弘前市民会館も前川作品の1つである。
前川氏得意のコンクリート打ち放しの面が綺麗だ。
現在使われているパネルとは違い、一昔前に行っていた板材で作ったパネルである。私の最初のアルバイトが、このパネル洗いだった。パネルに着いたコンクリートの屑を水洗いしながら削げ落とし、乾いたらコンクリート面がうまく剥がれるように、クレオソートを塗った。一日行うと、筋肉痛とクレオソートの匂いでヘロヘロになった。
植栽の刈り方が面白い。まるで模型を造る時の針金を使った樹木のようだ。H先生は、こんな刈り方もあるんだと仰る。
説明を行ってくれた前川事務所の方は、自分の知り得る情報をどんどん提供してくれる。言わば大学の教授のようである。「何故コンクリ-ト造は60年しか保たないと言われているのか、もっと保たせるには鉄筋の酸化を防止する為に、中性になったコンクリートをアルカリ性に戻してやれば良い。」と、何工程にも及ぶコンクリートアルカリ計画をとうとうと述べた。確かに有り難い話ではあるが、 暑い。説明が長い。
前川氏得意の2つの建物を繋ぐ渡り廊下。この奥が大劇場である。
弘前市は、この建物も改修を行った。
レストランなどが入っている施設。
中央の吹き抜け
天井は天体を模しているのだと言う。
ソファの色。
渡り廊下から見た外部階段。
大劇場棟を見る。渡り廊下は、外部を建具で塞ぐことが出来る。ここも、弘前城跡の小高い丘に建っており、冬期間の風から客を守ることが出来る。
階段は、渡り廊下の屋上へ。
耐震診断で、建物その物は壁構造のような躯体部分が多く安全だったが、唯一煙突が引っかかった。そのため上部2層を解体し、もう一度造り直したそうだ。ジョイントの下と上で、コンクリートの色が違っているのが判るだろうか。最も、下部のコンクリートからは、白い劣化の流れが見えるが。
実は、公園内を歩いた折に、あまりの暑さにここでアイスコーヒーを飲んだ。正面は大劇場の2階の出入り口。舞台が退けると、屋内の階段からと、ここから客は退出、混雑を緩和できる。
大劇場のホワイエ。
劇場の入り口の多くは、2階から。
これは渡り廊下側。
卵形の折り上げ天井。照明器具が入って、綺麗だった。
渡り廊下側を見る。
せっかくの階段の空間なのに、荷物がどっさりと詰まっている。大建築家は、収納などと言うチンケな物は考えない。
吹き抜け部分を見る。
2階のホワイエ
「ほら、あんな所に雨樋が。」と 、H先生の指摘。
こちらにも
津軽塗のドアハンドルである。1品1品、作者が違うらしい。
劇場内。幕は、青森が産んだ天才版画家棟方志功の作品。
あまりに大きいので、織機に入れられずに、タテヨコ反対にして織ったそうだ。最初の幕は汚れが酷く、ボロになったので、これは2作目らしい。
反射坂は、積層材を曲げたもの。
コントロール室なのか、特別室なのか。
中央通路
左右の階段が斜めに段が着いている。
舞台に上がる。
サイドの器具室、物がすぐに使えるように、きちんと整理されていた。どっかの事務所とは大違い。
照明と幕。
非番にも関わらず、我々の見学会の為に、機材の操作をしてくれた2人。(我々が入った後、玄関に鍵を掛けているのを発見。一般が入らないようにしている。)
オーケストラピット。ここの椅子の移動は人力で、なかなか大変らしい。しかもオーケストラの公演は、随分と行うらしい。
奈落への階段と思われる。
やっぱりそうだった。両開きにするのか。これは使えそうだ。
奈落での説明。公園内で堀がある為か、地下水が高いらしい。奈落を造った時に、地下水がわき出して水浸しになった。それを防ぐピットが設けられ、ポンプアップしていると言う。現在話題の東京の豊洲とかぶる。
車椅子でも使える座席。
パコンと折りたためる。最近の車椅子用の座席は、少し広めの何もない空間が多いのだが。
楽屋。この設備は古いタイプだと思う。最近は個室が多いのだが。
綺麗に見える鏡の照明
楽屋へ入る階段。ちょっと目には客から見えなくなっているのが面白い。 一度階段を下りねばならないが、正面にはエレベータも着いている。
大道具の搬入路を見落としてしまった。