法律の周辺

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法人処罰体系の抜本的見直しについて

2006-05-16 10:25:24 | Weblog
「法人処罰体系の抜本的見直し必要」松尾検事総長が指摘 NIKKEI NET

 かつて,国会の証人喚問で,「組織ぐるみか?」と問われ,「個人ぐるみです」と答えた大企業のトップがいたっけ。

 松尾検事総長の話しは,法人処罰に係る抜本的な見直しを言うものだが,平成3年12月2日の法制審議会刑事法部会においても,法人責任と行為者責任の切り離しが了承されており,既に,独禁法など,法人を特に重く処罰する立法がおこなわれている。
法人の犯罪能力否定説が補強の論拠として言う「使用人ないし機関たる自然人を処罰すれば足りる」は,過去のものになりつつあるようだ。


刑法の関連条文

(他の法令の罪に対する適用)
第八条  この編の規定は,他の法令の罪についても,適用する。ただし,その法令に特別の規定があるときは,この限りでない。

「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」の関連条文

第九十五条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務又は財産に関して,次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても,当該各号に定める罰金刑を科する。
一  第八十九条 五億円以下の罰金刑
二  第九十条第三号(第七条第一項又は第八条の二第一項若しくは第三項の規定による命令(第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為の差止めを命ずる部分に限る。)に違反した場合を除く。) 三億円以下の罰金刑
三  第九十条第一号,第二号若しくは第三号(第七条第一項又は第八条の二第一項若しくは第三項の規定による命令(第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為の差止めを命ずる部分に限る。)に違反した場合に限る。),第九十一条(第三号を除く。),第九十一条の二又は第九十四条 各本条の罰金刑
2  法人でない団体の代表者,管理人,代理人,使用人その他の従業者がその団体の業務又は財産に関して,次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その団体に対しても,当該各号に定める罰金刑を科する。
一  第八十九条 五億円以下の罰金刑
二  第九十条第三号(第七条第一項又は第八条の二第一項若しくは第三項の規定による命令(第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為の差止めを命ずる部分に限る。)に違反した場合を除く。) 三億円以下の罰金刑
三  第九十条第一号,第二号若しくは第三号(第七条第一項又は第八条の二第一項若しくは第三項の規定による命令(第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為の差止めを命ずる部分に限る。)に違反した場合に限る。),第九十一条第四号若しくは第五号(第四号に係る部分に限る。),第九十一条の二第一号又は第九十四条 各本条の罰金刑
3  前項の場合においては,代表者又は管理人が,その訴訟行為につきその団体を代表するほか,法人を被告人又は被疑者とする場合の訴訟行為に関する刑事訴訟法 の規定を準用する。

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