asahi.com 日本版「エンロン事件」の様相 問われる監査体制
商法等の監査制度に係る主要な改正は,以下のとおり。
昭和25年改正 取締役会制度導入 → 監査役の権限縮小
昭和49年改正 監査役の権限強化,会計監査人制度の導入,商法特例法の制定
昭和56年改正 大会社の監査制度強化
平成5年改正 監査役の任期伸長,大会社の社外監査役制度・監査役会制度の導入
平成13年改正 監査役の任期伸長,大会社の社外監査役の資格要件・人数の強化等
平成14年改正 大会社の委員会等設置会社制度の導入
近藤光男教授が,著書『最新 株式会社法』の監査役に関する項目の冒頭,「監査役制度の変遷は,一言で言えば,監査役制度に対する期待と失望の繰り返しであった。」と書かれていたのを思い出す。今回の事件で,失望の数がまた1つ増えた。
一方の会計監査人は,昭和49年導入の制度。しかし,粉飾決算は後を絶たず,カネボウの粉飾決算事件では担当会計士が粉飾指南をしていたことが発覚する有様。会計監査人は,過去の粉飾決算事件を直接の契機に導入された制度だけに,失望も大きい。
「監査の『質』を外部から定期的に点検する仕組みを設けるなど新たな手だてが必要」には,思わず,吹き出しそうになったが,八田教授,もちろん,真面目に言っておられるのであろう。それにしても,会計監査人の監査業務を監査する仕組みが必要とは (-_-;) 。
「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の関連条文
(会計監査人の監査)
第二条 大会社(清算中のものを除く。)は,この節に定めるところにより,商法第二百八十一条第一項 に掲げるもの(同項第三号 に掲げるもの及びその附属明細書については,会計に関する部分に限る。)について,監査役の監査のほか,会計監査人の監査を受けなければならない。
2 資本の額が一億円を超える株式会社(第一条の二第一項各号のいずれにも該当しないものに限り,清算中のものを除く。)は,定款をもつて,この節に規定する特例の適用を受ける旨を定めることができる。この場合においては,当該株式会社を大会社とみなして,前項及び次条から第十九条まで(第四条第二項第二号並びに第七条第三項及び第五項中連結子会社に関する部分並びに第十八条第四項を除く。)の規定を適用する。
(会計監査人の権限等)
第七条 会計監査人は,いつでも,次に掲げる閲覧又は謄写をし,又は取締役及び支配人その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。
一 大会社の会計の帳簿及び資料が書面で作られているときは,その書面の閲覧又は謄写
二 大会社の会計の帳簿及び資料が電磁的記録で作られているときは,その電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの大会社の本店における閲覧又は謄写
2 会計監査人は,その職務を行うため必要があるときは,大会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
3 会計監査人は,その職務(連結子会社については,第十九条の二第一項に規定する連結計算書類に関するものに限る。)を行うため必要があるときは,子会社若しくは連結子会社に対して会計に関する報告を求め,又は子会社若しくは連結子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
4 商法第二百七十四条ノ三第二項 の規定は,前項の場合について準用する。
5 会計監査人は,その職務を行うに当たつて第四条第二項第一号から第三号までに該当する公認会計士,大会社又はその子会社若しくは連結子会社の取締役,執行役,監査役又は使用人である者及び大会社又はその子会社若しくは連結子会社から公認会計士又は監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者を使用してはならない。
(会計監査人の損害賠償責任)
第九条 会計監査人がその任務を怠つたことにより大会社に損害を生じさせたときは,その会計監査人は,大会社に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。
第十条 会計監査人が重要な事項について第十三条第一項の監査報告書に虚偽の記載をしたことにより第三者に損害を生じさせたときは,その会計監査人は,その第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。ただし,その職務を行うについて注意を怠らなかつたことを証明したときは,この限りでない。
(会計監査人,取締役及び監査役の連帯責任)
第十一条 会計監査人が大会社又は第三者に対して損害賠償の責めに任ずべき場合において,取締役又は監査役もその責めに任ずべきときは,その会計監査人,取締役及び監査役は,連帯債務者とする。
