沈みゆくフィリピン諸島、地下水くみ上げの脅威 気候変動上回る

2019年06月30日 | フィリピン原住民のはなし 南方民族は阿呆だらけ


沈みゆくフィリピン諸島、地下水くみ上げの脅威 気候変動上回る

6/30(日) 15:02配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【6月30日 AFP】20年以上前、フィリピン北部のシティオパリアハン(Sitio Pariahan)にメリーアン・サンホセ(Mary Ann San Jose)さんが移って来た当時は、地元の教会まで歩いて行くことができた。だが、今は泳いで行かなければならない。

 その主な原因は、地下水のくみ上げの結果生じた破局的な地盤沈下だ。その多くは、人口増加と経済成長を支えている、住宅や工場、農業用の規制のない井戸によって起きている。

 パリアハンのようなフィリピン北部沿岸の街や小島では絶え間ない地盤沈下により、マニラ湾(Manila Bay)の海水が内陸に流れ込んで、住民数千人が退去を余儀なくされている。その脅威は、気候変動による海面上昇よりも差し迫ったものとなっている。

 住民の大半は同じ地方の別の場所へ散り散りになり、パリアハンに残った家族はわずかとなった。海水が流れ込む前には小学校やバスケットボールコート、教会などがあったが、今日残っているのは水浸しの教会と、サンホセさん家族らが住む竹でできた高床式の小屋の一群、そしてまだ沈んでいない一角に立つ数軒の家だけだ。

 人工衛星の観測によると、パリアハンがあるブラカン(Bulacan)州とパンパンガ(Pampanga)州では2003年以降、毎年4~6センチの地盤沈下が起きている。一方、国連(UN)が推計する世界的な平均海面上昇速度は年間約3ミリだ。

■首都マニラの未来を予兆?

 忍び寄る湾岸水域の拡大により、住民や土地が危機にさらされている。その脅威は毎年フィリピン諸島を襲う約20回の暴風雨がもたらす高潮と洪水によってさらに増幅されている。

 地域の災害対策当局者はAFPの取材に対し、農村を主とするマニラ北方の沿岸部から、過去数十年間に少なくとも5000人が退去を余儀なくされたのは、湾岸水域がさらに内陸に広がったためだと説明した。

 この沈下が常態化する可能性が非常に高いのは、被害の最も大きい地域の地盤がほとんど粘土質のためだ。粘土は水が引くと固まる性質がある。

 パリアハンのような街の運命は、首都マニラの人口1300万人の一部を待ち受ける諸問題の予兆となっている。

 この問題を追究する科学者グループの一人、ナロド・エーコ(Narod Eco)氏はAPFに対し、マニラ湾沿岸部でも一部沈下が進行しており、その主な原因は過剰な地下水くみ上げである可能性が高いと指摘する。だが、この地域の沈下は北部沿岸の各地より遅く、その理由は地下水のくみ上げが少ないか、土壌が違うためだろうと語った。

■「できることは何でもする」

 マニラ首都圏では2004年以降、井戸の新設が一時禁止されている。だが国全体でこの禁止を徹底させ、また既存の違法な井戸を封鎖する任務を負っているのは、国家水資源評議委員会(National Water Resource Board)とそのスタッフ約100人だ。同委員会のセビリョ・ダビド(Sevillo David)委員長はAFPに対し、人的資源が不足していると語った。

 1985年以降、マニラの人口がほぼ倍増し、国の経済規模も約10倍に拡大したことに伴い、水の需要も急上昇した。爆発的な成長により、特に首都の北方地域での農業と製造業で膨大な水の需要が生じたためだ。

 それでもパリアハンに残った住民らは、彼らが故郷と呼ぶ場所にとどまれるよう、できることは何でもしている。サンホセさんは「毎年、家(の床)を高くしている。今では頭が天井につきそうだ」と語った。

