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窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

最後の学生vs社会人頂上決戦-第74回Rice Bowl

2021年01月12日 | スポーツ観戦記


 2021年1月3日。アメリカンフットボールの日本一を決める、第74回Rice Bowlの観戦に東京ドームへ行ってきました。試合後に分かったことですが、学生と社会人のチャンピオンが日本一を争う形式は今回が最後なのだそうです。前回も書きましたが、社会人と学生の差は近年顕著になってきており、Rice Bowlで学生側に多く負傷者が出てしまう点も問題だと思っていましたので、これは良いことだと思います。

 さて、学生側は4年連続で関西学院大学ファイターズ。この10年で実に学生王者8度。昨シーズン、1992年からチームを率いてきた鳥内監督が退任し、また今シーズンはコロナ禍の中、社会人相手にどのようなゲーム運びをするのか注目していました。一方、社会人はブログでもご紹介した通り、7年ぶりにJapan X Bowlを制したオービック・シーガルズです。



 国歌独唱は、ソウル・シンガーのクリス・ハートさん。



 試合は関西学院K/P永田選手のキックでスタート。作戦通り、オンサイドキックでLB都賀選手がリカバー。自陣48ヤードからの攻撃開始。関西学院はファーストダウンを二度更新、オービック陣エンドゾーンまで残り10ヤードまで攻め込み1stダウン10。すると、RB前田選手が密集を抜け出し、エンドゾーン右にタッチダウン。2:31、関西学院が先制します。しかし、キックはオービックDLバイロン・ビーティ―・ジュニア選手のブロックにより失敗。



 オービックの反撃は5:38。自陣41ヤードから着実にファーストダウンを更新し、関西学院陣32ヤードからの1stダウン10。すると、QBロックレイ選手からWR野崎選手への24ヤードのパスが通り、エンドゾーン残り8ヤードまで攻め込みます。ここからRB望月選手がエンドゾーン中央に走り込み、タッチダウン。



 フィールドゴールは、オービックオフェンスにフォルス・スタートの反則があり5ヤードの罰退。しかし、練習ながら73ヤードのフィールドゴールを成功させたこともあるというK/P山崎選手にとって、これは問題にならず。オービックが7vs6と逆転。山崎選手は、この試合も再三のロングキックで関西学院のリターンを許さない活躍を見せました。



 さて、山崎選手のパントは関西学院陣エンドゾーンまで届き、タッチバック(関西学院自陣25ヤードからの攻撃)。ファーストダウンを更新しますが、その次のシリーズが阻まれ、自陣45ヤードからの4thダウン1でパント。ところが、ここでフォルス・スタートの反則があり、5ヤード罰退。すなわち、自陣40ヤードから4thダウン6のパントとなりますが、何とこれをオービックのDL平澤選手がブロック。拾い上げたボールを関西学院陣14ヤードまで持ち込みます。一転して、オービックのチャンス。20ヤード切られると、社会人同士でも防ぎきるのは中々難しいと思いますが、QBロックレイ選手らのパスが、左エンドゾーンに走り込んだTEハフ選手へ通り、タッチダウン。ゴールも決まり、8:19、14vs6。



 このままオービックに流れが行くかと思われたのですが、2Qに入ると関西学院のディフェンスが健闘しました。両者とも、ファーストダウンこそ更新するものの、次のシリーズが続きません。無得点のまま2Qも終わりに近づいた11:25、関西学院にビッグプレーが飛び出します。関西学院は自陣16ヤードから3rdダウン10、ワイルドキャットフォーメーション(QBの位置にTBが入るフォーメーション)。RB鶴留選手からボールを受け取ったRB三宅選手が左サイドを突破、何度そのまま84ヤードを走り切り、タッチダウン。



 そして関西学院は2ポイントコンバージョンにトライしますが、これは失敗。とはいえ、前半を14vs12の2点差で折り返します。



 ハーフタイムショーは、再びクリス・ハートさん。今回、コロナ対策のためか分かりませんが、関西学院大学のチアリーダーは出場しませんでした。



 前半は健闘した関西学院でしたが、後半になると地力の差が顕著になり始めます。3Q、オービックは自陣47ヤードからの1stダウン10。ここでQBロックレイ選手が放ったパスをWR野崎選手が関西学院陣30ヤード付近でキャッチ。そのまま走り切ってタッチダウン(2:33)。ゴールも決まり、21vs12と突き放します。



 4:53、先ほどのタッチダウンパスをさらに上回るビッグプレーが。オービックは関西学院陣49ヤードからの1stダウン10。センター庄島選手からのスナップをQBロックレイがキャッチすると、左サイドから走りこんできたWR西村選手にハンドオフ、大きく右サイドを突破すると、そのまま49ヤードを独走しタッチダウン。ゴールも決まり、28vs12。



 4Q開始早々、オービックは自陣45ヤードからの1stダウン10。まず、WB西村選手へのパスが通り、2ndダウン4。WR成田選手へのロングパスは失敗に終わりますが、続く3rdダウンで再びのパスはWR西村選手に通り、1stダウン更新。関西学院陣42ヤードからの1stダウン10。まず、WR水野選手へのタッチダウンパスは不成功。しかし、2ndダウンでQBロックレイ選手からのパスを関税学院陣27ヤード付近でTEホールデン・ハフ選手がキャッチ、そのまま右エンドゾーンに走り切ってタッチダウン(1:48)。ゴールも決まり、35vs12。



 関西学院最後の意地は、その後。例によってK/P山崎選手のロングキックでタッチバックとなり、関西学院は自陣25ヤードから攻撃開始。最初のWR鈴木選手へのパスは失敗しますが、次のWR梅津選手へのショートパスは成功。3rdダウン9、WR鈴木選手への23ヤードパスが通り、ファーストダウン更新。オービック陣32ヤードからの1stダウン10。WR梅津選手へのショートパスが通り、2ndダウン5。続くパスは不成功と思われましたが、オービックにホールディングの反則。これでオートマチック・ファーストダウンとなり、オービック陣36ヤードからの1stダウン10。QB奥野選手からRB三宅選手へハンドオフ、2ndダウン8。QB奥野選手のスクランブルで3rdダウン1。エンドゾーンまで残り27ヤード、どうするかと思いましたが、QB奥野選手が自ら飛び込んでファーストダウン更新。オービック陣25ヤードからの1stダウン10。まずTE小林選手へのショベルパスで5ヤード獲得。2ndダウン5、QB奥村選手からドロープレー(パスと見せかけてラン・プレーをすること)でRB鶴留選手にハンドオフ。これでファーストダウン更新、ついにエンドゾーン13ヤードまで迫ります。1stダウン10、QB奥野選手のパスは不成功。続く2ndダウン、QB奥野選手からRB前田選手にハンドオフ、前田選手はオービックDFラインの中央を突破、そのまま左エンドに走りこんでタッチダウン(6:48)。しかし、その後の2ポイント・コンバージョンは失敗、35vs18。しかし、ここまででした。



 結果、オービック・シーガルズが7年ぶり、史上最多8回目の日本一を更新しました(リクルート時代を含む)。しかし、今大会で1984年から続いた学生代表vs社会人代表の形式は終わりを告げ、新たな歴史が刻まれていくこととなります。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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初の大晦日格闘技観戦②-RIZIN26(さいたまスーパーアリーナ)

2021年01月11日 | スポーツ観戦記


 (前回のつづき)そういう意味では、MMAの経験が豊富なこちらの試合は、地味なのですが見応えがありました。第9試合、カイル・アグォン選手vsクレベル・コイケ選手。両者互角の展開でしたが、1R残り1分となったところで、コイケ選手の右フックがアグォン選手の左顎を捕らえ、ダウン。そこからフロントチョークでテクニカルサブミッション(1R4分22秒)。頭が巻き込まれていたので、危なかったですね。



 第10試合の元谷友貴選手vs井上直樹選手も緊張感があって良かったです。5分3RのRIZIN MMAルール(肘あり)。プロフィールでは元谷選手170㎝に対して、井上選手173㎝とのことでしたが、それより身長差があるように見えました。元谷選手が先に仕掛け、グラウンドに持ち込んだのですが、井上選手は寝技も巧みですね。リアネイキッドチョーク(裸絞め)は井上選手、得意なのでしょうか?それにしても、今大会15カードの内4カードが61kg級であることからも分かるように、この階級は層が厚いですね。

 ここで、地上波の放送時間との関係から1時間におよぶ長い休憩に入りました。



 第11試合、MMAで日本人初の世界王者となり、長くこの世界を牽引してきた浜崎朱加vs山本美憂のスーパーアトム級タイトルマッチ。5分3R、RIZIN女子MMAルール。僕が知っている山本選手は、1991年に彼女が最年少でアマチュアレスリングの世界選手権を制した頃の話です。それから30年近くになるというのに、まだ現役を続けている。それだけでも頭が下がります。結果は、1R 1分42秒、ネックシザースからのタップアウトで浜崎選手の勝利。