商法等の監査制度に係る主要な改正は,以下のとおり。
昭和25年改正 取締役会制度導入 → 監査役の権限縮小
昭和49年改正 監査役の権限強化,会計監査人制度の導入,商法特例法の制定
昭和56年改正 大会社の監査制度強化
平成5年改正 監査役の任期伸長,大会社の社外監査役制度・監査役会制度の導入
平成13年改正 監査役の任期伸長,大会社の社外監査役の資格要件・人数の強化等
平成14年改正 大会社の委員会等設置会社制度の導入
近藤光男教授が,著書『最新 株式会社法』の監査役に関する項目の冒頭,「監査役制度の変遷は,一言で言えば,監査役制度に対する期待と失望の繰り返しであった。」と書かれていたのを思い出す。今回の事件で,失望の数がまた1つ増えた。
一方の会計監査人は,昭和49年導入の制度。しかし,粉飾決算は後を絶たず,カネボウの粉飾決算事件では担当会計士が粉飾指南をしていたことが発覚する有様。会計監査人は,過去の粉飾決算事件を直接の契機に導入された制度だけに,失望も大きい。
「監査の『質』を外部から定期的に点検する仕組みを設けるなど新たな手だてが必要」には,思わず,吹き出しそうになったが,八田教授,もちろん,真面目に言っておられるのであろう。それにしても,会計監査人の監査業務を監査する仕組みが必要とは (-_-;) 。
「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」の関連条文
(会計監査人の監査)
第二条 大会社(清算中のものを除く。)は,この節に定めるところにより,商法第二百八十一条第一項 に掲げるもの(同項第三号 に掲げるもの及びその附属明細書については,会計に関する部分に限る。)について,監査役の監査のほか,会計監査人の監査を受けなければならない。
2 資本の額が一億円を超える株式会社(第一条の二第一項各号のいずれにも該当しないものに限り,清算中のものを除く。)は,定款をもつて,この節に規定する特例の適用を受ける旨を定めることができる。この場合においては,当該株式会社を大会社とみなして,前項及び次条から第十九条まで(第四条第二項第二号並びに第七条第三項及び第五項中連結子会社に関する部分並びに第十八条第四項を除く。)の規定を適用する。
(会計監査人の権限等)
第七条 会計監査人は,いつでも,次に掲げる閲覧又は謄写をし,又は取締役及び支配人その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。
一 大会社の会計の帳簿及び資料が書面で作られているときは,その書面の閲覧又は謄写
二 大会社の会計の帳簿及び資料が電磁的記録で作られているときは,その電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの大会社の本店における閲覧又は謄写
2 会計監査人は,その職務を行うため必要があるときは,大会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
3 会計監査人は,その職務(連結子会社については,第十九条の二第一項に規定する連結計算書類に関するものに限る。)を行うため必要があるときは,子会社若しくは連結子会社に対して会計に関する報告を求め,又は子会社若しくは連結子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
4 商法第二百七十四条ノ三第二項 の規定は,前項の場合について準用する。
5 会計監査人は,その職務を行うに当たつて第四条第二項第一号から第三号までに該当する公認会計士,大会社又はその子会社若しくは連結子会社の取締役,執行役,監査役又は使用人である者及び大会社又はその子会社若しくは連結子会社から公認会計士又は監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者を使用してはならない。
(会計監査人の損害賠償責任)
第九条 会計監査人がその任務を怠つたことにより大会社に損害を生じさせたときは,その会計監査人は,大会社に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。
第十条 会計監査人が重要な事項について第十三条第一項の監査報告書に虚偽の記載をしたことにより第三者に損害を生じさせたときは,その会計監査人は,その第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。ただし,その職務を行うについて注意を怠らなかつたことを証明したときは,この限りでない。
(会計監査人,取締役及び監査役の連帯責任)
第十一条 会計監査人が大会社又は第三者に対して損害賠償の責めに任ずべき場合において,取締役又は監査役もその責めに任ずべきときは,その会計監査人,取締役及び監査役は,連帯債務者とする。