法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

会社法施行に係る会社役員の賠償責任保険について

2006-05-01 18:58:38 | Weblog
日本興亜損保HP 新会社法と社会的環境変化に対応して 「新D&O(会社役員賠償責任)保険」を新発売!

 新たな会社法ビジネスか。
ところで,通常,この種の商品の保険料,誰が支払っているのだろう。仮に,会社役員の損害賠償責任リスクをカバーするために,会社が保険料を支払っているのだとすれば,おかしな話しである。取締役のための保険料の支払いなど,合理的な説明は困難のように思われる(会社法第356条第1項第3号参照)。
提訴請求の調査や不提訴理由の通知は会社の義務だから,この費用を保険でカバー,というのは理解の範囲だが・・・。


会社法の関連条文

(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。
一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役
二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役
三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(委員会設置会社においては、当該取引が委員会設置会社と取締役との間の取引又は委員会設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)

(責任追及等の訴え)
第八百四十七条 六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。以下この条において同じ。)若しくは清算人の責任を追及する訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
2 公開会社でない株式会社における前項の規定の適用については、同項中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」とあるのは、「株主」とする。
3 株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
4 株式会社は、第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しない場合において、当該請求をした株主又は同項の発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等若しくは清算人から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及等の訴えを提起しない理由を書面その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
5 第一項及び第三項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第一項の株主は、株式会社のために、直ちに責任追及等の訴えを提起することができる。ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
6 第三項又は前項の責任追及等の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。
7 株主が責任追及等の訴えを提起したときは、裁判所は、被告の申立てにより、当該株主に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。
8 被告が前項の申立てをするには、責任追及等の訴えの提起が悪意によるものであることを疎明しなければならない。

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印紙税額の一覧表について

2006-05-01 18:18:07 | Weblog
国税庁HP 印紙税額の一覧表(平成18年5月1日以降適用分)

 国税庁のHPに,本日以降の適用分として,新たな印紙税額の一覧表が掲載されている。適宜参照したい。
番号6の「定款」の欄を見ると,確かに,「合同会社」が含まれている。合同会社の定款は,公証人の認証を受ける必要はないが,課税文書である。


印紙税の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,印紙税の課税物件,納税義務者,課税標準,税率,納付及び申告の手続その他印紙税の納税義務の履行について必要な事項を定めるものとする。

(課税物件)
第二条  別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には,この法律により,印紙税を課する。

(課税文書の作成とみなす場合等)
第四条  別表第一第三号に掲げる約束手形又は為替手形で手形金額の記載のないものにつき手形金額の補充がされた場合には,当該補充をした者が,当該補充をした時に,同号に掲げる約束手形又は為替手形を作成したものとみなす。
2  別表第一第十八号から第二十号までの課税文書を一年以上にわたり継続して使用する場合には,当該課税文書を作成した日から一年を経過した日以後最初の付込みをした時に,当該課税文書を新たに作成したものとみなす。
3  一の文書(別表第一第三号から第六号まで,第九号及び第十八号から第二十号までに掲げる文書を除く。)に,同表第一号から第十七号までの課税文書(同表第三号から第六号まで及び第九号の課税文書を除く。)により証されるべき事項の追記をした場合又は同表第十八号若しくは第十九号の課税文書として使用するための付込みをした場合には,当該追記又は付込みをした者が,当該追記又は付込みをした時に,当該追記又は付込みに係る事項を記載した課税文書を新たに作成したものとみなす。
4  別表第一第十九号又は第二十号の課税文書(以下この項において「通帳等」という。)に次の各号に掲げる事項の付込みがされた場合において,当該付込みがされた事項に係る記載金額(同表の課税物件表の適用に関する通則4に規定する記載金額をいう。第九条第三項において同じ。)が当該各号に掲げる金額であるときは,当該付込みがされた事項に係る部分については,当該通帳等への付込みがなく,当該各号に規定する課税文書の作成があつたものとみなす。
一  別表第一第一号の課税文書により証されるべき事項 十万円を超える金額
二  別表第一第二号の課税文書により証されるべき事項 百万円を超える金額
三  別表第一第十七号の課税文書(物件名の欄1に掲げる受取書に限る。)により証されるべき事項 百万円を超える金額
5  次条第二号に規定する者(以下この条において「国等」という。)と国等以外の者とが共同して作成した文書については,国等又は公証人法 (明治四十一年法律第五十三号)に規定する公証人が保存するものは国等以外の者が作成したものとみなし,国等以外の者(公証人を除く。)が保存するものは国等が作成したものとみなす。
6  前項の規定は,次条第三号に規定する者とその他の者(国等を除く。)とが共同して作成した文書で同号に規定するものについて準用する。