 第12試合、こちらも大ベテラン五味隆典選手vs新生の皇治選手。3分3R、RIZINスタンディングバウト特別ルール、つまりパンチのみ。両選手とも少し太っているように見えましたが、エキシビジョンということで。結果は判定で五味選手の勝利。



 第13試合、今大会最注目選手の一人。プロ総合格闘技戦績13勝2敗、わずか40日前に行われたRIZIN25のフェザー級王座決定戦で斎藤裕選手に判定で敗れた朝倉未来選手。ずっと総合格闘技を見ていなかった僕でも朝倉兄弟の名前は聞いたことがあります。対するは、プロ総合格闘技戦績11勝5敗、RIZIN初参戦の弥益ドミネーター聡志選手。余談ですが、弥益選手は海城高校出身なんですね。わが母校の攻玉社と海城は、海軍予備校をルーツとしており制服も似ているので、昔から何となく親しみがありました。大学の近くでもありましたし。

 5分3R、RIZIN MMAルール(肘あり)。1R、緊張感のある攻防が続いていたのですが、残り1分でアクシデントのバッティング。これが効いたようには見えませんでしたが、その後朝倉選手の左フックで一瞬怯んだところに左ハイキック。これが強烈でした。そこへすかさず右フックで弥益選手はダウン。1R4分20秒KO、一瞬の機を逃さない朝倉選手はさすがです。わずか40日で調整も大変だったと思うのですが。一方の弥益選手、これからも見たい選手です。



 第14試合、セミファイナルですから当然ですが、こちらも注目カード。那須川天心選手vsクマンドーイ・ペットジャルーンウィット選手。那須川選手は既にボクシングへの転向を表明しており、キックの試合を観られるのもあと僅かです。3分3R、RIZIN キックボクシング特別ルール。ペットジャルーンウィット選手は、ムエタイで60勝31敗、攻撃力に定評があり、2年前、那須川選手を破ったロッタン・ジットムアンノン選手に判定で勝っているのだそうです。今回の計量では56.50kgsでしたが、ムエタイではバンタム級(53kgs以下)なので、階級を上げてきているのかもしれません。

 試合が始まってみると、確かにペットジャルーンウィット選手のロー、ミドルの蹴りは凄まじく、ビシビシと音が伝わってきます。試合後、真っ赤に腫れた那須川選手の上腕が、その威力を物語っていました。一方の那須川選手も、ミドルキックをホールドしては、的確にパンチを返します。1R中盤は激しいミドルキックの応酬。途中、ペットジャルーンウィット選手が那須川選手を投げる場面があり、注意。那須川選手の距離感を掴む上手さ、パンチのコンビネーションはさすがです。2Rには那須川選手のショートフックでペットジャルーンウィット選手がふらつく場面も。結果は3R判定で那須川選手の勝利でしたが、両者の意地がぶつかり合う激しい試合でした。



 最後の第15試合は、RIZINバンタム級タイトルマッチ。2019年8月に初めてのKO負けを喫し、RIZINバンタム級のタイトルを失った堀口恭司選手。対するは、そのタイトルを奪った朝倉海選手。堀口選手の怪我により約1年半ぶりのタイトルを賭けた再戦です。5分3R、RIZIN MMAルール(肘あり)。

 堀口選手は伝統派空手である松涛館の出身だそうですが、その影響なのかこの間合い。他の試合の写真と見比べても、この間合いの広さはやりにくいでしょうね。そして堀口選手が序盤から繰り出したカーフキック。これも伝統派の組手で良く使われる足払いに非常に近いです。1発目はまさに相手を崩す蹴りだったのですが、2発目は1発目よりステップインしてからの蹴りで、少し効いたように見えました。3発目で朝倉選手は体勢を崩し、膝をつく。朝倉選手の出足を封じるには良い牽制です。4発目は完全に斜め上から前足の脛に入りました、ダメージを与える蹴りです。これで朝倉選手が怯んだように見えました。そこへ堀口選手が遠い距離から右ストレート(これも伝統派の上段逆突きに近い)で一気に間を詰めると、右ショートフックが朝倉選手の顎を捉えダウン。倒れた朝倉選手に堀口選手がパンチを浴びせかけ、レフェリーストップ。1R2分48秒TKO、このように試合は始終堀口選手のペースでした。やはり序盤からのカーフキックが身体的にも試合のリズム的にも有効だったかなという感じです。

 前述のように、この61㎏級は良い選手がひしめき合っているようですので、今後も注目していきたいと思います。15年ぶり、それも初の生での総合格闘技観戦でしたが、良い経験をさせていただきました。このような機会をいただいた方に感謝申し上げます。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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初の大晦日格闘技観戦①-RIZIN26(さいたまスーパーアリーナ)

2021年01月10日 | スポーツ観戦記


 少し更新が遅くなってしまいましたが、昨年の大晦日はご縁あって「さいたまスーパーアリーナ」へ総合格闘技イベント「RIZIN26」の観戦に行ってきました。自分でやっていた空手は別として、ボクシング以外の格闘技観戦は初めてです。その上、総合格闘技はかれこれ15年位観ておらず、ほとんど知識皆無で臨みました。



 第1試合、大相撲元十両貴ノ富士のスダリオ剛選手vs長年総合格闘技界を牽引してきたミノワマン選手。5分3RのRIZIN MMAルール。190㎝、114.65kgsのスダリオ選手が浴びせかけた、この大会話題のカーフキック(伝統派空手の足払いのような技)3発でミノワマン選手を沈め、グラウンディングの状態からパンチを浴びせかけたところでレフェリーストップ。172㎝、82.70kgs、44歳のミノワマン選手、少々気の毒な気がしました。一方、まだ23歳と若いスダリオ選手はこれからが楽しみです。



 第2試合、中原太陽選手vs倉本一真選手。5分3RのRIZIN MMAルール。どちらもアマチュアレスリングから修斗という経歴の両者ですが、中原選手は4年近いブランクがあっての復帰戦ということもあってか、実力に開きがあるように感じました。序盤の中原選手のハイキックを見た時、「勝負あったかな」という気がしました。試合は1R 2分12秒、倉本選手のグラウンドキックからレフェリーストップ。特に1R残り1分30秒頃でしたか、ストレートから倒れかけた中原選手の顔面への膝はヤバかったですね。



 第3試合は地元根岸出身、良く知りませんがYouTuberとして有名らしい、シバター選手。その対戦相手は直前まで知らされていませんでしたが、キックボクサーのHIROYA選手でした。RIZIN MIXルール。試合は当初ドロー判定だったのですが、後になってからシバター選手の腕ひしぎ十字固めにHIROYA選手がタップしていたのではないかというビデオ検証で、結果として2R38秒でシバター選手の勝利となりました。180㎝、92.60kgsのシバター選手に対し、167㎝、74.80kgsのHIROYA選手。体格差もさることながら、HIROYA選手は本来65kgs以下級の選手。試合が組まれてからどれだけの調整期間があったのでしょうか?



 第4試合、浅倉カンナ選手vsあい選手。5分3RのRIZIN女子MMAルール(肘あり)。試合は終始浅倉選手のペース。小刻みなパンチを的確に当て、組んでもアマチュアレスリング世界選手権3位の実績を持つあい選手ではありましたが、浅倉選手が主導権を握っているように見えました。判定で、浅倉選手の勝利。



 第5試合、佐々木憂流迦選手vs瀧澤謙太選手。5分3RのRIZIN MMAルール(肘あり)。結果は3R判定で佐々木選手の勝利でした。グラウンドになると佐々木の方が上手であり、それに伴って瀧澤選手は相当消耗している様子でしたが、それでもフルラウンド戦い抜く気持ちの強さと、パンチやキックにはかなり見るべきものがありました。今後注目していきたい選手です。因みに、佐々木選手の「憂流迦」というのはサンスクリット語で「天狗」を意味するらしいです。



 個人的には今大会のベストマッチだったかもしれません。弱冠19歳(僕の子供と同い年です!)、小学生から単身タイに渡り、日本人として初のムエタイ2大タイトルを統一したという、驚くべき吉成名高選手。対するは、こちらも19歳、ムエタイで3冠タイトル(ライトフライ、フライ)を持つペットマライ・ペットジャルーンウィット選手。正真正銘の実力者同士の一戦。ルールもほぼムエタイの3分3R、RIZINキックボクシングルール(3ノックダウン制)。軽量級の圧倒的スピード感、接近しての肘打ちなど、まさに息をのむ緊張感です。何より吉成選手の前へのプレッシャーが圧巻でした。終始試合を支配し、ショートストレート、右肘で2度のダウンを奪うと、最後は1R2分20秒、ボディへの膝蹴りから左肘のコンビネーションでKO。いやはや、ボクシングの井上尚弥選手を彷彿とさせる、もの凄い選手がいるものです。

