まなびの途中

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学んだことを書いてまいります。

どうしようもない、社会の出来事

2006年08月01日 | 社会的全般
東武線踏切事故 遺族が検察審査会に申し立て

  事故は昨年3月起き、歩行者4人が電車にはねられ2人が死亡した。
  遮断機の操作を誤ったとして同罪に問われた同駅の元踏切保安係は禁固1年6
  カ月の実刑が確定している。
  問題になったのは、東京地検が今年3月、当時の同駅駅長(57)と本社運転
  課課長補佐(58)について嫌疑不十分で不起訴とした処分。

様々なブログ上で話題、議論になった「事件」でした。
いくつか、読ませていただいており、実は、すでに、終わった事件として
考えておりました。

最近、自分は、多くの方の批判なり不評をいただくことを、わかっていながら
書くことがございます。
これも、その一つとして。

この事件。結局、事故をおこした加害者であり、「犯人」が、実刑を受けたことに
少なからずの驚きをもって読みました。
この元踏切保安係は、この作業18年のベタラン作業員でした。
「ヒューマンエラー 竹ノ塚踏切事故を考える」
こちらに詳細が書かれております。
日比谷線の乗り入れ、そして最近の半蔵門線の乗り入れ。
過密時には、1時間60車両も出入りする踏切です。

要するに、まるっきり「開かない」時間帯が、物理的にあった。
早くから地元では、踏み切りを高架にするよう、嘆願書を区などに提出していたが
高架にかかる費用が300億、500億とも言われ、
国の補助金なしでは、計画自体不可能であった。
さらに、交差する道路が、「区道」であったことも、国の補助金適用外であった。

ご遺族、被害にあわれた方。
事故と呼ぶには、非常に痛ましすぎる、事故です。
色々な意味で、事故ではなく、考えようによっては事件に該当すべき、
内容でもあります。

組織的な「犯行」であったのか、「単独犯」なのか、
そういった論点で、マスコミの報道はされておりましたが、
歩道橋も近くにない。平面的にあちら側に移動するには、この踏み切りしかない。
しかも、「手動」で、踏み切りを上げ下げしている、そういう実情を、
ほぼこの近隣の方々は、存じていた。
そして、いつか「大事故」につながる、そういう意識も持ち合わせていた。

この18年間で、事実として報告されていた事故件数は、1件だけだったようです。
その確率たるや。

まさに起こり得る、最悪のヒューマンエラーでした。
さらに、この「手動」に頼らざるを得なかった「現場」。
起こした当事者が、その「罪」を全て背負い込む。
そこに、申し訳ないんだが、悲しい現実を見てしまうんです。

ようやく、最近になって、国交省が補助金の規定の見直しをするようで、
この踏み切りが検討項目に入ったようです。

確かに、そう多くの予算を持っているようには思えない東武鉄道。
明らかに、線路を敷設して、近隣の不動産価値を高めて、
収益を上げていく。そういうビジネスモデルの「破綻」が見て取れます。
たいした、「街づくり」のグランドデザインを、持っていなかった、
そういう末路が、単に露呈してしまったんだ、ともいえなくもありません。

事情はわかりませんが、小田急も、線路を高架にすべく、工事をしておりますが
近隣の住民から、日照の問題やら騒音、景観も含めて、
工事差し止め請求がでて、住民側が、押し切ろうとしております。

おそらく、この竹ノ塚駅周辺の住民、商店は、線路の高架に対して、
「良い思い」は持っておりません。多分。

ある意味、様々な利害を調整する、行政は、予算を含めて、何らの解決能力を
持ち合わせておりません。
一方、悲惨な結果は、行き着くところ、最終的な責任者を特定せざるを得ません。
自分も、この流れは、理解もしていますし、わかっております。

ただ、このベテラン保安係が禁固という実刑を受けた事に関して、
もう、どうにも、言葉にならない、悲しみも、また感じてしまうのです。
危ないことを、最後に、申し上げる感じですが、
できれば、ご遺族の方。
民事賠償で、高額な損害賠償金といった方向をおとりにならないよう、
希望申し上げます。
また、怪我や、後遺症に苦しむ方々には、どうぞ、満額な補償をお願いしたい、
そう思う次第です。