今年の酒田みちみらい女性の会の現場見学会は、工事現場ではなく国道47号線の現状と北楯大堰、酒田北港のサミット酒田パワー(株)を関連づけて巡る見学会だった。
酒田市上安町にある酒田河川国道事務所を午後1時半に出発して、飽海出張所に向かうと言う。さて、飽海出張所とは何処だろうとしばらく考えたが、着いても判らなかった。庄内町の清川から最上川沿いを遡った、所謂最上川さみだれ大堰を渡った先だった。ここならラバーダムを見るとて来たことがあった。あれ?ここは庄内町で東田川郡にあたるのではないかと思った時に、所長さんが「ここは酒田市です。あの橋は出来た後に酒田市道になっていて、おかげで除雪も酒田市でやって貰えてます。」と説明してくれた。
最上川のこちら側には民家もあって、以前は川の下流の方から細い道で、それ以前は渡し船で対岸から渡って暮らしていたと言う。橋が出来た為に随分と楽になったのが現状である。そうか、ここは酒田市だったのかと、ならば飽海出張所と呼ばれるわけである。
せっかくの見学会は、雨だった。外に出ないで出張所の庁舎の3階から国道47号線を眺める。丁度雨が降っている為に、網の目のように補強された山壁に2本の小さな滝が出来ているのが見えないだろうか。
この山は、地盤も弱く、従って法面が補強されているのだが、2箇所に沢が流れていて、土砂崩れや積雪、雨水の通り道になっている。それを予防する為にスノーシェッドは欠かせない。方角的にも山の北側に位置している為に寒く、冬期間の凍結による交通事故の発生も多い。
スノーシェッドから外れた、少し下流にも、土砂崩れの跡が法面に残されている。これも豪雨の時に崩れた。ご存じ国道47号線は、大雨になると通行止めになる。この土砂崩れの時にも都合良く(?)通行規制が敷かれ、運良く事故は無かった。しかも国道から最上川まで五月雨大橋を渡る道路が出来ていて、敷地が広かった為に、土砂崩れの復旧も敷地を道路にして迂回することが出来た。
こんな不安定な国道47号線も、山形県にとって大事な道路となる。カーブも多く、冬期間の凍結、道路の狭さに加え、交通量が多く、通行止めになると迂回がとても大変になる。私達が望む「酒田-石巻」の高規格道路の完成を、一日も早く実現出来ればと願っている。
次は、噂に聞いていた北楯大堰に移動した。この大堰は約400年前に出来た灌漑の為の人口の堰である。最上川沿いは山と最上川に挟まれた土地が少ない為に、大堰とIR陸羽西線と国道47号線が肩を並べて通っている。
車から降りると、やっぱり雨だった。風もある。
かなり古く、よく読めない碑。この北楯大堰は、2018年8月13日にカナダで開催されたICID国際執行理事会において、世界かんがい施設遺産に登録された。世界77カ国が加盟しており、登録数は74施設。その中、日本では35施設が選ばれている。山形県では初めての登録になる。
右が大堰。通路を挟んで・・
JR陸羽西線の線路が見える。その隣で通行する車が見えるのが国道47号線。3つの交通網がこんなにも密集している。
今度、天気の良い日に、ゆっくりと来てみようと思った。
最後に、酒田北港のサミット酒田パワー株式会社に向かった。ここはバイオマス発電所で、県内の木材のチップ(米沢と新庄に工場があり、一日30台(40ftコンテナ付きトラック)が入って来る。国道47号線が重要な物流の交通網なのだ。
ここでは、カナダから輸入されたペレット(倉庫が酒田北港小湊埠頭にある、山居倉庫とWELLCAMEが書かれた巨大な倉庫)に納められている。その他フィリピンから輸入されたPSK(椰子殻から作られた物)と補助燃料としてロシア産の石炭が搬入されている。厳重な警備(?)の元に、内部を見学させて頂いた。材料調達にも、敷地の確保にも、この北港背後地は選ばれたし土地だったのだ。