 どうでもいい話ですが、ペットジャルーンウィット選手と僕は鼻の形が似ています。高校生の頃、先生に陰で「タイ人」とあだ名されていた理由が分かった気がしました。



 休憩を挟み、第7試合は大ベテランの所英男選手vsリオデジャネイロ・オリンピック、アマチュアレスリング銀メダルの太田忍選手。5分3RのRIZIN MMAルール。所選手は以前、実家近くの吉野町・マルワジムに来られていたようで、何となく親しみがあります。15年位MMAを見ていない僕でも、2005年にノゲイラ選手を破ったのは憶えていますし。

 一方、MMAはデビュー戦となる太田選手。結果はさすがに経験値の差か、2R2分24秒、アームバーに対するタップとなりましたが、それでも捕まえた時の馬力、体幹の強さはさすが銀メダリストで非凡なものを感じました。これからが楽しみです。



 第8試合は、昨年8月にRIZIN初参戦、ここまで2勝1敗の萩原京平選手vsキックボクシングからMMAに転向し、デビュー戦となる平本蓮選手。5分3RのRIZIN MMAルール(肘あり)。キックボクシングで輝かしい実績を持つ平本選手でしたが、この試合は2R1分29秒、グラウンドでコーナーに追い詰めた萩原選手が、マウントポジションから平本選手にパンチを浴びせかけ、TKOとなりました。

 個人的見解ですが、格闘技は制約があるからこそ、その中で有効な技術が昇華されていくものだと思っています。その結果磨かれた高度な技術が美しく、観る者の心を惹きつけるのではないでしょうか。ですから、選手一人ひとりのベースはレスリングであってもキックであっても良いのですが、異種格闘技戦のようなものよりも、MMAはMMAとしてのルールの中で磨かれた高度な技を競い合う方が面白いと思うのです。

<つづく>

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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新旧王者対決、シーガルズ7年ぶり王座奪還-2020 JAPAN X BOWL オービック vs富士通

2020年12月21日 | スポーツ観戦記


 2010年代の日本アメフト界を総じて見るならば、前半がオービック・シーガルズの時代(2010年~2013年4連覇)、後半が富士通フロンティアーズの時代(2016年~2019年4連覇)だったと言えるでしょう。12月15日、2020年のXリーグNo.1を決める第34回Japan X Bowlは、その2010年代をリードしてきた両雄による4年ぶりの顔合わせとなりました。

 僕自身は3年連続の観戦となりました。昨年は19,984人の観衆を集めたX Bowlも、今年は新型コロナの影響により、わずか6,113人と寂しい中で行われました(その分、ゆったり観戦できるという良い面もあったのですが)。しかし、試合そのものはわずか2点差という大接戦だった昨年にも劣らない、手に汗握る新旧王者対決。かつ頂上決戦にふさわしいハイレベルな内容となりました。8年連続出場の富士通が勝てば史上初の5連覇、4年ぶりのオービックが勝てば最多優勝回数を更新する9回目の優勝となります。

 因みに、アメフトの日本一を決めるのは毎年1月3日に行われる、社会人と学生のチャンピオンによるRice Bowlです。しかし、アメフトもラグビーと同じように年々社会人と学生の差が広がってきており、2009年を最後に学生の勝利はありません(2016年に観戦した時、惜しくも3点差というのはありましたが)。したがって、このX Bowlが事実上日本頂上決戦と言っても過言ではないでしょう。



 今年は演奏のみの国歌の後、コイントスによりオービックのキックオフで試合開始。最初のシリーズで富士通は早速昨年も大活躍のRBサマジー・グラント選手、2年ぶりに帰ってきた大型のQBマイケル・バードソン選手のランなどでファーストダウンを更新、オービック陣に入りますが、ここでオービックDFが頑張り攻守交替。一方のオービックも富士通陣30ヤード付近で1ヤードを残し、4thダウンのパント。両者拮抗した立ち上がりを見せました。

 その後、オービックのDFが素晴らしかったです。1Q6:56頃、バードソン選手の60ヤード近いロングパスをDB藤本選手があわやインターセプトという見事なブロック。その後、バードソン選手、グラント選手のランなどで32ヤード付近まで攻め込まれますが、2ndダウン10からバードソン選手のパスをDBブロンソン・ビーティ選手がインターセプト。長年オービックで活躍している、DLバイロン・ビーティJr選手の弟ですね。これでオービックに勢いが出てきたように思います。



 最初のビッグプレーが飛び出したのは、1Q10:00頃、富士通陣44ヤード付近の2ndダウン1。QBロックレイ選手が50ヤード付近から放ったパスがエンドゾーン手前のWR西村選手に通り、一気にゴールまで残り2ヤードと迫ります。そしてこの試合大活躍だったRB李卓選手がエンドゾーンに持ち込み、タッチダウン。オービックが先制。K/P山崎選手のゴールも決まり、7vs0。その後のオービックのDFも見事、富士通に反撃の糸口をつかませません。

 2Q、オービックはロングパスを見せながら着実にファーストダウンを更新します。しかし1:40頃、富士通陣44ヤード、3rdダウン7。QBロックレイ選手の放った40ヤード近いパスをDB奥田選手がインターセプト。攻守交替すると、富士通もQBバードソン選手が執拗にロングパスを繰り出し局面の打開を図りますが、いずれも失敗。オービック陣37ヤード、4thダウン10でパント。攻撃権がオービックに移り、一進一退の攻防が続きます。



 オービックはショートパスとランプレーで1stダウンを更新。富士通陣33ヤードに攻め込んだ、2ndダウン5。QBロックレイ選手からTEホールデン・ハフ選手へパスが通り、1stダウンを更新したかに見えました。ところが、こぼれたボールをDB井本選手が拾ってそのまま72ヤードを走り切ってタッチダウン。



 しかし、これはオフィシャル・レビューによるビデオ判定となります。非常に微妙でしたが、パス成功が認められタッチダウンとはなりませんでした。TDであれば、試合の流れが変わったかもしれない重要な局面でした。しかも、1stダウンを更新したオービックは残り6:20で敵陣28ヤードというチャンス。

 ところが、最初のパスをLB竹内選手の見事なタックルで、RB李選手がファンブル。これをDL高橋選手がリカバーします。しかし、これもまたビデオ判定。素人目にはファンブルに見えましたが、結果はパス・インコンプリート。オービックとしては、続けざまに危機を脱する形となりました。しかも敵陣28ヤードのまま2ndダウン10。



 そしてオービックはRB李選手のランなどでエンドゾーン7ヤードに迫り、2ndダウン1。QBロックレイ選手からボールを受けたRB李選手が中央を駆け抜け、タッチダウン。二度の危機を凌いだ後のタッチダウン、極めて大きなプレーでした。



 しかし、その後のトライ・フォー・ポイントは、DL南選手のブロックにより失敗。この1点の有無が、試合を最後まで分からなくさせることとなります。



 対する富士通、ようやくらしさの見えてきたグラント選手のランとパスなどにより、残り1:40ほどでオービック陣14ヤードまで攻め込みます。そこからQBバードソン選手よりWR松井選手へエンドゾーン左隅ギリギリにパスが通り、ついにタッチダウン。ゴールも決まり、13vs7となります。

 前半はとにかくオービックDFの頑張りが目立ちました。昨年のX BowlやRice Bowlであれほどやりたい放題だったグラント選手をかなり抑え込むことに成功していたようです。また、両チームとも何よりも反則の少ない、実に締まった試合だったのではないかと思います。正確ではないかもしれませんが、記憶では前半はパス・インターフェアの1つ、3Qまで含めてもフォルス・スタート1回の2つだけ。それだけレベルの高い、見ていて緊張感のある試合だったと言えるでしょう。



 ハーフタイムショー。今年は東日本のチームのチアリーダーのみ、スペシャルゲストもありませんでした。


 
 3Qは実に淡々と過ぎて行きます。まるで前半までの流れがぴたりと止まってしまったかのように。実際、3Qは20分ほどしかかかりませんでした。それだけ集中力の高い均衡した展開だったとも言えます。



 いよいよ4Q。4Qはさすがに少し反則が出始めます、それでも次の2つぐらいだったのですが。開始早々、オービックがパス・インターフェアとフォルス・スタートの反則を立て続けに犯し、合計20ヤードの罰退。自陣35ヤード付近で3rdダウン44ヤードという有様。RB李選手がランを試みますが、ゲインできず。4thダウン45ヤードからのパントとなります。一方、自陣38ヤードから攻撃を開始した富士通も1stダウンを更新しますが、その次が続かず。

 リードしているオービックは当然ランプレーで時間を使います。しかし、富士通のDFが良く、なかなか前に進めません。そこで苦し紛れにパスをするも通らず。自陣エンドゾーン付近から4thダウンのパントも、リターンで富士通はオービック陣39ヤード付近に入っての攻撃開始。

 ここから富士通は、一昨年のXBowlで大活躍したRBトラショーン・ニクソン選手にボールを集め、次々とランプレーで中央を突破していきます。そしてオービック陣27ヤード付近からの2ndダウン9。QBバードソン選手からWR中村選手に40ヤード近いパスが通ったかに見えました。しかし惜しくもラインの外に出ていたとの判定。ただ、これもビデオ判定で覆り、パス成功。エンドゾーンまで残り11ヤードと迫ります。残り時間はまだ6:32秒。

 オービックも必死のDFを見せますが、4thダウン1。つまり、富士通がエンドゾーンまで残り僅か2ヤードと迫ります。残り5分を切り、果たして富士通は文字通り4thダウンに賭けるのか、それとも着実にフィールドゴールを狙い、残り時間で逆転のタッチダウンを狙うのか?



