名古屋の白ウサギ・1964年生・

別名、ウサギ仙人・・職業・会社員

赦しません、赦されているからです。

2018-06-28 | 宗教


宗教関係や、精神世界の本を読んでいると

「 人を裁いてはいけません。
‘ 許しの心 ‘ を持ちなさい 」

と言うようなお話がでてきます。

こういう教えは
確かに尊い教えであると思いまが、

この言葉を浅はかな捉え方で吸収してしまうと
大きな落とし穴にはまるような気がします。

私が20代の頃  深夜アルバイトで働
いていたレストランに
Tさんという50代の男性がいました。

Tさん本職は 洋服の仕立て職人、
近年、洋服をオーダーメイドする人が激減して、
本業だけでは生活できる収入を確保できない。

やむを得ず、毎日8時間、パート社員として、
このレストランで働いていました。

Tさんの仕事は主に 仕込み でした。
店に出たり、厨房で料理を作ったり といったことは
一切できません。

野菜を切ったり、米を研いだり、皿を洗ったり
といった 裏方の仕事のみを毎日黙々とこなしてゆく。

そういった仕事を任されていました。

このTさん、真面目で大人しく、温厚な人柄
趣味は読書。

悪い人ではないけれど、
周りの評判は物凄く悪い。

何故かというと 
Tさん 常に マイペース。

ピークの時間 他の人達は必死になって
走り回っているときも
自分だけは常に涼しい顔をしている。

人手が足りないとき、他の人達は、自分の担当以外
の仕事でも無理をしてでも助け合う。

Tさんはそういう状況でも、自分の仕事さえ切りがつけば
あとは、さも仕事をしているようなフリをして時間を潰す。

他の従業員はこういうTさんの態度に相当イラついている

しかしながら、

従業員のなかで

Tさんが最年長であったこともあり、

Tさんをバカにしたり、
感情的に苦情を言ったり、

そういった態度は誰もしませんでした。

そういった意味でこのレストランの
従業員はみな紳士的な人ばかりでした。

「 あれでも、Tさんは Tさんなりに精一杯やっているのだろう 」

そう言って、Tさんの態度をかなりの部分で黙認していました。


それでも、ごくごく稀な事ではありますが、

忙しいとき 誰かが Tさんの態度に腹を据えかねて

強い口調で 

Tさん! 少しは周りの状況を考えてください!!!! 

Tさん、早くやってください!!! 

などと言ったりすることがありました。


こういうとき私は Tさんをフォローしようと思い
Tさんのそばに近づくと、

Tさんが必ず言う言葉・・・

「 ああいう人はどこにでもいるけど、
私は憎んだり怨んだりしませんよ
‘ 許す ‘ という気持ちが大切だからねー 」

  許す??????? 

この言葉、Tさんが使うべき言葉なの?

口まで出掛かるけどいつも我慢しました。

いつも許されているのはTさんであって
他の多くの従業員ではありません。

要するに、Tさん 自分の立場 自分の状況 自分の能力  
がまるで分かっていない。

Tさんの「 許す 」 という言葉の裏には

傲慢さがあるのではないでしょうか・・・

じつは許されているのは Tさん であり、
許されている Tさんが
人を 「 許してやる 」 
などと思うのは全くオカシナ話であると思います。


Tさんは極端な例ではあるけど、

Tさんに限らず

 ‘ 許す という傲慢 ‘ を

何の恥じらいも無く犯している人を時々見かけます。


こういう人は 、何らかの宗教を信じていることが多いと感じます。

これが 「 宗教の落とし穴 」であるといつも感じます。

わたしは常々 ‘ 人を許す ‘ と言う言葉に対して
大きな警戒感を抱いています。

この言葉を軽々しく発する人を見ると何かの違和感を感じます。


誰かに対して腹が立った瞬間、

許してあげよう と思った瞬間、

「 許されているのは実は自分ではないだろうか? 」

常に こう自問自答してゆく事が大切であると

自分に言い聞かせる今日この頃でございます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 神はサイコロを振らない。 | トップ | ウサギ仙人・・・犬を飼う。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

宗教」カテゴリの最新記事