読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

法然の「選択集」

2008-10-04 14:08:11 | 歴史

「日本のこころ」講談社から
「選択集」は正確には「選択本願念仏集」で法然が支援者の九条兼実からの希望で書いたものである。九条兼実は摂政であったが後鳥羽上皇に罷免された後、現世に望みを失い、法然の専修念仏の信者となった。兼実は、法然に来訪を望んだが法然は病気がちであったために弟子の証空に講話をさせたと言う。が兼実は法然が来る事が出来なければ法然の教えを書物にして欲しいと依頼した。それに因って書かれたのが「選択集」である。法然はこれも弟子に手伝わせて著した。どの経典を引用するかと言う事ばかりか執筆までさせたそうだ。法然は書く事には余り積極的ではなく信仰を実践する実行型の宗教者で、行基や空也などもそうで、逆に書物型は聖徳太子や空海などだそうだ。それにしても「選択集」は名著だと梅原猛氏が紹介している。