 選択は4thダウンギャンブル。スナップからボールを受けたQBバードソン選手が突っ込みます、オービックも必死のDF。右に身体が流れたバードソン選手がボールをこぼすと、それをすかさず拾ったDB田中選手が100ヤード近く走り切り、何とリターン・タッチダウン。決定的瞬間と思われましたが、またしてもビデオ判定。結果、ボールをこぼす前にダウンしていたとの判定で、タッチダウンは認められず。しかも、このダウンによって富士通が1stダウンを獲得したかが焦点となりましたが、あと半ヤード及ばず。オービックに攻撃権が移ります。残り時間4:40、しかしオービックもエンドゾーンを背にしての攻撃ですので、早めに止めることができれば、まだ富士通にもチャンスがあります。

 オービックはRB李選手が1stダウンを更新。富士通DFも頑張りその次をさせませんでしたが、4thダウンからK/P長尾選手が富士通陣22ヤードまで戻す見事なパント。残り1:30。

 逆にパスを通し、時間を使わず地域をとらなければならない富士通。しかし、50ヤード付近まで戻すも残り45秒で、4thダウン10。絶体絶命の局面で、何とQBバードソン選手が自らのランで1stダウンを更新。



 残り23秒。オービック陣37ヤードからの2ndダウン5。ここでWR宜本選手へのパスが通り、1stダウン更新。残り9秒、オービック陣23ヤードからの2ndダウン10。QBバードソン選手からWR松井選手へのパスが通ります。



 何という展開でしょう。残り2秒でエンドゾーンまであと6ヤード。ラストプレーでパスが通り、タッチダウンとなれば同点、ゴールも決まれば逆転です。



 まさに息もできない展開、固唾をのむとはこのことです。そして最後のパス。QBバードソン選手からWR宜本選手へ放たれたボール、それをDB久保選手が指先ギリギリのところでブロック。この瞬間、オービック・シーガルズの7年ぶり9回目の優勝が決まりました。富士通は史上初の5連覇ならず。非常にレベルの高い、見ごたえのある試合でした。13vs7、歴史に残る大熱戦だったと言えるでしょう。

 両チームに心から感謝したいです、素晴らしい試合をありがとうございました。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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V逸も、見どころ満載の試合でしたー日本プロ野球2020 横浜vs巨人21回戦

2020年10月29日 | スポーツ観戦記


 10月27日、今シーズン初の野球観戦に行ってきました。今年は新型コロナの影響による入場制限などがあり観戦は諦めていたのですが、急遽お誘いいただきました。ありがとうございます。

 本来であれば、すでに東京オリンピックの会場として使用されていたはずの横浜スタジアム。去年まではなかった入口が新設されていました。



 さて、シーズンも終盤。既に横浜に優勝の可能性はなく、対戦相手の巨人の優勝マジックが4。この三連戦で優勝が決まる可能性もあります。そんな戦いの初戦を任されたのは、チームの勝ち頭、ここまで9勝5敗の二年目大貫投手。自身初の二桁勝利をかけて臨みます。その立ち上がりは、坂本選手にこそヒットを許したものの、上位打者4人を抑え上々でした。



 一方、巨人の先発は高卒二年目にして先発ローテーションに定着した、戸郷投手。ここまで8勝5敗です。



 その立ち上がり。先頭打者の梶谷選手が二球目をセンター前に運び出塁しますが、後続を断ち、こちらも上々でした。なお、この日梶谷選手は5打数4安打。怪我のためこの日登録抹消になった佐野選手と同率で首位打者に並びました。



 二回表。巨人は二死から吉川選手がボテボテの二塁ゴロ内野安打で出塁します。その後、果敢に盗塁を試みますが、アウト。しかし、我々の目からは二塁手ソト選手の上からのタッチより、吉川選手の足が先に着塁したように見えました。原監督もリクエストを出しましたが、リプレイ検証の結果判定はアウト。



 試合が動いたのは3回裏。先頭の大貫投手がライト前にヒットを放ち、出塁します。いつも飄々とした大貫投手ですが、この日は「自分の力で勝つんだ!」という気持ちがこちらにも伝わってきました。



 すると、続く9番戸柱選手もライト前ヒットで続きます。この時の大貫投手の躊躇ない走塁も見事でした。10勝にかける想い、チームに勢いを与える走塁でした。これで無死三塁一塁、下位打線からチャンスを作ります。



 1番梶谷選手はこの日唯一の凡退で倒れ、2番乙坂選手も一塁ゴロ。しかし、一塁ウィラー選手がまず1塁を踏んで打者アウト。一塁走者の戸柱選手が二塁一塁間で立ち止まり、挟まれる形となります。フォースプレーであれば三塁走者の生還は認められませんが、この場合はタッチプレーですので、戸柱選手がタッチされるまでの間に大貫投手が生還。併殺で3アウトではありますが、1点を挙げるという珍しいプレーで横浜が先制します。

 大貫投手は5回表終了時点で2安打、62球と文句なしの内容。強いて言えば、丸選手の時だけ苦手意識があるのか、球が上ずってしまっていました。もう一人、この日3安打を放った坂本選手については、坂本選手が上手だったと言わざるを得ません。



 5回裏。横浜は先頭の柴田選手がセンター前ヒットで出塁。



 続く大貫投手はバントしますが、一塁走者の柴田選手が二塁タッチアウト。しかし、今度も我々の目から見ると明らかにセーフでした。再びリプレイ検証となりますが、やはり判定通りアウト。



 しかし、続く戸柱選手、梶谷選手が連続ヒットで満塁。この日全くタイミングの合っていなかった乙坂選手が倒れ、二死満塁。横浜としては試合の流れを左右しかねない、何としても追加点が欲しい局面を迎えます。



 そしてこれまでの二打席凡退していたロペス選手を迎えます。ところで、この日座っていた席は、三塁側のロペス選手がよくファウルを打ち込むエリアでした。予想通りロペス選手はガンガンこちらにファウルを打ち込んできて、前の打席でのファウルは僕の右腿裏に当たっています。正確に言うと、身体はよけてボールが欲しかったので脚に当てて落とした形ですが、何とコロナ対策とかでボールはもらえませんでした。あざの作り損です。

 閑話休題。この日あまり合っていなかったロペス選手ですが、ファウルを見るに、徐々にアジャストしてきている雰囲気は感じていました。この第三打席も初球はファウル。2球目、外角真ん中の甘い球でした。これを逃さず捉え、打球はレフトスタンドに飛び込む満塁ホームラン。0vs1の投手戦は、これで一気に横浜に流れが傾きました。0vs5。



 それでも巨人は6回表。先頭の坂本選手が三遊間を鋭く抜くヒットで出塁。この日3安打目、通算2,000本安打まであと8本と迫りました。



 そして一死一塁から、丸選手がバックスクリーン横深くに飛び込むホームラン。これもど真ん中でした。大貫投手、まさに坂本選手、丸選手だけにやられた形です。2vs5。とはいえ、大貫投手はこの6回表を投げ切り、5安打2失点3与四球4奪三振。91球で初の10勝目を手にしました。おめでとうございます!



 8回表。7回のパットン投手からマウンドを引き継いだ平田投手が四球とヒットで無死二塁一塁のピンチを作りますが、代わった石田投手が丸選手、ウィーラー選手、代打石川選手を抑え、無失点で切り抜けます。石田選手の活躍により、横浜はかなり楽な展開に。



 8回裏、巨人はブラジル出身、身長193㎝、体重113kgs、球速163㎏を記録したこともある剛腕ビエイラ投手が登板します。



 打席はオースティン選手。「ここまで来たら、あとはオースティンに気楽に打ってもらって、ホームランでも見て帰りたいよなあ…」なんて話していた2球目でした。真ん中低めに落ちる球を掬い上げ、詰まったかと思ったのですが、高々と放物線を描いた打球は、バックスクリーンまで届きました。何とオースティン選手は10月10本目のホームラン。2vs6。



 さらに一死から、この日一軍登録されたドラフト1位ルーキーの森選手がついにプロ初打席に立ちます。高卒新人で、しかもビエイラ投手のような巨人を目の前にしたら怯えてしまいそうですが、森選手の物怖じしない溌溂とした雰囲気が伝わってきました。そしてそのプロ初打席は、レフトフェンスを直撃する二塁打。素晴らしいプロ初安打、その後の走塁も積極的でした。まだ18歳、考えてみたら僕の子供と同学年です。おめでとうございます!



