
2021年1月3日。アメリカンフットボールの日本一を決める、第74回Rice Bowlの観戦に東京ドームへ行ってきました。試合後に分かったことですが、学生と社会人のチャンピオンが日本一を争う形式は今回が最後なのだそうです。前回も書きましたが、社会人と学生の差は近年顕著になってきており、Rice Bowlで学生側に多く負傷者が出てしまう点も問題だと思っていましたので、これは良いことだと思います。
さて、学生側は4年連続で関西学院大学ファイターズ。この10年で実に学生王者8度。昨シーズン、1992年からチームを率いてきた鳥内監督が退任し、また今シーズンはコロナ禍の中、社会人相手にどのようなゲーム運びをするのか注目していました。一方、社会人はブログでもご紹介した通り、7年ぶりにJapan X Bowlを制したオービック・シーガルズです。

国歌独唱は、ソウル・シンガーのクリス・ハートさん。

試合は関西学院K/P永田選手のキックでスタート。作戦通り、オンサイドキックでLB都賀選手がリカバー。自陣48ヤードからの攻撃開始。関西学院はファーストダウンを二度更新、オービック陣エンドゾーンまで残り10ヤードまで攻め込み1stダウン10。すると、RB前田選手が密集を抜け出し、エンドゾーン右にタッチダウン。2:31、関西学院が先制します。しかし、キックはオービックDLバイロン・ビーティ―・ジュニア選手のブロックにより失敗。

オービックの反撃は5:38。自陣41ヤードから着実にファーストダウンを更新し、関西学院陣32ヤードからの1stダウン10。すると、QBロックレイ選手からWR野崎選手への24ヤードのパスが通り、エンドゾーン残り8ヤードまで攻め込みます。ここからRB望月選手がエンドゾーン中央に走り込み、タッチダウン。

フィールドゴールは、オービックオフェンスにフォルス・スタートの反則があり5ヤードの罰退。しかし、練習ながら73ヤードのフィールドゴールを成功させたこともあるというK/P山崎選手にとって、これは問題にならず。オービックが7vs6と逆転。山崎選手は、この試合も再三のロングキックで関西学院のリターンを許さない活躍を見せました。

さて、山崎選手のパントは関西学院陣エンドゾーンまで届き、タッチバック(関西学院自陣25ヤードからの攻撃)。ファーストダウンを更新しますが、その次のシリーズが阻まれ、自陣45ヤードからの4thダウン1でパント。ところが、ここでフォルス・スタートの反則があり、5ヤード罰退。すなわち、自陣40ヤードから4thダウン6のパントとなりますが、何とこれをオービックのDL平澤選手がブロック。拾い上げたボールを関西学院陣14ヤードまで持ち込みます。一転して、オービックのチャンス。20ヤード切られると、社会人同士でも防ぎきるのは中々難しいと思いますが、QBロックレイ選手らのパスが、左エンドゾーンに走り込んだTEハフ選手へ通り、タッチダウン。ゴールも決まり、8:19、14vs6。

このままオービックに流れが行くかと思われたのですが、2Qに入ると関西学院のディフェンスが健闘しました。両者とも、ファーストダウンこそ更新するものの、次のシリーズが続きません。無得点のまま2Qも終わりに近づいた11:25、関西学院にビッグプレーが飛び出します。関西学院は自陣16ヤードから3rdダウン10、ワイルドキャットフォーメーション(QBの位置にTBが入るフォーメーション)。RB鶴留選手からボールを受け取ったRB三宅選手が左サイドを突破、何度そのまま84ヤードを走り切り、タッチダウン。

そして関西学院は2ポイントコンバージョンにトライしますが、これは失敗。とはいえ、前半を14vs12の2点差で折り返します。

ハーフタイムショーは、再びクリス・ハートさん。今回、コロナ対策のためか分かりませんが、関西学院大学のチアリーダーは出場しませんでした。

前半は健闘した関西学院でしたが、後半になると地力の差が顕著になり始めます。3Q、オービックは自陣47ヤードからの1stダウン10。ここでQBロックレイ選手が放ったパスをWR野崎選手が関西学院陣30ヤード付近でキャッチ。そのまま走り切ってタッチダウン(2:33)。ゴールも決まり、21vs12と突き放します。

4:53、先ほどのタッチダウンパスをさらに上回るビッグプレーが。オービックは関西学院陣49ヤードからの1stダウン10。センター庄島選手からのスナップをQBロックレイがキャッチすると、左サイドから走りこんできたWR西村選手にハンドオフ、大きく右サイドを突破すると、そのまま49ヤードを独走しタッチダウン。ゴールも決まり、28vs12。

4Q開始早々、オービックは自陣45ヤードからの1stダウン10。まず、WB西村選手へのパスが通り、2ndダウン4。WR成田選手へのロングパスは失敗に終わりますが、続く3rdダウンで再びのパスはWR西村選手に通り、1stダウン更新。関西学院陣42ヤードからの1stダウン10。まず、WR水野選手へのタッチダウンパスは不成功。しかし、2ndダウンでQBロックレイ選手からのパスを関税学院陣27ヤード付近でTEホールデン・ハフ選手がキャッチ、そのまま右エンドゾーンに走り切ってタッチダウン(1:48)。ゴールも決まり、35vs12。

関西学院最後の意地は、その後。例によってK/P山崎選手のロングキックでタッチバックとなり、関西学院は自陣25ヤードから攻撃開始。最初のWR鈴木選手へのパスは失敗しますが、次のWR梅津選手へのショートパスは成功。3rdダウン9、WR鈴木選手への23ヤードパスが通り、ファーストダウン更新。オービック陣32ヤードからの1stダウン10。WR梅津選手へのショートパスが通り、2ndダウン5。続くパスは不成功と思われましたが、オービックにホールディングの反則。これでオートマチック・ファーストダウンとなり、オービック陣36ヤードからの1stダウン10。QB奥野選手からRB三宅選手へハンドオフ、2ndダウン8。QB奥野選手のスクランブルで3rdダウン1。エンドゾーンまで残り27ヤード、どうするかと思いましたが、QB奥野選手が自ら飛び込んでファーストダウン更新。オービック陣25ヤードからの1stダウン10。まずTE小林選手へのショベルパスで5ヤード獲得。2ndダウン5、QB奥村選手からドロープレー(パスと見せかけてラン・プレーをすること)でRB鶴留選手にハンドオフ。これでファーストダウン更新、ついにエンドゾーン13ヤードまで迫ります。1stダウン10、QB奥野選手のパスは不成功。続く2ndダウン、QB奥野選手からRB前田選手にハンドオフ、前田選手はオービックDFラインの中央を突破、そのまま左エンドに走りこんでタッチダウン(6:48)。しかし、その後の2ポイント・コンバージョンは失敗、35vs18。しかし、ここまででした。

結果、オービック・シーガルズが7年ぶり、史上最多8回目の日本一を更新しました(リクルート時代を含む)。しかし、今大会で1984年から続いた学生代表vs社会人代表の形式は終わりを告げ、新たな歴史が刻まれていくこととなります。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
