老後の練習

しのび寄るコドクな老後。オヂサンのひとり遊び。

『Winter's Bone』

2010-12-06 20:18:52 | 映画


ハノイの街はどこもかしこもクリスマスの飾り付けが始まっている。ニッポンと同じように90%以上は仏教徒だから宗教的な意味合いはほとんどなく、単に年末のオマツリとして経済的にも盛り上げていこう、みたいなところ。まあ、しょうがない。

土曜の夜にそういうウスら賑やかな街に出て久々に映画を見た。週末のココロ休まるひと時にふさわしい、ド暗い映画。今年のSundance映画祭、審査員グランプリ受賞作だってさ。あらかじめ話のスジは読んでいったもののアメリカ人の田舎英語の発音がいいかげん過ぎて30%くらいしか理解できなかった。で、ソノ中身は。。

若い女が小さな弟と妹と山奥の小屋のようなところで暮らしている。父親は死んだのかどうか、行方不明で、母親は別のオトコと住んでいる。たぶん。生活は貧しく鳥を鉄砲で撃ったり、朝はジャガイモだけだったり。若い女は最後の頃になってやっと17歳だということが分かる。けっこうフケて見える。
小さな弟たちは父親に会いたがっているが若い女はそんなこと言ったらメシ抜きだぞ、みたいに言う。途中のなんか複雑なニンゲン関係がまったく理解できなかったが、だんだん若い女が父親探しをするようになる。と思ったのもつかの間、母親?の新しいオトコ?が怪しげな一派を率いていて、その集団につかまってコテンパンにやられる。たぶん父親を探してはいけないってコト。

ところがそれでもコリずにそういうアブないところに突っ込んでいく若い女。そうこうしているうちに母親と微かな和解の芽が生まれ始めて、、このへんは雰囲気でよくわかったのだが、その母親が娘=若い女を父親のところに連れていくと言う。骨を拾いに行こうって言って。タイトルにからむ場面。
夜中に懐中電灯を持って行ったのは沼みたいなところ。ボートが怪しげな場所に止まったかと思ったら、その水の中に手を突っ込んでみろと母親はいう。ととととと、、、。

あとは猟奇映画も真っツ青なチェーンソーのシーンで、指紋鑑定かなんかするのか、左じゃなくて右よ、みたいなブラックな場面もあって、ソノ切り取ったモノをコンビニの袋に入れて警察に持って行って、その結果がどうだったのかはよくわからない。
最後はその若い女に最初は敵対的だった、マヤク中毒の、父親の兄弟?=オヂサンってことかどうかわからないが、そのオヂサンともココロがつながって、オヂサンがバンジョーを軽く弾きならして静かな風のなかを帰っていく。で、そのバンジョーを小さな妹が手に抱えてボロンっと鳴らしたところでいろいろ暗示的におしまい。

ま、なかなかいい映画デス。鳥の羽をむしって内臓をつまみだすあたりは見れたがチェーンソーのところは目をつぶりマシた。そういう、一皮むくととんでもなくアヤしい世界がある、ということを見せつつ、アメリカの山奥の貧しい生活の中で、若い女とその弟妹がたくましく成長していきマシた、みたいな比較的健全な内容でシタね。

監督はDebra Granik、若い女役はJennifer Lawrence。
今月はアメリカ・インディペンデント特集なのでまた行くかも。Hanoi Cinematheque。