 さらに柴田選手が四球で出塁、暴投も重なって一死三塁二塁。これを大和選手が左中間を抜く彼らしい三塁打で還します。ついに2vs9。



 最後は、シーズンが深まるにつれ良くなっている、個人的に注目している新人伊勢投手が登板。この日も150㎞を超える力強いストレートで巨人打線に反撃の隙を与えず。

 優勝こそできませんでしたが、恐らく今シーズンは最初で最後になるだろう試合観戦で、ロペス選手の満塁ホームラン、大貫投手の10勝目、オースティン選手の本塁打、森選手のプロ初安打、期待の伊勢投手など、見どころ盛りだくさんでした。ボールにも当たりましたし。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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歴史的接戦、インパルス及ばずー2019 JAPAN X BOWL パナソニック vs富士通

2020年01月03日 | スポーツ観戦記


  新年あけましておめでとうございます。12月は立て続けに出張が入った関係もあり、全くブログを更新できませんでした。本日はアメリカン・フットボールの日本一を決める「RICE BOWL」が行われましたが、こちらはそれに先つ12月16日に行われた、社会人リーグの頂上決戦、「JAPAN X BOWL」の記事です。昨年に続き2年連続の観戦となりました。

  決勝の舞台に立ったのは、オービック・シーガルズ(2010年-2013年)以来の4連覇を目指す、富士通フロンティアーズと2015年以来のX BOWL制覇を目指す、パナソニック・インパルスです。因みに、前回パナソニックが優勝した時には、その後のRICE BOWLの観戦に行きました。

  1Q、富士通のキックオフ、パナソニック陣16ヤード付近から試合開始。WR頓花選手へのパスやRBミッチェル選手のランなどで、パナソニックはテンポよくファーストダウンを更新しますが、ハーフウェイライン付近で富士通ディフェンスに食い止められます。フォースダウンのパントで、富士通陣10ヤード付近で攻守交替。

  富士通は、序盤から緩急自在のラン、レシーブもできる、RBグラント選手に徹底的にボールを集め、次々とファーストダウンを更新。しかし、富士通陣45ヤード付近からパナソニックDFが頑張り、富士通の攻撃を食い止めます。1Qは概ねパナソニックのDFが良かった印象がありました。



  8分50秒、パナソニックはQB高木選手からRB藤本選手へ約20ヤードのロングパスを狙いますが、失敗。逆に富士通は11分30秒、フォースダウンで6ヤードを残してタイムアウト。ギャンブルで行くと思いましたが案の定、QB高木選手からWR中村選手へ、38ヤードのロングパスが通り、タッチダウン。スーパープレイで富士通が先制します。ゴールも決まり、0vs7。



  しかし2Q開始1分29秒、今度はパナソニックが、敵陣40ヤード付近でのファーストダウン10。QBローレンス選手からWR頓花選手へ38ヤードのロングパス。これをキャッチした頓花選手が15ヤード走り切ってタッチダウン。K/P佐伯選手のキックも決まり、同点に追いつきます。7vs7。負けじとスーパープレイが飛び出しました。



  得点後、パナソニックはリターンをさせにくくするスクイズキック。ところがボールを拾ったWR高津佐選手が約40ヤードものラン。一気にエンドゾーンまで残り31ヤードに迫ります。そして富士通のセカンドダウン8。
またもQB高木選手からWR中村選手への29ヤードのパスが通り、タッチダウン。K/P西村選手のキックも決まり、7vs14。



  2分16秒。テンポよくファーストダウンを更新したパナソニックは、エンドゾーンまであと19ヤードと迫り、セカンドダウン10。QBローレンス選手が自ら持ちこみ、7ヤードほどゲインしたかに見えましたが、パナソニックOFにホールディングの反則。10ヤード罰退となり、セカンドダウン20となってしまいます。RBミッチェル選手のランも止められ、サードダウン20。WR高木選手のランで5ヤードほど前進したところで、パナソニックは当然ですがキックを選択。これが決まり、3点を追加。10vs14。



  11分3秒。富士通はパナソニック陣19ヤード付近まで迫り、ファーストダウン10。RBグラント選手がDF辻選手のタックルを飛び越えてかわす、華麗なステップで前進。DL梶原選手がRBグラント選手をつかみ、グラント選手がファンブル、これをDLモトゥ選手がリカバーしたように見えました。インスタントリプレイの結果、判定通りファンブル、リカバー。これがダウンだったら終了直前にタッチダウンの可能性は極めて高かっただけに、大きなプレイでした。前半は10vs14、ここ数年では経験のない僅差で折り返します。



  ハーフタイムショーは、恒例のXリーグチアリーダー180名によるパフォーマンスと、スペシャルゲストはMIYAVIさん。スラッピングという、エレキギターをピックを使わずに演奏する方らしいです。



  因みにこの試合の観客は19,984人。昨年よりは5,473人ほど少ない数でした。



  3Q。開始早々、パナソニックDFが頑張ります。キックオフからのリターンで、富士通が自陣25ヤードからのファーストダウン10。RBグラント選手のランでファーストダウンを更新し、自陣39ヤードから再びファーストダウン10。ここでQB高木選手はRBグラント選手へのパスフェイクを挟んでロングパスを伺いますが、DLモトゥ選手がプレッシャーをかけ、DL梶原選手がサック。富士通は自陣29ヤードからセカンドダウン20。ここでQB高木選手のロングパスをDB小池選手が富士通陣40ヤード付近でインターセプト。何とそのまま走り切ってタッチダウン。いわゆるピック6(インターセプト・タッチダウン)で逆転します。ゴールも決まり、17vs14。



  その後もパナソニックは再三ディフェンスが良く凌ぎました。8分43秒。パナソニック、敵陣47ヤードからのフォースダウン1。フォースダウンギャンブルを試み、ファーストダウン更新。非常にもったいなかったなと思うのは、敵陣38ヤードからのファーストダウン10で、フォルス・スタートの反則。その後、サードダウン6まで戻すと、QBローレンス選手からのスクリーン・パスを受けたRBミッチェル選手が約30ヤードを走り切ります。結果論ですが、先ほどの罰退がなければタッチダウンだったかもしれません。さらには、残り2分を切り、エンドゾーンまであと3ヤードと迫ったところでまたもフォルス・スタート。5ヤードの罰退となり、結局フィールドゴールの3点どまり。20vs14。これが試合の流れを変えてしまったと思います。



  そして何と、3Q終了まであと14秒となった富士通、自陣25ヤードからの攻撃。QB高木選手からのパスを受けたRBグラント選手が、相手DFの真ん中を切り裂き、そのまま75ヤードを走り切ってタッチダウン。パナソニックがタッチダウンを取り切れなかった後の一瞬のエアポケットのような間を突いた、あっという間の出来事でした。ゴールも決まり、再び富士通が逆転。20vs21、1点差で4Qにもつれ込む、数字の上では大接戦でしたが、試合の流れは大きく富士通に傾いていました。ターニングポイントはやはり、8分43秒のフォルス・スタートにあったと思います。



  4Q、パナソニックは自陣27ヤードの最初の攻撃機会から、富士通DFのラッシュが少し甘くなったところをパスでテンポよくファーストダウンを重ね、敵陣23ヤードからのフォースダウン4。ここで再逆転のフィールドゴールを狙いますが、失敗。



  その後、富士通はRBグラント選手にボールを集め、前進。2分57秒、敵陣45ヤードからのファーストダウン10で、パナソニックDFがレシーバーに対するホールディングにより、オートマチックファーストダウン。何ともったいない反則…。富士通はさらにランで前進、エンドゾーンまで9ヤードと迫る、サードダウン6の局面を迎えます。6分23秒、ここで富士通がチーム・タイムアウト、タッチダウンを獲りに行きます。ところが、QB高木選手からRBグラント選手へパスが通る前にイエロー・フラッグ。パスを受けたRBグラント選手は、LB林選手をハンドオフ、さらにはDB秋山選手の頭の上を飛び越え、タッチダウンしたかに見えましたが、直前にファンブル。しかしボールをWR若松選手がリカバー。インスタントリプレイの結果、タッチダウンが認められました。ゴールも決まり、20vs28、残りは後5分27秒です。非常に大きなプレイでした。



  それでもなお諦めないパナソニックは、スクリーン・パスを繰り返しながら前進。試合時間残り4分となりパナソニック、ハーフウェイライン付近からのファーストダウン10。そこからQBローレンス選手は、WRダニエル選手へ50ヤード近い超ロングパス。しかし、これをDBアディヤミ選手が見事なディフェンス・パスカバー。

  それでも敵陣45ヤードからのサードダウン7で、QBローレンス選手が自ら走りこみ、そのままWR頓花選手へ42ヤードのロングパス。これが見事に決まります。そしてエンドゾーンまで残り3ヤード。セカンドダウン2となって、QBローレンス選手からパスを受けたRBミッチェル選手がまっすぐ走りこんでタッチダウン。これで26vs28。



