老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

ダム湖を訪ねる

2015-10-06 00:14:53 | 俳句
       猿の腰掛ひなが谺と話をり   葉

       猿の腰掛ときをり名知らぬ鳥が来る   葉

       猿の腰掛コロボックルが座りをる   葉

       猿の腰掛空の哀しみ食ひ太る   葉
              


しばらくダム湖に行ってなかった。お天気も良いことだし、野良犬のことも気になっていたので秋を拾いに行く。



ダム湖を一巡すると一万歩で一時間かかる。一日の散歩のノルマを果たすことになる。
なぜか、今日はいつもいる釣人がいない。
バーベキューができる広場に一組の家族がいる。邪魔をしないよ、見てみぬふりをして通ろうとすると、2~3年生くらいの女の子が走って来て「あの~犬がいるんよ」と言う。
見るとバーベキューをしている場所から10メートル程離れた所に痩せた野良犬が、寝転んでいる。
私が「ワンコちゃん」「ワンコちゃん」と声をかけると、逃げ出そうとした。
今日のダム湖の散歩の目的のひとつに、野良犬に逢ったら、餌をやりたいと思っていた。
食パンを二斤、パン屋で買って持って来ていた。
粒状の犬の餌は、もし犬に逢えなかった場合、土の上に直接、ばらまけない。雨がふれば、溶けしまうし、カラスに食べられるし、どうなるかわからないからパンにした。
「おばちゃん、猿もおるんよ」と女の子が言う。
パンをちぎって、撒いていると犬がこわごわ近づいてきた。
2才にはなるだろうと思うが痩せている。しかし、知恵が付いているのか、バーベキュが終わると余った食べ物に、ありつけるかもと、ここら辺りでうろうろとしているのだろう。
女の子が二人だったから、パンを一枚づつ渡し、「いじめないでね」と言って、そこは去った。



紫陽花が、色は褪せているが、咲いている。山萩はもう散りかけていた。
桜の葉は色づき始めている。芝生の上の濃い影を落とし、美しかったから思わずシャターを押した。
この辺に、いつも4~5匹の犬がかたまっている。今日はいないので、御犬さま、どこかへ出頭でもしているのかなと思いつつ、歩いていると、橋の辺で、犬の姿が見える。
「来い、来い」と言っても、以前の犬と顔ぶれが違う。寄って来ない。適当に距離をあけて、パンをちぎって置いてやる。一ケ所に置くと、力の強い犬がどうしても、早く食べてしまう。
餌を置いて、立去ってやる。20メートル程歩いてから、振り返ると、そろそろと餌に近づいて食べているのが見える。安心。
一日でも長く生き延びて欲しい。


        湖からの風に山萩ゆれどほし

        木の実降る森を猿の渡る声

        水澄むやどくどく流る血の音す








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