法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

取り調べに係る「可視化特区」について

2006-01-26 21:26:12 | Weblog
asahi.com 取り調べ録画,「大阪・福岡を特区に」 日弁連が提案

特区11件を全国展開,評価委が決定・どぶろく見送り NIKKEI NET

 人生はいろいろだが,特区もいろいろ。
それにしても,記事にある法務省の「(可視化すれば)容疑者との信頼関係を築くことが難しくなり,真相を十分解明できなくなる」の意味がよく分からない。


刑事訴訟法の関連条文

第百九十七条  捜査については,その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し,強制の処分は,この法律に特別の定のある場合でなければ,これをすることができない。
2  捜査については,公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

第百九十八条  検察官,検察事務官又は司法警察職員は,犯罪の捜査をするについて必要があるときは,被疑者の出頭を求め,これを取り調べることができる。但し,被疑者は,逮捕又は勾留されている場合を除いては,出頭を拒み,又は出頭後,何時でも退去することができる。
2  前項の取調に際しては,被疑者に対し,あらかじめ,自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
3  被疑者の供述は,これを調書に録取することができる。
4  前項の調書は,これを被疑者に閲覧させ,又は読み聞かせて,誤がないかどうかを問い,被疑者が増減変更の申立をしたときは,その供述を調書に記載しなければならない。5  被疑者が,調書に誤のないことを申し立てたときは,これに署名押印することを求めることができる。但し,これを拒絶した場合は,この限りでない。

第三百十九条  強制,拷問又は脅迫による自白,不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は,これを証拠とすることができない。
2  被告人は,公判廷における自白であると否とを問わず,その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には,有罪とされない。
3  前二項の自白には,起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。

構造改革特別区域法の関連条文

(目的)
第一条 この法律は,地方公共団体の自発性を最大限に尊重した構造改革特別区域を設定し,当該地域の特性に応じた規制の特例措置の適用を受けて地方公共団体が特定の事業を実施し又はその実施を促進することにより,教育,物流,研究開発,農業,社会福祉その他の分野における経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図り,もって国民生活の向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「構造改革特別区域」とは,地方公共団体が当該地域の活性化を図るために自発的に設定する区域であって,当該地域の特性に応じた特定事業を実施し又はその実施を促進するものをいう。
2 この法律において「特定事業」とは,地方公共団体が実施し又はその実施を促進する事業のうち,別表に掲げる事業で,規制の特例措置の適用を受けるものをいう。
3 この法律において「規制の特例措置」とは,法律により規定された規制についての第四章で規定する法律の特例に関する措置及び政令又は主務省令により規定された規制についての政令又は主務省令で規定するこれらの規定の特例に関する措置をいい,これらの措置の適用を受ける場合において当該規制の趣旨に照らし地方公共団体がこれらの措置と併せて実施し又はその実施を促進することが必要となる措置を含むものとする。
4 この法律(第三十九条第一項を除く。)において「地方公共団体」とは,都道府県,市町村(特別区を含む。第四条第三項及び第六項,第十六条第一項並びに第十七条第一項において同じ。)又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の一部事務組合若しくは広域連合をいう。

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整備法によるみなし定款変更について

2006-01-26 20:33:04 | Weblog
 『ビジネス法務3月号』の特別企画は,「新・会社法 今からはじめる株主総会実務」。執筆者は,三菱UFJ信託銀行証券代行部の小山秀之氏。
会社法施行後の定時株主総会に提出される議案の中に「整備法によるみなし定款変更」の項目があり,目を通したところ,次のようなコメントが付されている。以下,青字で引用。

 みなし定款規定については,会社法施行日をもって定款変更を行い,株主総会では報告事項とすることも考えられるが,他の定款変更事項とあわせて,定款変更議案として総会に諮るのが一般的な対応と思われる。
整備法77条により,会社法施行後の定款の閲覧請求に対応するため,定款に定めがあるものとみなされる事項を示すための書面を用意するのが望ましい。


最初のパラグラフの「株主総会では報告事項とすることも考えられる」が「目から鱗」という感じ。もちろん,この部分をクローズアップされるのは小山氏の本意とするところではないのであろうが。

 この後,鈴木竹雄『会社法』(全訂第5版)の定款に関する部分を拾い読みしたところ,次のような記述にぶつかった。以下,青字で引用。

 定款には二義があって,第一には会社の組織・活動または社員の地位を定める根本規則を意味し,第二にはこのような規則を記載した書面を意味する。設立の際作成される定款はこの両者を含み,したがって規則を定め,かつ,それを書面に作成することを要するが,その後の定款変更は規則の変更のみを意味し,したがって書面の変更がなくても定款変更の効力を生じ,書面は,ただその結果,執行機関により変更されるにすぎない。