  当然、パナソニックは2ポイントコンバージョンを試みますが、失敗。試合時間は残り2分40秒。

  残り1分29秒、富士通のフォースダウンのパントで攻撃権はパナソニックへ。6年前のRICE BOWL、残り1分半で立命館大学の7年ぶり学生勝利の夢を砕いたパナソニック。あの時は3点差、今度は同じ1分半で逆に2点差で追う立場。そして残り57秒となり、自陣49ヤードからのサードダウン3。とにかくファーストダウンを更新すれば、一か八か逆転のフィールドゴールを狙える圏内に入ってきます。



  ところがここで痛恨のフォルス・スタート。その上、5ヤード罰退した後、またしてもフォルス・スタート。合計10ヤード罰退という信じられないプレイで、サードダウン12。パナソニックの完全な自滅でした、DLアーナー選手はこの日何度同じ反則を犯したのか…。この試合、富士通が反則による罰退がゼロだったのに対し、パナソニックは8回、合計45ヤードでした。

  点差だけで言えば、2点差というのは、18vs16だった1999年のアサヒビールvs鹿島(現リクシル)以来の接戦でした。パンソニックに不要な反則があんなに多くなければ、と悔いは残りますが、それでもOF、DF共に富士通の方が点差以上にパナソニックを上回っていました。

  しかし、最後まで手に汗握る試合を見せてもらいました。4連覇という偉大な記録を達成した富士通フロンティアーズ、おめでとうございます!

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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一生に一度、歴史的快挙に立ち会ってーラグビーW杯2019、日本vsスコットランド

2019年10月14日 | スポーツ観戦記


  5、4、3、2…日産スタジアムを埋め尽くした67,666人の大観衆からカウントダウンの大合唱が始まりました。そして、試合終了を告げるドラと共に、ラックから出たボールを山中選手が外に蹴り出し…。



  28vs21。割れんばかりの大歓声、スコットランドの猛攻を見事に耐え抜き、日本は全勝でプールA1位、史上初のベスト8進出を果たしました。4年前の前回大会、強豪南アフリカを破り、プール戦で3勝を挙げながら勝ち点差で予選敗退。臥薪嘗胆、悲願の準々決勝進出が成し遂げられた瞬間でした。



  個人的には初めての日産スタジアム。収容人数72,327人を誇る日本最大級のスタジアムを赤白のレプリカジャージーを纏ったラグビーファンが埋め尽くす。26年前、旧国立競技場を埋め尽くした早明戦、いや、それ以上の壮観な眺めに心が震えました。「こんな時代が来たのだ」と。



  試合前、まず両軍整列し、前日首都圏を直撃した史上最大級の台風19号による被害に遭われた方に対し黙祷を捧げ、その後アンセム斉唱がありました。今大会、日本の観客が各国の国歌や応援歌を歌っている姿が話題となっていますが、これは元日本代表キャプテンの廣瀬俊朗さんが中心となって、歌を通じて大会を盛り上げ、交流を深めようという「スクラム・ユニゾン」というプロジェクトの果たした役割が大きいと思います。本当に素晴らしいアイデアだと思います。



  さて、試合は日本のキックオフで始まりました。通常、キックオフは地域を獲得すため敵陣深く蹴りこむことが多いのですが、田村選手は相手ディフェンスの前にボールを転がす、グラバーキック(ゴロパント)を選択しました。グレイグ・レイドロー(SH)、フィン・ラッセル(SO)、スチュアート・ホッグ(FB)ら強力なバックスを揃えるスコットランドを相手にするには、できるだけキックで相手にボールを渡さず、いかにポゼッションを多くできるかが重要と思っていたので、これは特に驚く選択ではありませんでした。むしろ前半の戦い方を明確に示したものと思います。

  この試合で4トライ以上のボーナスポイント付きで勝ち点5を挙げなければプール戦敗退が決まるスコットランド。当然ながら、序盤から目まぐるしい攻防が展開されました。特にブレイクダウンでは、これまでのサモアやアイルランドすらも上回るのではないかと思えるほどスコットランドが激しくファイト、被ターンオーバーはこの試合を通じて両軍合わせ27(日本14、スコットランド13)に上りました。



  先制はスコットランド。前半6分、グレイグ・レイドロー選手からのパスを受けたフィン・ラッセル選手が日本ディフェンスのギャップを突いて、ゴール右にトライ。レイドロー選手のゴールキックも決まり、0vs7。



  注目のファーストスクラム。この出来が試合の命運を左右すると言っても過言ではありません。そのスクラムで互角に以上に渡り合い、「いける!」という雰囲気が高まったと思います。



  日本は16分、ゴール正面でのペナルティ・キックを得ますが、失敗。確かに距離はあったものの、田村選手であれば十分決められるゴールと思いましたが、惜しくも距離が足りず。ゴールは正面だからこそ難しいとも言いますが、さすがの田村選手も少し固くなっていたのかもしれません。



  しかし18分、日本はハーフウェイライン付近の密集から流選手がラファエレ選手にパス。さらにスコットランド陣10mライン付近で福岡選手にボールが渡ると、俊足を飛ばしゲイン。最後は松島選手が、がら空きになったスペースを25mほど一気に駆け抜け、ゴール左側にトライ。相手ディフェンスを翻弄する見事なトライで、会場は大騒ぎ。



  田村選手のゴールキックも決まり、7vs7の同点。



  直後の21分、具選手が脇腹を痛めたのか、ヴァル・アサエリ愛選手と交替します。ビジョンに映し出された、ピッチを退く具選手の悔し涙に、チームは鼓舞されたことでしょう。我々観客も胸にこみあげるものがありました。非常に激しかったこの試合、リーチ選手や堀江選手なども痛んでいた様子でしたので、軽傷であることを祈っています。

  続いて26分、スコットランド陣22mライン付近から、松島選手、堀江選手、ムーア選手、トゥポウ選手とオフロードパスを繋ぎ、最後は稲垣選手が代表初となるトライをゴール下に決めます。再三タックルを受けても倒れない、見事な攻撃でした。世界トップクラスのタックルを受けても、容易には倒れない日本になったのです。



  ゴールも決まり、14vs7。日本が初めてリードします。



  前半38分、日本は40mほどのペナルティ・キックを得ます。しかし、これもわずかに距離が足りず失敗。



  しかし、直後の39分。日本はスコットランド陣10mライン付近の密集からパスを繋いで左に展開。ラファエレ選手からのキックパスを走りこんできた福岡選手が片手で抑え、トップスピードのままインゴール左隅にトライ。



  難しい角度でしたが、田村選手のゴールキックも決まり、21vs7。前半を2トライ、2ゴール差で折り返します。やはりキックで地域をとられると非常な脅威を感じるスコットランド。そういう点では、ノットリリースなど密集での反則も少なく、前半は理想的な展開、恐らくプラン通りの戦いができたのではないかと思います。



  後半、日本はボーナスポイントを獲得し、準々決勝進出に大きく前進する、あと1トライに注目が集まります。後半のキックオフは前半よりはやや深めでしたが、それでも相手にできるだけボールを渡さない方針に変わりはなく。

  後半早々、日本陣10mライン付近でのスコットランド・ボールのラインアウト。ラックからグラント・ギルクリスト選手がボールを出すと、スコットランドはパスを繋いで左に展開。しかし、スコットランド陣10mライン付近で福岡選手が相手ボールをジャッカルすると、そのまま40m近くを独走しゴール下にトライ。ゴールキックも決まり、28vs7。21点差、4トライ以上で与えられるボーナスポイントを獲得した日本は、このまま勝利すれば勝ち点19でプールA1位通過。試合の流れは完全に日本に移ったかに見えました。



  ところが、ここからティア1の意地とプライドを懸けたスコットランドの猛攻が始まります。後半9分、スコットランドはスクラムから日本陣インゴール前でひたすらフォワードをぶつけ、力技で迫ります。日本もよく耐えましたが、最後はネル選手がゴール左側に押し込んでトライ。



  レイドロー選手のゴールキックも決まり、28vs14。



  前半から消耗の激しい試合。日本は後半10分に流選手とトゥポウ選手に代わり、田中選手と山中選手を投入。さらに、12分にはムーア選手に代わり、ヘル選手を投入。

  一方のスコットランドも、12分に両プロップとフッカー、左ロックを入れ替えます。さらにはバックスのレイドロー選手とシーモア選手も交替。反撃に向け、大幅に元気な選手を投入します。

  これで勢いを増したか、スコットランドはさらにフォワードでごり押し。ティア1のプライドとも取れますし、固い日本のディフェンスを力でこじ開けようというようにも見えました。後半15分、日本陣22mライン付近まで攻め込んだスコットランドは、ジョニー・グレイ選手、スコット・カミングズ選手、再びグレイ選手とパスを繋ぐと、最後はザンダー・フェーガーソン選手がゴール右に持ち込んでトライ。全てフォワードの選手、濃紺のジャージーに身を包んだ巨漢が次々と突進してくる様は、まるで獲物に襲い掛かるシャチの群れのよう。まさに粉砕と呼ぶにふさわしい、迫力あるトライでした。



