嘘の吐き方(うそのつきかた)

人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。

呪いの思い出を、雲にへたり打ちするように…

2006年06月17日 03時02分01秒 | 詩に近いもの
好きだった女の子の事を考えると暗い気持ちになる。

好きだった、という表現が生み出すものを
僕はこの場で自覚する

今も好きなのかもしれないけれど
今はもう好きになれない
何よりも、彼女の事を思い出せば
「今」を好きになることが出来ない。

ずっと重くのしかかってくる問題。
回避せねばならないかのような錯覚。

好きだった過去を、幸せだと思うことが出来ない。
たぶん、ずっとずっと出来ないだろうと思う。

「一回性」

それは責任とは違う。
意志とも堅牢さとも、我が侭とも違う
いわば摂理に似ていて、
儚くどうしようもない気持ちの源泉であると書いても
さしつかえないと思えるほど。

たぶん、もう僕はどうにもならない。
ずっと昔に壊れてしまったはずなのに
痛みを作り出す女性が居たということに、
驚きを隠せなかった。

正直さとは何かを、嘘と一緒に考える。
僕が君を好きだったことは、はたして正直な事だったろうか。

僕は何か君に、謝らなくちゃいけないのだろうか。

「どうして謝るの?」
と君は聞いた。

あるいはあれこそが、僕の我が侭で、
僕が相手に謝って欲しかったから、先に謝っただけなのか。

気持ちが悪い。
どんな我が侭さも、頑固さも、儚さも、
君の前ではほとんど意味がない。

それは君が美しいからではないと、どんな僕にだってわかることは出来る。

だけど、君の周りでは空気が優しかった。
君の周りにある空気は、君の厳しさとは関係なく、
僕を溶かす水に似ていた。

たぶん、そこには笑いがあったんだと思う。
いわば誤解された約束に近いような、
遠からず少なからず、掴み取れず、触れることも出来ないような
微笑みがあったのだと思う。

僕はその奥にある、正体不明の何かを欲しがったのだろうか。
それとも、そこにある空気を纏って
今を今だと認めたかったのだろうか。

それは、触れることの出来ない約束の味がするような気がする。
決して飲むことが出来ない毒薬のような生が
僕を死へと至らしめるから。

決して君には、僕が理解されることはないだろう。
けれど僕はそれでもいいと思ってる。

理解とは、半分が誤解で、半分が融解であったとしても
それは伝説のようなもので
いわば物語のオブラートに包まれた事実に過ぎない。

僕が死を決意しているのは
君に会えたからでも無ければ、
君に触れることが出来なかったからでもない。

たぶん、もっと前から、君に似た何かを通して見える、
あちら側の世界に
僕は既に魅入られているから。

それはどうしようもなく僕に似ていて
僕の煙で作ったような味がする。

君と会えて良かったのかどうかはよくわからない。
君に似た何かを探してしまう時でさえ、
君が正解かどうかを疑うような僕だから。

だけど僕は、君に触れられなかったことを、
半分喜びながら、半分苦しむだろう事を、
向こう側の景色として感じながら取り寄せている。

それはきっと、君からは絶望的な景色に見えることだろう。
それは君からはどんな色に見えるだろうか。

僕には、還るべき居場所のようでいて
既にもう、何年も前から忘れている小さな記憶のようでもある。

うしなわれた世界の味を求める為に
形だけを、失い続ける僕の記憶は、
君をここにとどめる事すら出来ない。

そんな僕のことを、あの時謝った僕は許しはしないだろうと思う。
少なくとも、今の君を許せないほどに歪んでいる僕の姿は水に映るのだから。

やさしい時計を、知りたいと思った。
なんの音もしない、ゆれる一秒を声と共にとかしていく時計が欲しいと思った。
ただそれで、時間を忘れる事が出来ればいいと思った。
そんな正直さでさえも、君を通してみる僕には

欲望の色だけが濃く映る。

永遠から投影された写像は、遙か昔の思い出を、すりこぎけずるようにして、
ただただ男達の船出を楽しむ。
明日世界があらんことを、願う神だけが僕に殺されるように。

はたして君は、僕に殺されるために生まれるだろうか?

僕はもうゆくよ。

君の形を失ったとしても、僕には何もない場所がある
それはきっと、誰にも言えない秘密とよく似てる。

明日、世界が終わるのなら
僕は喜び勇んで君の歌をうたおう。

今日会えなかった人達が、明日は一緒に死ねますように。
深い森の中で、毒の味で深呼吸できますように。

明日は晴れたらいい
原爆のような曇り空を削って
君の気持ちが晴れたらいい

僕はもう嫌だ。
僕はこの世界を遠くから見る、生きている君になんか遭いたくない。

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