法律の周辺

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引きこもり者更生支援施設の代表理事らの逮捕について

2006-05-08 20:20:06 | Weblog
代表理事ら7人逮捕…更生施設の入寮男性死亡 YOMIURI ONLINE

 死亡した男性には家庭内暴力があったとのことだが,親の要請だけで,逮捕・監禁行為の違法性が阻却されるとは思えない。
施設側の「暴れ方が尋常でなく,手がつけられない状態だった。ほかの入寮者に危害が及ぶ恐れがあり,やむを得ない措置だった」は,おそらく,正当防衛を言うのであろう。
しかし,防衛行為が違法な逮捕・監禁行為に端を発したものであれば,「当該防衛行為は社会的相当性を欠く」との非難は免れないように思われる。

事と次第によっては,親にも逮捕監禁罪の教唆等の成立,考えられないではない。もっとも,家庭内暴力の有無・程度は,起訴裁量の内の考慮事項にはなろう。


刑法の関連条文

(正当防衛)
第三十六条  急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。
2  防衛の程度を超えた行為は,情状により,その刑を減軽し,又は免除することができる。

(逮捕及び監禁)
第二百二十条  不法に人を逮捕し,又は監禁した者は,三月以上七年以下の懲役に処する。

(逮捕等致死傷)
第二百二十一条  前条の罪を犯し,よって人を死傷させた者は,傷害の罪と比較して,重い刑により処断する。

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