  ゴールキックも決まり、あっという間に7点差。まだ時間はたっぷり残されており、場内に危機感が走ります。仮に日本が逆転を許しても7点差以内であれば、既に獲得しているボーナスポイントと合わせ2点となり、勝ち点16で準々決勝進出が決まります。しかし、それすらも安心とは言い難い展開になってきました。



  スコットランドの猛攻は止まりません。後半22分、スコットランドがラインアウトからパスを繋ぎ、クリス・ハリス選手がゴール右に2点差に迫るトライを決めたかに見えました。しかし、これはその前のピート・ホーン選手のスローフォワードの判定に救われ、ノートライ。九死に一生を得ました。



  27分、ジェーミー・リッチー選手が倒れている田村選手を蹴ってしまい、田村選手がリッチー選手の胸を突いたことから、両軍がエキサイトする場面も。
 
  その後もスコットランドの猛攻は続き、試合時間のこりわずか3分となっても、スコットランドによる日本陣インゴール前でのモール、スクラムなどの攻撃が続きました。一方の日本も低いタックルやダブルタックルで必死の防戦。疲労のため少しフィットネスが落ちているように見えましたが、それでも相手を仰向けに倒し、土壇場でのゲインを許さないディフェンスは見事な集中力でした。刻々と迫る時間…。ついに39分、日本は相手ボールスクラムからのターンオーバー。これにより、ボールを保持したまま時間を使い、最後は山中選手が蹴りだしてノーサイド。28vs21、まさに死闘、歴史に残る名勝負ではなかったかと思います。



  試合が終われば、選手も観客も互いの健闘を讃え合う。ラグビー観戦における最も美しい光景の一つです。本当に互いに敬意を表するにふさわしい、素晴らしい試合でした。



  試合後、新横浜駅構内では、バッグパイプを演奏するスコットランドファンを囲んで、人だかりができていました。僕はスコッチウィスキーのファンであり、首都エディンバラは新婚旅行先に選んだ地。スコットランドには、個人的にも親しみがあります。

  過去、日本とスコットランドの対戦成績は、この試合の前までで1勝10敗でした。日本が最初で最後に勝ったのは、1989年5月28日のことです。ところがこの試合、スコットランドは主力の多くがニュージーランドへ遠征しており、スコットランドラグビー協会は今でもテストマッチとして認めていません。あれからちょうど30年、当時16歳だった僕は46歳になりました。そして、W杯という大舞台において今度こそ両軍本気でぶつかり合い掴み取った勝利。実に感慨深いものがあります。また、これにより日本は過去最高の世界ランク7位となりました。



  準々決勝へと駒を進めた日本は、10月20日(日)、世界ランク5位の南アフリカと対戦します。奇しくも、この日は1989年のスコットランド戦で主将を務めた、ミスター・ラグビー、故平尾誠二さんの命日でもあります。

  さらにもう一つ、世界のラグビー史に日本代表が1頁を刻むことを期待して。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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チャンスの神は前髪しかない-日本プロ野球2019 横浜vsヤクルト18回戦

2019年08月04日 | スポーツ観戦記


  ギリシャ語で「チャンス」を意味する男性神カイロスには前髪しかなく、両足には翼があったのだそうです。つまり、このカイロスを捕まえるには、彼が一瞬で通り過ぎる前にその前髪を捕まえなければならない。このことから、「チャンスの神は前髪しかない」(好機は直ぐに捉えなければ、後から捉えることはできない)という諺が生まれました。

  8月1日に横浜スタジアムで行われた、横浜にとってカード三連勝をかけた対ヤクルト18回戦は、まさにそんな試合でした。



  横浜の先発はルーキー、ドラフト3位の大貫投手。7月21日以来11日ぶりの先発です。ここまで5勝3敗、個人的にも期待している投手です。



  その大貫投手ですが、立ち上がりからピリッとしません。先頭の太田選手はレフトフライに討ち取りはしたものの、良い当たり。続く青木選手にはカウント0-2と追い込みながら、低めのフォークボールをライト前に痛打されます(青木選手はこの日、4打数3安打の活躍でした)。さらに山田選手には死球を与え、初回から嫌な感じで走者を背負います。結果的に後続を討ち取り無失点で切り抜けはしたものの、不安定な立ち上がりでした。



  一方、ヤクルトの先発はここまで3勝0敗のベテラン、山田(大)投手。



  その山田投手から、横浜はまず先頭の神里選手が鮮やかなセンター前ヒットで出塁します(神里選手も4打数3安打の活躍でした)。続く宮崎選手は良い当たりでしたがレフト正面のフライに倒れます。しかし、神里選手の盗塁成功により、一死二塁のチャンス。



  すると3番ソト選手が三塁手の頭の上を越えるレフト前ヒットを放ち、神里選手が生還。鮮やかな速攻で、横浜が先制します。



  しかしそれも束の間。2回表、先頭の村上選手に一発を浴びます。レフトフライかと思ったのですが、意外と打球が伸びました。高卒2年目の19歳という若さで、早くも21号。これで同点。



  3回表。またも先頭の青木選手がセンター前に落ちるヒットで出塁。続く山田選手はライトフライに討ち取りますが、次のバレンティン選手の打席で大貫投手が暴投。これで一死二塁。



  さらにそのバレンティン選手には四球を与え、一死二塁・一塁。



  すると雄平選手が二塁手の右をしぶとく抜くヒットで、二塁走者が生還。これで2vs1。



  前の打席で本塁打を放った村上選手は三振に討ち取りますが、続く中村選手。これも外角低めだったのですが、やや甘く入ったところをライト前に弾き返され、二塁走者が生還。3vs1。さらに右翼手ソト選手の返球が悪送球で走者バレンティン選手の首に当たり、その間に走者の雄平選手は三塁へ。



  ここでラミレス監督は早くも大貫投手を諦め、期待の高卒2年目、櫻井投手に交替します。



  二死三塁・一塁の場面。奥村選手の打席の時に、恐らく若い櫻井投手であることをヤクルトが意図的に突いた陽動作戦だと思いますが、飛び出した一塁走者の中村選手に櫻井投手がつられる間隙を突き、三塁走者の雄平選手が本塁を突きます。慌てて櫻井投手は本塁へ送球しますが、判定はセーフ。しかし、ラミレス監督からのリクエストでリプレイ検証の結果、アウトとなりました。これがセーフとなれば完全にヤクルトへ流れが行きかねない場面で、どうにか2失点で食い止めました。



  すると3回裏。横浜は嶺井選手が倒れた後、神里選手がレフト前に落ちるヒットで出塁。



  宮崎選手も右中間の頭を越えるヒットで続きます。これで一死三塁・一塁のチャンス。



  期待のクリーンナップに回りますが、ソト選手はボテボテの三塁ゴロで一塁走者がアウト。それでも神里選手が生還し、どうにか1点差。



  そして四番に戻ってから再びさっぱり打てなくなった筒香選手。この場面でも二塁ゴロに倒れました。とはいうものの、まだ序盤の3回で1点差。望みは十分にある展開でした。



  僕は野球とは流れを引き寄せる駆け引きの競技だと思っています。その意味では、もし勝っていたなら重要なターニングポイントになっていたであろうと思うのが、5回表の櫻井投手の投球です。3回途中から登板した櫻井投手は、4回表、八番からの下位打線を三者凡退に退けました。さらに5回表は二番からの上位打線。ここを青木選手三振、山田選手三塁ゴロ、バレンティン選手を三振で再び三者凡退。ずっとヤクルトが攻勢という雰囲気の中で、その流れを食い止めたのは、若き櫻井投手の投球でした。



  しかもその櫻井投手が5回裏の先頭打者で、レフト前にヒットを放ちます(左翼手バレンティン選手のお粗末な守備も手伝いましたが)。4回裏から盛り上がったボルテージはこれで一気に爆発したように思います。球場の雰囲気は一変しました。



  続く嶺井選手も一二塁間を破るヒット。



  神里選手は二塁への当たりを村上選手が好捕しますが、一塁送球が間に合わず内野安打。これで無死満塁で中軸へ回るというビッグチャンス。そう、この時がまさに横浜にとって「カイロスが通り過ぎようとした時」だったのです。



  正直に告白すると、続く宮崎選手の打席で「併殺打」が頭を過ぎりました。宮崎選手はヒットメーカーではありますが、併殺も多く、今シーズン既に11個の併殺打を記録していたためです(最多は、同じ横浜のロペス選手で16個)。その宮崎選手、カウント1-0から1-2-3と最悪の併殺打。嫌な予感が現実となってしまいました。


 
  それでもソト選手が四球で出塁し、二死ながら再び満塁。カイロスの前髪は少し後ろになびいていたのです。
 
  しかし、当たりの出ない四番筒香選手が二塁ゴロに倒れ、無死満塁で無得点という最悪の結果に。これで大勢は決しました。流れを巡る駆け引きにおいて、自らその流れを手放したのでは勝つことはできません。