 映像はブラカン州で2月3日撮影。(c)AFPBB News
【関連記事】

このままでは国が水没して消滅…陸地かさ上げ計画を検討 マーシャル諸島
世界中の沿岸都市で洪水リスク、英団体が各国政府に投資呼び掛け
海面上昇で取り残された「水上寺院」、インスタ映えで有名に タイ
洪水でも勉強できる「水に浮かぶ学校」、バングラデシュ
動画:浜辺に続々漂着する「猫のガーフィールド」の電話機、謎の一部解明 フランス




200人以上死亡の熱波につづき、インドの水不足が深刻

6/24(月) 18:44配信

ニューズウィーク日本版
200人以上死亡の熱波につづき、インドの水不足が深刻

インドのチェンナイでは貯水池すべてがほぼ干上がっている
──昨年の南アフリカにつづき、今年はインドで深刻な水不足に

昨年1月、南アフリカ共和国のケープタウンでは、記録的な干ばつに伴って水不足となったことから、3ヶ月後の4月12日を「デイ・ゼロ」と称し、その日以降、水道水の供給を停止し、市民には給水所を通じて生活用水を提供すると発表した。その後、市民による節水活動などが奏功し、「デイ・ゼロ」は免れたが、世界的に都市居住者が増加するなか、都市部での水不足について警鐘を鳴らす事象としても注目された。

インドのウォーター・クライシスのニュース動画

2019年6月現在、インドも同様の危機的状況に陥っている。慢性的な干ばつに加え、2019年5月末から続く記録的な熱波が続いている。6月18日にも、ニューデリーで6月では過去最高の48度を記録し、これまでに200人が死亡している。

■ インド南東部チェンナイでは、4カ所の貯水池すべてがほぼ干上がっている

こうした影響で人口約465万人を擁するインド南東部の都市チェンナイでは、4カ所の貯水池すべてがほぼ干上がり、チェンナイ都市圏上下水道公社(CMWSSB)が水供給量を約40%削減する措置を講じた。

公営水道を利用する60万5千世帯では世帯あたり1日120リットルが供給されてきたが、この措置により水供給量が1日70リットルにまで減らされている。

このような深刻な水不足は、市民の日常生活や経済活動に大きな影響を及ぼしている。ロイターの報道によると、私設の給水ポンプには生活用水を求める市民が長時間にわたって列をなし、多くのホテルや飲食店が臨時休業しているほか、企業のオフィスでも食堂やトイレでの水の使用が制限されているという。

■ インド国内の21都市で地下水が枯渇し、1億人以上に影響が出る

水不足は、チェンナイにとどまらず、インド全土で懸念されている。インドでは、集水システムが十分に整備されておらず、地下水に依存している地域が多い。長年、地下水源を得るために地面を掘削し続けてきた結果、地下水の枯渇も深刻だ。

インドで水不足の解消に取り組む非営利団体「FORCE」の代表ジョティ・シャーマ氏は、米テレビ局CNNの取材に対して「インド政府は、国民が水を確保できるよう懸命に取り組んでいるが、地下水源が枯渇するスピードは年々速くなっている」と述べている。

インドの行政委員会(NITI Aayog)が2018年6月に水資源省らと共同で策定した報告書によると、インドでは、高度または極度の「水ストレス」に6億人が直面している。

この報告書では「2020年までに、デリーやバンガロールを含むインド国内の21都市で地下水が枯渇し、1億人以上に影響が出る」とし、「2030年までに水の需要量は供給量の2倍となる。多くの国民にとって水不足はさらに深刻となり、インドの国内総生産(GDP)の6%程度のマイナス影響が見込まれる」との予測を示している。シャーマ氏は「降雨量の変化に適応した貯水をしなければ、都市であれ、村落であれ、インド全土で水不足がより深刻になるだろう」と警告している。

松岡由希子
【関連記事】

インドの性犯罪者が野放しになる訳
熱波と水不足が続くインドで、女性が水を飲まない理由が悲しすぎる
全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ 被害続発する事情とは
50歳以上の「節操のないセックス」でHIV感染が拡大
射精にはなぜ時間がかかるのか?

