法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

虐待が疑われる際の通告義務について

2006-05-30 19:12:01 | Weblog
asahi.com 児童虐待の通告義務「先生の3割知らなかった」

 児童虐待防止法第5条第1項では,学校の教職員は,児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し,児童虐待の早期発見に努めなければならない,とされている。
同第6条第3項もある。疑わしい場合は,臆せず通告しなければならない。手遅れになっては何にもならないのだから。

いずれにしても,「何人も,児童に対し,虐待をしてはならない。」(同第3条)。
でも,こんな当たり前のことを法律でうたわなければならないなんて,悲しいし,恥ずべきことだ。早く,「こんな法律,もう必要ない」と言えるような社会にしなければならない。


日本国憲法の関連条文

第十三条  すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。

「児童虐待の防止等に関する法律」の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,児童虐待が児童の人権を著しく侵害し,その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに,我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ,児童に対する虐待の禁止,児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務,児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置等を定めることにより,児童虐待の防止等に関する施策を促進することを目的とする。

(児童虐待の定義)
第二条  この法律において,「児童虐待」とは,保護者(親権を行う者,未成年後見人その他の者で,児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。
一  児童の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること。
二  児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
三  児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置,保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四  児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応,児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

(児童に対する虐待の禁止)
第三条  何人も,児童に対し,虐待をしてはならない。

(国及び地方公共団体の責務等)
第四条  国及び地方公共団体は,児童虐待の予防及び早期発見,迅速かつ適切な児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援(児童虐待を受けた後十八歳となった者に対する自立の支援を含む。第三項及び次条第二項において同じ。)並びに児童虐待を行った保護者に対する親子の再統合の促進への配慮その他の児童虐待を受けた児童が良好な家庭的環境で生活するために必要な配慮をした適切な指導及び支援を行うため,関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化,民間団体の支援その他児童虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めなければならない。
2  国及び地方公共団体は,児童相談所等関係機関の職員及び学校の教職員,児童福祉施設の職員,医師,保健師,弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者が児童虐待を早期に発見し,その他児童虐待の防止に寄与することができるよう,研修等必要な措置を講ずるものとする。
3  国及び地方公共団体は,児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるよう,児童相談所等関係機関の職員,学校の教職員,児童福祉施設の職員その他児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援の職務に携わる者の人材の確保及び資質の向上を図るため,研修等必要な措置を講ずるものとする。
4  国及び地方公共団体は,児童虐待の防止に資するため,児童の人権,児童虐待が児童に及ぼす影響,児童虐待に係る通告義務等について必要な広報その他の啓発活動に努めなければならない。
5  国及び地方公共団体は,児童虐待の予防及び早期発見のための方策,児童虐待を受けた児童のケア並びに児童虐待を行った保護者の指導及び支援のあり方,学校の教職員及び児童福祉施設の職員が児童虐待の防止に果たすべき役割その他児童虐待の防止等のために必要な事項についての調査研究及び検証を行うものとする。
6  何人も,児童の健全な成長のために,良好な家庭的環境及び近隣社会の連帯が求められていることに留意しなければならない。

(児童虐待の早期発見等)
第五条  学校,児童福祉施設,病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員,児童福祉施設の職員,医師,保健師,弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は,児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し,児童虐待の早期発見に努めなければならない。
2  前項に規定する者は,児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する国及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならない。
3  学校及び児童福祉施設は,児童及び保護者に対して,児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。

(児童虐待に係る通告)
第六条  児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は,速やかに,これを市町村,都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村,都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
2  前項の規定による通告は,児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第二十五条 の規定による通告とみなして,同法 の規定を適用する。
3  刑法 (明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は,第一項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

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類似商品による売り上げ減少について

2006-05-30 18:34:04 | Weblog
売り上げ減った!「小樽ビール」が「小樽麦酒」訴える YOMIURI ONLINE

 「小樽ビール」と「小樽麦酒(ばくしゅ)」。字面は違っても,観念上の同一性は明らか。周知性・著名性の如何については,道民ではないので何とも・・・。
なお,損害賠償請求には侵害者の主観的要件として故意・過失が必要だが,販売差止請求には不要である(不正競争防止法第3条,同第4条参照)。

