読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

「説文解字」の運命

2008-10-12 16:28:14 | 漢字

岩波新書「漢字と中国人」大島正二著から
今に伝わる「説文解字」は許慎の原本ではないそうだ。その原本はどう言う訳か失われ、現存のものは南唐の徐鍇(じょかい)の校訂した「説文解字繋伝」四十巻本(二十五巻は不明)とその兄の北宋の徐鉉らが校訂した「説文解字」十五巻本の二種類だと言う事だ。この校訂が行われた後、八百年もの間、この「説文解字」は忘れられた存在となった。これほど権威の有った書が再び蘇えったのは清朝になってからで、その時代の考証学者たちによって文字研究の対象になってからで有ったそうだ。許慎は、黄河南の地方誌である「河南志」によれば河南省郾城(えんじょう)県城東三十五里の地、召陵城下の墓に眠っていると言う。