(非課税文書)
第五条  別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち,次に掲げるものには,印紙税を課さない。
一  別表第一の非課税物件の欄に掲げる文書
二  国,地方公共団体又は別表第二に掲げる者が作成した文書
三  別表第三の上欄に掲げる文書で,同表の下欄に掲げる者が作成したもの

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相互保有株主の判断時点について

2006-05-01 17:37:21 | Weblog
 会社法の法務省令については,3月29日,4月14日と,2度にわたる改正がおこなわれている。バグの修正もあったようだが,重要なものとして「相互保有株主の判断時点の明確化」が含まれていた。
葉玉氏の言に拠るなら,「スムーズな会社法施行のために明確化した方がよいと思われること」に該当するのであろう。

具体的に言えば,相互保有株主の判断時点は,原則,株主総会の日としつつ(会社法施行規則第67条第2項),基準日を設けた場合は,一定の要件の下,例外を認める(同条第3項・第4項),という条文構造に改正されている。なお,附則第2条第6項に経過措置が設けられている。

旧法化 (^^ゞ では明文の規定がなく,解釈に委ねられていた部分。注意したい。


会社法施行規則の関連

(実質的に支配することが可能となる関係)
第67条 法第308条第1項に規定する法務省令で定める株主は,株式会社(当該株式会社の子会社を含む。)が,当該株式会社の株主である会社等の議決権(同項その他これに準ずる法以外の法令(外国の法令を含む。)の規定により行使することができないとされる議決権を含み,役員等(会計監査人を除く。)の選任及び定款の変更に関する議案(これらの議案に相当するものを含む。)の全部につき株主総会(これに相当するものを含む。)において議決権を行使することができない株式(これに相当するものを含む。)に係る議決権を除く。以下この条において「相互保有対象議決権」という。)の総数の4分の1以上を有する場合における当該株主であるもの(当該株主であるもの以外の者が当該株式会社の株主総会の議案につき議決権を行使することができない場合(当該議案を決議する場合に限る。)における当該株主を除く。)とする。
2 前項の場合には,株式会社及びその子会社の有する相互保有対象議決権の数並びに相互保有対象議決権の総数(以下この条において「対象議決権数」という。)は,当該株式会社の株主総会の日における対象議決権数とする。
3 前項の規定にかかわらず,特定基準日(当該株主総会において議決権を行使することができる者を定めるための法第124条第1項に規定する基準日をいう。以下この条において同じ。)を定めた場合には,対象議決権数は,当該特定基準日における対象議決権数とする。ただし,次の各号に掲げる場合には,当該各号に定める日における対象議決権数とする。
一 特定基準日後に当該株式会社又はその子会社が株式交換,株式移転その他の行為により相互保有対象議決権の全部を取得した場合 当該行為の効力が生じた日
二 対象議決権数の増加又は減少が生じた場合(前号に掲げる場合を除く。)において,当該増加又は減少により第1項の株主であるものが有する当該株式会社の株式につき議決権を行使できることとなること又は議決権を行使できないこととなることを特定基準日から当該株主総会についての法第298条第1項各号に掲げる事項の全部を決定した日(株式会社が当該日後の日を定めた場合にあっては,その日)までの間に当該株式会社が知ったとき 当該株式会社が知った日
4 前項第2号の規定にかかわらず,当該株式会社は,当該株主総会についての法第298条第1項各号に掲げる事項の全部を決定した日(株式会社が当該日後の日を定めた場合にあっては,その日)から当該株主総会の日までの間に生じた事項(当該株式会社が前項第2号の増加又は減少の事実を知ったことを含む。)を勘案して,対象議決権数を算定することができる。

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