わざわざ「ばくしゅ」と読ませるあたり,ちょっと怪しい。冗談である ^^; 。


不正競争防止法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため,不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ,もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「不正競争」とは,次に掲げるものをいう。
一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し,又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,若しくは電気通信回線を通じて提供して,他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二  自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し,又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
三  他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し,貸し渡し,譲渡若しくは貸渡しのために展示し,輸出し,又は輸入する行為
四  窃取,詐欺,強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し,若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)
五  その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って,若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し,又はその取得した営業秘密を使用し,若しくは開示する行為
六  その取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って,又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し,又は開示する行為
七  営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において,不正の競業その他の不正の利益を得る目的で,又はその保有者に損害を加える目的で,その営業秘密を使用し,又は開示する行為
八  その営業秘密について不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って,若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し,又はその取得した営業秘密を使用し,若しくは開示する行為
九  その取得した後にその営業秘密について不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って,又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し,又は開示する行為
十  営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,若しくは輸入し,又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為
十一  他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,若しくは輸入し,又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為
十二  不正の利益を得る目的で,又は他人に損害を加える目的で,他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名,商号,商標,標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し,若しくは保有し,又はそのドメイン名を使用する行為
十三  商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地,品質,内容,製造方法,用途若しくは数量若しくはその役務の質,内容,用途若しくは数量について誤認させるような表示をし,又はその表示をした商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,若しくは電気通信回線を通じて提供し,若しくはその表示をして役務を提供する行為
十四  競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する行為
十五  パリ条約(商標法 (昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号 に規定するパリ条約をいう。)の同盟国,世界貿易機関の加盟国又は商標法 条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が,正当な理由がないのに,その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し,又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,若しくは電気通信回線を通じて提供し,若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為
2  この法律において「商標」とは,商標法第二条第一項 に規定する商標をいう。
3  この法律において「標章」とは,商標法第二条第一項 に規定する標章をいう。
4  この法律において「商品の形態」とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう。
5  この法律において「模倣する」とは,他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
6  この法律において「営業秘密」とは,秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないものをいう。
7  この法律において「技術的制限手段」とは,電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録を制限する手段であって,視聴等機器(影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像,音若しくはプログラムの記録のために用いられる機器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像,音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し,若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像,音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し,若しくは送信する方式によるものをいう。
8  この法律において「プログラム」とは,電子計算機に対する指令であって,一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。
9  この法律において「ドメイン名」とは,インターネットにおいて,個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号,記号又は文字の組合せに対応する文字,番号,記号その他の符号又はこれらの結合をいう。
10  この法律にいう「物」には,プログラムを含むものとする。

(差止請求権)
第三条  不正競争によって営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者は,その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2  不正競争によって営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者は,前項の規定による請求をするに際し,侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄,侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

(損害賠償)
第四条  故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし,第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については,この限りでない。

(損害の額の推定等)
第五条  第二条第一項第一号から第九号まで又は第十五号に掲げる不正競争(同項第四号から第九号までに掲げるものにあっては,技術上の秘密(秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないものをいう。)に関するものに限る。)によって営業上の利益を侵害された者(以下この項において「被侵害者」という。)が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは,その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に,被侵害者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を,被侵害者の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において,被侵害者が受けた損害の額とすることができる。ただし,譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を被侵害者が販売することができないとする事情があるときは,当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2  不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において,その者がその侵害の行為により利益を受けているときは,その利益の額は,その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する。
3  第二条第一項第一号から第九号まで,第十二号又は第十五号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者は,故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対し,次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を,自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
一  第二条第一項第一号又は第二号に掲げる不正競争 当該侵害に係る商品等表示の使用
二  第二条第一項第三号に掲げる不正競争 当該侵害に係る商品の形態の使用
三  第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争 当該侵害に係る営業秘密の使用
四  第二条第一項第十二号に掲げる不正競争 当該侵害に係るドメイン名の使用
五  第二条第一項第十五号に掲げる不正競争 当該侵害に係る商標の使用
4  前項の規定は,同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において,その営業上の利益を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは,裁判所は,損害の賠償の額を定めるについて,これを参酌することができる。

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