最終更新:6/24(月) 18:44
ニューズウィーク日本版



海の温暖化、漁業に大打撃=北上するロブスター漁場-北米沖

6/25(火) 7:28配信

時事通信
海の温暖化、漁業に大打撃=北上するロブスター漁場-北米沖

カナダ東部ノバスコシア州のハリファクス・スタンフィールド国際空港で売られているロブスター=5月15日

 【ニューヨーク時事】海の水温上昇に伴い、北米沖のロブスターの漁場が北上し、カナダの大西洋側では水揚げ量が倍以上に増えた。

 一方、米東部ニューヨーク州とコネティカット州に挟まれたロングアイランド湾からはロブスターが9割以上減り、漁業に大打撃を与えている。

 ◇1日6匹、収入は9割減
 「15年前ごろに湾の西側で減り始め、北側や南側でも減っていった」。ロングアイランド湾での漁師歴52年のジョン・ジャーマンさん(72)はこう振り返った。漁師になって以来、約40年間ロブスターを専門に捕ってきたが、激減で売り上げが漁船の運航費を下回るようになり、2008年ごろから別の魚介類を中心に捕るようになった。

 今捕れるロブスターは別の魚介類のわなに「偶然」かかったものだけだ。「今は1日に6匹程度捕れるだけ。たいてい誰かにあげてしまう」と話す。ニューヨーク州の自宅の庭には約1200個のロブスター用のわなが積み上げられていた。

 米海洋大気局(NOAA)によると、ロングアイランド湾のニューヨーク州側では、14年の水揚げ量は1996年に比べ97.7%減った。かつて数百人いたロブスター漁師の多くはカキ養殖や建設業などに転職し、今でもロブスターを捕っている漁師は十数人に減った。ロブスターの激減でジャーマンさんの収入は90年代に比べ、1割に減った。かつては船2隻と従業員11人を抱えていたが「今は船と自分だけ」という。

 ◇カナダでは倍増
 カナダの大西洋側で捕れるロブスターの水揚げ量は17年は9万7000トンで、96年の4万トンから倍以上に増えた。漁業が盛んな東部ノバスコシア州の17年の海産物輸出額は20億カナダドル(約1600億円)で、12年から倍以上となった。輸出のトップはロブスターだ。同州のコーウェル漁業・養殖相は「ノバスコシアはビジネスや養殖にオープンだ」と、漁業分野全体への投資拡大を訴える。

 NOAAによると、世界の海水温は80年以降、10年ごとに平均約0.12度ずつ上昇してきた。一方、米北東部沿岸では世界平均より速いペースで海の温暖化が進んでいるという報告がある。ロブスターは水温が20度を超えると、生息に影響が出るとされる。

 メーン大学のウォール教授(動物学)は「ニューヨークなどでは海の水温上昇でロブスターの死ぬ確率が上昇する一方、以前はロブスターにとって水温が低すぎた(カナダに隣接する米北東部)メーン州やカナダでは、温暖化が逆にロブスターに好影響を及ぼした。わずかな上昇でも生息場所に劇的な変化を与える」と指摘する。ロングアイランド湾では殺虫剤による環境汚染や天敵の増加も減少の一因と指摘されている。

 一方、海水温上昇でメーン州の生息数も今後減少すると推測する調査もある。ノバスコシア州への投資拡大に取り組む団体の代表を務めるローレル・ブロテンさんは、「気候変動の悪影響が漁業に出ないように監視を続けていく」と強調した。 
【関連記事】

風力発電、曲がり角に=建設激減、関連企業破綻も-ドイツ
英、50年に温室ガス実質ゼロ=メイ政権の遺産づくりか
米仏首脳、関係再構築目指す=気候変動やイランで溝
温暖化対策で1000万人雇用=バイデン氏、米大統領選へ「革新」アピール



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« フィリピンのバカ店員共を久... | トップ | 警察官が取調室で暴行?法医... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

フィリピン原住民のはなし 南方民族は阿呆だらけ」カテゴリの最新記事