法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

大会社である取締役会設置会社における内部統制システムの決定期限について

2006-01-30 19:54:41 | Weblog
 大会社である取締役会設置会社においては,会社の業務の適性を確保するための体制(内部統制システム)の構築の基本方針の決定が義務付けられており(会社法第362条第5項),この決定を取締役に委任することは認められていない(会社法第362条第4項第6号)。

 この類型の会社において,上記の決定をいつまでおこなわなければならないか気になるところだが,先般公表された「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う経過措置を定める政令」に経過措置が置かれている(第14条)。
これによると,会社法第362条第5項は,施行日以後最初に開催される取締役会の終結までは適用しない,となっている。つまり,遅くとも,施行日以後最初に開催される取締役会においては決定しなければならないことになる。注意したい。


会社法の関連条文

(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は,すべての取締役で組織する。
2 取締役会は,次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は,取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4 取締役会は,次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置,変更及び廃止
五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
5 大会社である取締役会設置会社においては,取締役会は,前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。

「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う経過措置を定める政令」の関連条文

(取締役会の権限等に関する規定の適用除外)
第十四条 新株式会社については,会社法第三百六十二条第五項の規定は,施行日以後最初に開催される取締役会の終結の時までは,適用しない。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 横手市の地域自治区について | トップ | 名目的役員の責任について »