嘘の吐き方(うそのつきかた)

人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。

すべての君に向けて。

2008年02月24日 11時37分40秒 | 詩に近いもの
君に触れられなかったから、僕は絶望して死んだのでしょうか?


僕は、どれぐらい多くのことを、君に謝らなければならないだろうか
君と歩いたときの手のぬくもりも
やわらかい感触も
意志の不確かさも
なんとなく夢うつつでどきどきする感じも
いろいろ覚えているけれど
たぶん、謝らなくちゃいけないのはそんなことじゃなくて
僕と君が、どうしようもないほど、
別世界にいるという、そのこと自体の奇跡のようなことについてじゃないだろうか。

何もきめられたくないし
何もたすけてほしくなかったんだとおもう
なにもいわれたくなかったし
ただ声を聞いていたかったんだと思う
側にいることを、許して欲しかったんだと思う。

同じように僕は、君に何かを許してほしかった。
たぶん、誰かに許しをこおうと思ったのは、あの夜が初めてで
あの台詞が初めてだったんだと思う。

僕が君に許してほしかったのは、
ただもうどうしようもなく僕の自分勝手なわがままで、
それはおそらく君の存在とか、君の役割とか、
君という特別さとか、そんなことには関わらず、
ただどうしても、僕が誰かに許されたかったという、
僕自身のゆるせなさだった。

僕が、あるがなしいと勝手に造語で呼んでいる、
変な感情、それじたいのことだったと思う。

それでも君は、ある種の困惑と疎外感を持ちながらも、
とまどいの中でぼくをゆるしてくれたから、
たとえそれが形式張ったぎこちない感情と論理のすきまにある言葉だとしても、
僕はそれだけでよかったんだと思う。

僕はあまりにも君を求めすぎたし、
それは性差を超えて、年齢差を超えて、
ただどうしても、純粋な何かに触れたかったという、
僕の強欲さと逃避の現れなんだと思う。

君が吐いていた嘘に、僕も騙されたかった。
でも、あらゆる嘘は、嘘吐きな僕の前で消し飛んで
ただやっぱりすべてを疑う僕だけがここに残った。
僕だけを信じ、君の嘘を信じられなかった。
その嘘をたまねぎのようにひとつひん剥けば、
そこに美しいなにか、どうしても触れたかったなにかがあるとは、
そこに僕の欲しがっていたこころがあるとは、
思えなかったんだと思う。

今、ふたたび僕は何かを欲しがっていると思う。
その欲しがる強欲さを、僕は怖いと思う。
とても恐ろしいと思う。
君が同じように何かを欲しがることが怖いんじゃない。
手に入れて、僕がすべてを見失うことが怖い。
君に触れたとたんに、君が亡くなりそうで怖い。
君の存在を、確かめられない弱い僕と出会うのが怖い。
君の存在を、認められない僕だけが事実として残るのが怖い。
真実よりも、現実を受け入れるぼくのよわさ、どうしようもなさが怖い。

幻想だけをみて、本物のきみをみれなくなるのも怖い
変化する君の今を追えなくなって、
過去の君の漸近線だけを追うのが怖い。
ずっと僕だけみて欲しいという強欲さが怖い。
存在に嫉妬して、壊してしまう僕の阿呆さ加減が怖い。

なにもかもを奪うことでしか、なにも手に入らないと、
誤解する馬鹿な自分が怖い。
拡大するばっかりの過剰なフレームで、
君と混じり合えない僕が怖い。

僕は、僕の水が汚されるのが怖い。
僕の水を飲めなくなるのが怖い。

こんなにも、僕は臆病さが怖い。
勇気を振り絞って、君に近づく日が来ると思う。

僕の存在を、打ち明ける日が来ると思う。
その時ぼくは、もしかすると、泣きながら死ぬんだろうか。

一回性が、はてしなく怖い。
はてしなさを乗り越えて輝く一回性の命とわかっていても、
それでも僕は、君に触れずに死んでいくのが怖い。

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