 前回もお話ししましたが、前提として全体として見れば交渉結果の男女差は有意ではあるものの、その差は小さいという結論が出ています。しかし、特定の状況によっては交渉行動や結果に男女差がみられる場合があり、この2回の燮会で取り上げているのは、その部分における議論です。また、これらの研究は主としてアメリカで行われたもので、他の文化圏でも当てはまるかのまでの検証はなされていません(一部例外もあります)。さらに、ここで「男女」という場合、それは全ての男女を指しているものではなく、過度な一般化は禁物であるという点に注意が必要です。

 以上の前提を踏まえた上で、今回お話しした交渉力アップのポイントは次のようなものです。

1.交渉力の源泉
・BATNA
・タイミング
・情報収集
・「誰かのため」に交渉する
・地位
・証拠の補強
・共通目標
・好感度
2.感情のマネジメント
・感情への対処(不安・怒り・失望/後悔・幸福)
・相手の感情への対処(二つの戦略)



 さらに補足として、カーネギーメロン大学ハインツ校のリンダ・バブコックが提唱する「交渉ジム」、即ち交渉に苦手意識を持っている人が、交渉や交渉環境に徐々に適応していくための6つのステップについてお話ししました。

 話は1時間半ほどで終わり、残りの30分は自由な意見交換。

(あくまで傾向として)
・看護現場から:習得が早いのは女性、患者に受けがいいのは男性
・クレーム対応:感情の受け止めは女性対応、技術的解決は男性対応
・クレームの目的:感情を受け止めて欲しい女性、問題を解決して欲しい男性
・交渉時の男女の着眼点の相違(女性の感情を察する能力)

といった具合に、初めは皆さんの男女差に関する経験則に始まり、

・女性集団における「外集団」と「内集団」
・「交渉ジム」の文化的相違
・「失望」というネガティブ感情も有効なものとなり得る
・交渉の実質以上に「枠組み」を設計することの大切さ(「3D交渉」がこれにあたります)
・男女差以外に世代差に起因する戸惑いについて
・交渉の地域差(大阪と東京の違い)

次第に今回の内容を起点に様々な方向に意見が展開していきました。みなさん各方面で様々な経験をお持ちなので、非常に勉強になりました。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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