法律の周辺

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中央青山監査法人に対する業務停止命令について

2006-05-11 16:08:07 | Weblog
監査先企業2300社が対象,中央青山に業務停止命令 NIKKEI NET

 記事には,「金融庁は10日,中央青山監査法人に対し,上場企業など「法定監査」先約2300社(1月時点)の監査業務を,7月1日から2カ月間やめさせる一部業務停止命令を出した。」とある。
ということは,中央青山監査法人は7月1日をもって会計監査人の欠格事由に該当(会社法第337条第3項第1号),同日付けをもって,2300社の会計監査人を退任,ということであろう。処分終了後,再契約する企業はどの程度だろう・・・。

 旧商法特例法第4条第2項第3号は,監査法人が業務の一部の停止処分を受けた場合でも欠格事由に該当するとしていた。しかし,この点については,大規模監査法人の出現等の現状に照らせば不合理との指摘があった。
この点,会社法は,商法特例法の実質を維持しつつ,欠格事由を「公認会計士法の規定により,第四百三十五条第二項に規定する計算書類について監査をすることができない者」とあらためている。


会社法の関連条文

(会計監査人の資格等)
第三百三十七条 会計監査人は,公認会計士又は監査法人でなければならない。
2 会計監査人に選任された監査法人は,その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定し,これを株式会社に通知しなければならない。この場合においては,次項第二号に掲げる者を選定することはできない。
3 次に掲げる者は,会計監査人となることができない。
一 公認会計士法の規定により,第四百三十五条第二項に規定する計算書類について監査をすることができない者
二 株式会社の子会社若しくはその取締役,会計参与,監査役若しくは執行役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者
三 監査法人でその社員の半数以上が前号に掲げる者であるもの

(役員等に欠員を生じた場合の措置)
第三百四十六条 役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には,任期の満了又は辞任により退任した役員は,新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで,なお役員としての権利義務を有する。
2 前項に規定する場合において,裁判所は,必要があると認めるときは,利害関係人の申立てにより,一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
3 裁判所は,前項の一時役員の職務を行うべき者を選任した場合には,株式会社がその者に対して支払う報酬の額を定めることができる。
4 会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において,遅滞なく会計監査人が選任されないときは,監査役は,一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
5 第三百三十七条及び第三百四十条の規定は,前項の一時会計監査人の職務を行うべき者について準用する。
6 監査役会設置会社における第四項の規定の適用については,同項中「監査役」とあるのは,「監査役会」とする。
7 委員会設置会社における第四項の規定の適用については,同項中「監査役」とあるのは,「監査委員会」とする。

公認会計士法の関連条文

(虚偽又は不当の証明についての懲戒)
第三十条  公認会計士が,故意に,虚偽,錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽,錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には,内閣総理大臣は,二年以内の業務の停止又は登録の抹消の処分をすることができる。
2  公認会計士が,相当の注意を怠り,重大な虚偽,錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽,錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合には,内閣総理大臣は,戒告又は二年以内の業務の停止の処分をすることができる。
3  監査法人が虚偽,錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽,錯誤及び脱漏のないものとして証明した場合において,当該証明に係る業務を執行した社員である公認会計士に故意又は相当の注意を怠つた事実があるときは,当該公認会計士について前二項の規定を準用する。

(一般の懲戒)
第三十一条  公認会計士がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき,又は第三十四条の二の規定による指示に従わないときは,内閣総理大臣は,第二十九条各号に掲げる懲戒の処分をすることができる。

(虚偽又は不当の証明等についての処分等)
第三十四条の二十一  内閣総理大臣は,監査法人がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき,又は監査法人の行う第二条第一項の業務の運営が著しく不当と認められる場合において,同項の業務の適正な運営を確保するために必要であると認めるときは,当該監査法人に対し,必要な指示をすることができる。
2  内閣総理大臣は,監査法人が次の各号のいずれかに該当するときは,その監査法人に対し,戒告し,若しくは二年以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ,又は解散を命ずることができる。
一  社員の故意により,虚偽,錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽,錯誤及び脱漏のないものとして証明したとき。
二  社員が相当の注意を怠つたことにより,重大な虚偽,錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽,錯誤及び脱漏のないものとして証明したとき。
三  この法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し,又は運営が著しく不当と認められるとき。
四  前項の規定による指示に従わないとき。
3  第三十二条から第三十四条までの規定は,前項の処分について準用する。
4  第二項の規定による処分の手続に付された監査法人は,清算が結了した後においても,この条の規定の適用については,当該手続が結了するまで,なお存続するものとみなす。
5  第二項の規定は,同項の規定により監査法人を処分する場合において,当該監査法人の社員につき第三十条又は第三十一条に該当する事実があるときは,その社員である公認会計士に対し,懲戒の処分を併せて行うことを妨げるものと解してはならない。

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