  その後、横浜は得点の機会すら作れず。敢えて光明を見出すとすれば、中継ぎ陣がそれなりに頑張り、淡々と試合が進んだことです。結果はさらにヤクルトがその後1点を加え4vs2でしたが、最早この1点はおまけのようなものでした。



  試合後は、球団創設70周年ということもあって、何と100機ものドローンを飛ばしての壮観な演出がありました。大変素晴らしいショーではあったのですが、勝利の演出とならなかったのが残念でした。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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初めてのスカイバーカウンター-日本プロ野球2019 横浜vs中日10回戦

2019年07月22日 | スポーツ観戦記


  7月18日、観戦予定だった5月14日の試合が雨天中止となり、その振替日として横浜スタジアムへ横浜vs中日10回戦に行ってきました。



  振替日ということもあり、普段であれば人気があってまず取れない、内野最上段にある「スカイバーカウンター」2マスを確保することができました。もちろん、初めてです。



  1マス5名のゆったりとしたカウンター席に10ℓのビールサーバーがついて7,100円/人。いつも観戦している内野指定席SSが6,200円で、ビールを1試合8杯は飲んでいるので+5,600円。そう考えるとかなりお得だと言えます。



  しかも横浜の先発は、ここまで8勝3敗と一番信頼できる今永投手。ただ、僕は今シーズンの観戦で今永投手の登板は実に4試合中3度目であり、いずれも勝利投手にはなっていません。そう言うと僕が厄病神かのようですが、結果から言うと、この日も残念な結果に終わりました。



  対する中日は6連敗の後、破竹の7連勝。2位横浜に1ゲーム差の3位と肉薄しています。その勢いに乗る中日相手に、試合は初回から動きました。一死から大島選手の一塁線へのゴロをロペス選手が好捕しますが、ベースカバーに入った今永投手へのトスがやや高く、内野安打。



  続いてアルモンテ選手がセンター前に落ちるヒットで、一死二塁・一塁。アルモンテ選手はこの日4安打の大活躍でした。



  さらにはビシエド選手の三塁ゴロを、照明が目に入ったのか、三塁手の宮崎選手が捕れず内野安打。これで一死満塁。



  そして5番の阿部選手にライトフェンスぎりぎりの犠牲フライを上げられ、中日が先制します。



  一方、中日の先発は今年加入のロメロ投手。ここまで5勝6敗の成績です。



  横浜の反撃は3回裏。一死から、本塁打こそ出ていないものの、コンスタントに安打を放っている筒香選手が右中間を破る二塁打で出塁。



  すると続くソト選手がセンター前に落ちるヒットで、筒香選手が生還。同点に追いつきます。



  試合を決定づけた問題の5回表。先頭のロメロ投手三振の後、平田選手がボテボテのピッチャーゴロでしたが内野安打で出塁。今永投手にとっては不運な当たりでした。



  続く大島選手には死球を与え、一死二塁・一塁。



  つづくアルモンテ選手の打球はセンターへ。これを中堅手の神里選手が目測を誤り、打球は頭の上を超えてしまいます。記録は二塁打でしたが、事実上のエラーでした。2vs1。


  ビシエド選手は満塁策で敬遠。しかし、阿部選手のショートゴロは併殺と思われたのですが、二塁手中井選手が一塁へ悪送球。この間にさらに2点が入ります。4vs1。



  とどめは京田選手がレフト前にタイムリーヒット、これで5vs1。以上を見ても分かるように、不運な内野安打、死球、落下点の判断ミス、悪送球。力量差というよりは何となくやられていったという感じです。逆に、こうした見えないミスを逃さないところが、さすが7連勝中の中日というべきでしょう。



  それでも横浜は7回裏に反撃。まず先頭の関根選手が四球で出塁。



  つづく大和選手は大和選手らしい、右に流すバッティングでライト前へ。



  無死二塁・一塁で中日はロメロ投手から谷元投手に交代。



  打者は代打乙坂選手。すると、谷元選手が暴投で、走者がそれぞれ進塁。乙坂選手は三振に倒れ、一死三塁・二塁。



  ここで筒香選手が一二塁間を破るタイムリーヒット。これで5vs2。



  さらにソト選手もタイムリー内野安打。遊撃手の京田選手はよく追いついたのですが、投げられませんでした。5vs3、終盤ながらワンチャンスで追いつける3点差まで迫ります。



  しかし、せっかくの反撃の狼煙も直後の8回表に潰えてしまいました。横浜は今永投手から、斎藤投手、櫻井投手と繋ぎ、櫻井投手が8回表先頭の京田選手にヒットを許したところで、四番手の赤間投手が登板。



  中日は、堂上選手が送りバントを決め、一死二塁とすると、木下選手が四球を選び二塁・一塁。



  代打藤井選手はショートライナーに討ち取り、二死としますが、平田選手にも四球を与え二死満塁。



  不要な四球で走者を溜めた挙句、大島選手に一二塁間を破られ、7vs3。自ら流れを手放す、自滅と言ってよい失点。これでは勝てるものも勝てません。

  結局、試合はこのまま7vs3で中日の勝利。中日は7連勝とし、横浜と並び2位に浮上しました。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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5時間21分の激闘、鷹の祭典-日本プロ野球2019 ソフトバンクvs西武12回戦

2019年07月10日 | スポーツ観戦記


 7月8日、4年ぶりの「鷹の祭典」、ソフトバンクvs西武の観戦に東京ドームへ行ってきました。毎年配布されるレプリカユニフォームの色は、水色です。今年も46,824人の観衆でドームは埋め尽くされました。



 始球式は、女優の吉岡里帆さん。ワンバウンドながら結構良い球を投げていました。



 さて、ソフトバンクの先発は、ここまで3勝3敗のミランダ投手。この日は直球が走り、序盤の3回まで強力な西武打線を無安打に抑えました。



  一方の西武は、ここまで7勝5敗の高橋光成投手。観戦した6月7日の交流戦では、ベイスターズは完全に抑えられました。ただ、ここ3試合の登板は勝ち星がありません。

  いずれも早打ち傾向のある打線だからなのか、いつもベイスターズの観戦をしているからなのか、両投手の球数の少なさには驚きました。



  試合は2回裏に早くも動きます。先頭打者のデスパイネ選手が、ライトスタンドに飛び込む、打った瞬間それと分かる豪快なホームランを放ち、ソフトバンクが先制します。



  その後、ソフトバンクは、ミランダ投手が西武打線を封じ込める一方、5回まで小刻みに加点。試合を優位に進めます。3回裏は一死三塁・一塁から福田選手のセカンドゴロの間に1点。



  4回裏は、二死走者なしの場面で松田選手がレフトスタンドポール際上段に飛び込む、さらに豪快なホームラン。



  5回裏には、不振に喘ぐ9番上林選手にまで2ランホームランが飛び出し、0vs5。ここまでは早く帰れると思っていたのですが…。



  西武の反撃は、ようやく6回表。ここまで27本塁打、68打点を挙げている山川選手。しかし、6月7日の観戦時点で既に25本塁打、60打点でしたので、このところ調子を落としていると言えます。その山川選手がレフトスタンドに、これまた打った瞬間に分かるホームランを放ち、ようやく反撃開始。



  そして7回表。ソフトバンクは三番手の武田投手が登板すると、簡単に二死とするのですが、そこから秋山選手と源田選手に連続四球。さらには冒頭で二死三塁・二塁。



  続く外崎選手の三塁ゴロはアウトの判定だったのですが、リプレイ検証の結果、内野安打に。これで2vs5。



  さらに山川選手の適時打で3vs5。



  ソフトバンクは武田投手から若い高橋純平投手に交代しますが、森選手に四球を与え再び満塁とすると、中村選手がレフトのラインぎりぎりに落ちる二塁打。ついに西武が同点に追いつきます。前半からは予想もつかぬ試合展開に。



  しかし、ソフトバンクもすぐさま反撃。7回裏、西武二番手のマーティン投手から上林選手、福田選手がヒットで出塁し、一死三塁・一塁とすると、内川選手の犠牲フライによって勝ち越し。



  9回表、ソフトバンクは抑えの甲斐野投手を登板させ、野手も3人入れ替えて守備固めに入ります。甲斐野投手は源田選手に二塁打を浴びたものの、二死までこぎ着けましたが、森選手に痛恨の2ランホームランを浴び、西武がこの試合初めてリードします。



  ところがソフトバンクは、土壇場の9回裏にこの日2本目となるホームランを放ち、再び同点!早く終わるかと思われた試合は、まさかの延長戦へ。



  決着は12回裏。一死満塁から代打の栗原選手が内角低めの球を掬い上げ、センターへ十分な飛距離の犠牲フライ。7vs8、5時間21分に及んだ激闘は、ソフトバンクのサヨナラ勝ちで幕を下ろしました。横浜に住んでいる僕は、試合後のセレモニーまで残ることができず。残念ながら球場を後にしました。

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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