確かに,整備法の定款変更のみなし規定(整備法第52条,同第57条,同第76条第2項・第4項,同第80条第1項等)の存在→観念的な定款は会社法施行日に変更される(整備法附則本文)→書面としての定款の変更は取締役等の業務執行(会社法第348条)→株主総会においては,整備法のみなし規定により,定款の変更があった旨報告すれば足りる,というのも一応筋が通っている。定款における条文の先後関係が解釈問題に重大な影響を与えるとは考えにくい。条数番号の割り振りも業務執行の範囲内として特段問題はないように思われる。もちろん,多くの会社は,小山氏もいわれるように,みなし定款規定をも決議事項に含めるという安全策をとるであろう。

 以前あれこれ悩んだ原因は,詰まるところ,「観念としての定款」と「書面としての定款」の区別がきちんと出来ていなかったことにある。


会社法の関連条文

(業務の執行)
第三百四十八条 取締役は,定款に別段の定めがある場合を除き,株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 取締役が二人以上ある場合には,株式会社の業務は,定款に別段の定めがある場合を除き,取締役の過半数をもって決定する。
3 前項の場合には,取締役は,次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一 支配人の選任及び解任
二 支店の設置,移転及び廃止
三 第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
五 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
4 大会社においては,取締役は,前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない。

第四百六十六条 株式会社は,その成立後,株主総会の決議によって,定款を変更することができる。

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「銀行変遷史データベース」について

2006-01-26 09:52:56 | Weblog
全銀協HP 「銀行変遷史データベース」

 試しにと,「東京三菱」で検索すると,詳細情報には「平成18.1 (資料)金融庁の1年(平成16事務年度版) p118:平成18.1.1 合併,金融 平成18.1 p45:平成17.11.18 合併認可,全国銀行店舗一覧異動通知 第517号別冊:平成18.1.1 合併」と出てくる。「平成18.1.1 合併」は本当だろうか。情報の精度・詳度は今一つか・・・。

いずれにせよ,ちょっとした調べ物には非常に便利なツール。適宜活用したい。

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有害情報削除に係る約款モデルの作成について

2006-01-26 08:47:49 | Weblog
自殺サイトなど,有害情報削除へモデル約款…総務省 YOMIURI ONLINE

 プロバイダ責任法(正式名「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 」)は,「特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるもの」(第1条)。直接,「有害情報の氾濫防止」を目的とするものではない。

有害情報の具体例を列挙した契約約款のモデルは,プロバイダを,「コンテンツの公序良俗違反の如何」という困難な問題から解放することになろう。
おかしな契約内容は,有害情報の垂れ流しに自ら荷担することをも意味する。プロバイダには,約款モデルに安住することなく,改善・明確化していくような姿勢が求められるように思う。

警視庁HP プロバイダ責任法が施行されました


プロバイダ責任法の条文

(趣旨)
第一条  この法律は,特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。

(定義)
第二条  この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
一  特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号 に規定する電気通信をいう。以下この号において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
二  特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号 に規定する電気通信設備をいう。)をいう。
三  特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し,その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。
四  発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し,又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。

(損害賠償責任の制限)
第三条  特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは,当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は,これによって生じた損害については,権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって,次の各号のいずれかに該当するときでなければ,賠償の責めに任じない。ただし,当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は,この限りでない。
一  当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
二  当該関係役務提供者が,当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって,当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
2  特定電気通信役務提供者は,特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において,当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については,当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって,次の各号のいずれかに該当するときは,賠償の責めに任じない。
一  当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
二  特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から,当該権利を侵害したとする情報(以下「侵害情報」という。),侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に,当該特定電気通信役務提供者が,当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において,当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

(発信者情報の開示請求等)
第四条  特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は,次の各号のいずれにも該当するときに限り,当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し,当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名,住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
一  侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二  当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
2  開示関係役務提供者は,前項の規定による開示の請求を受けたときは,当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き,開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない。
3  第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は,当該発信者情報をみだりに用いて,不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。
4  開示関係役務提供者は,第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については,故意又は重大な過失がある場合でなければ,賠償の責めに任じない。ただし,当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は,この限りでない。

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皇室典範改正の成り行きについて

2006-01-26 08:31:37 | Weblog
皇室典範改正「予断許さず」・自民国対委員長 NIKKEI NET

皇室典範:改正反対の慎重派議員,超党派議連を創設へ MSN毎日インタラクティブ

 昨年11月,三笠宮寛仁親王が,プライベートな会報で女性天皇容認に疑問を呈されたとき,「憲法違反ではない」と擁護していた小泉首相。
今になって後悔,ということはないと思うが,一連の寛仁親王のご発言,女性・女系天皇容認に係る皇室典範改正に慎重な国会議員を勢いづかせる結果となった。

皇室典範改正の成り行きは,もちろん,重要。しかし,不都合な発言の封じ込めを意図した「皇族の表現の自由の如何」といった,おかしな飛び火の仕方をしないか,ちょっと心配である。

首相官邸HP 皇室典範に関する有識者会議 報告書


日本国憲法の関連条文

第一条  天皇は,日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて,この地位は,主権の存する日本国民の総意に基く。

第十四条  すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。
2  華族その他の貴族の制度は,これを認めない。
3  栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない。栄典の授与は,現にこれを有し,又は将来これを受ける者の一代に限り,その効力を有する。

第二十一条  集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2  検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。

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