「マジで死にかけた」「歯8本折った」見えない爆弾…突然壊れる“自爆自転車”の恐怖
産経新聞 1/31(火) 15:08配信
「マジで死にかけた」「歯8本折った」見えない爆弾…突然壊れる“自爆自転車”の恐怖
自転車が突然壊れる事例が続発(写真:産経新聞)
自転車が突然壊れる事例が続発している。運転中にハンドルが折れたり、タイヤが外れたり…。車と違って国が定める安全基準がなく、型式指定審査のようなチェックシステムもない。輸入自転車の9割を占める中国をはじめ、海外から欠陥商品が流入している問題も指摘されるが、国産製品も例外でない。けがをした人がメーカー側の製造物責任を問い、訴訟に発展するケースも相次ぐ。“自爆自転車”を見抜くにはどうしたらいいのか。
一瞬のことだった。平成26年12月13日午後。大阪市城東区で2日前に購入した自転車をこぎ、集金業務にあたっていた内山俊平さん(52)=仮名=は気がつくと、路上に投げ出されていた。左肩に激痛が走り、起き上がれなかった。トップギアの6段に変速した瞬間、ペダルの空転現象が起き、バランスを崩したのだ。
「何が起こったのか」。苦痛に耐えながら、通りかかった女性に救急車を呼んでもらい、病院に搬送された。診断結果は左腕骨折など全治1年3カ月。休職を余儀なくされた。内山さんは憤る。「この事故で私の生活は一変した。本当に許せない気持ちだ」
自転車は国内メーカー製。メーカー側の調査で自転車のギアの欠陥が判明する。6段に設定された際、ギア台に十分に締結されず、ペダルが空回りするようになっていた。販売会社は調査結果を経済産業省に報告。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)のホームページにも掲載された。欠陥があったのは内山さんの1台のみだったという。
販売会社とメーカーはともに損害賠償責任を認めたが、具体的な金額は明らかにしなかった。内山さんは昨年10月に「自転車が通常有すべき安全性を欠き、製造物責任法違反に当たる」として2社に約8100万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。会社側は賠償額について争う姿勢を見せている。
「走行中にフレームが突然折れて転倒し、歯を8本折った」「電動アシスト自転車のフレームが真っ二つに折れけがをした」…。欠陥自転車による被害の書き込みはインターネットのあちこちで見られる。事故が相次ぐ一つの要因として、輸入自転車の増加も挙げられる。自転車産業振興協会によると、国内の市場に出回っている自転車の9割が輸入品で、その大半が中国で生産されているという。日本メーカーの現地工場も多く、日本メーカーの製品でもメード・イン・チャイナということが少なくない。
同協会の担当者は「部品の精度が低い輸入自転車もある。消費者も定期点検への意識が低く、壊れたら直す、という人が多い」と指摘する。国が統一した安全基準を定めていないことも一因といえる。NITEによると、20~24年度の5年間に報告を受けた自転車の交通事故以外の事故件数は493件に上る。そのうち自転車の欠陥による事故は162件で全体の32・9%を占めた。
原因を詳しく見ると、溶接や接合の不良、強度不足などで走行中に部品が破損したケースが66件で最多。組み立て段階でハンドルやチェーン、ペダルがしっかり固定されていない締め付け不足も目立った。モーターの電流制御に異常が発生し、急発進したり、バッテリー制御部から発煙したりといった電動アシスト自転車特有のものもあった。
欠陥自転車をどう見分ければよいのか。専門家によれば、車体に貼られている「自転車マーク」が一つの目安になるという。マークは事業者団体が任意でいくつか設けている。約90項目の検査にクリアした自転車のみに貼られる「BAA」マークや、自転車安全整備士によるメンテナンスを受けたことを示す「TSマーク」などがそれだ。こうしたマークの有無をチェックするのも欠陥自転車を避け、事故を防止するのに役立つ。
NITEによると、自転車の製品事故は使用開始から1年未満に多くが発生しているという。自転車産業振興協会は「新しい自転車を購入したら1~2カ月以内に販売店などで自転車技士、自転車安全整備士による初期点検を受けてほしい」と呼びかけている。
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産経新聞 1/31(火) 15:08配信
「マジで死にかけた」「歯8本折った」見えない爆弾…突然壊れる“自爆自転車”の恐怖
自転車が突然壊れる事例が続発(写真:産経新聞)
自転車が突然壊れる事例が続発している。運転中にハンドルが折れたり、タイヤが外れたり…。車と違って国が定める安全基準がなく、型式指定審査のようなチェックシステムもない。輸入自転車の9割を占める中国をはじめ、海外から欠陥商品が流入している問題も指摘されるが、国産製品も例外でない。けがをした人がメーカー側の製造物責任を問い、訴訟に発展するケースも相次ぐ。“自爆自転車”を見抜くにはどうしたらいいのか。
一瞬のことだった。平成26年12月13日午後。大阪市城東区で2日前に購入した自転車をこぎ、集金業務にあたっていた内山俊平さん(52)=仮名=は気がつくと、路上に投げ出されていた。左肩に激痛が走り、起き上がれなかった。トップギアの6段に変速した瞬間、ペダルの空転現象が起き、バランスを崩したのだ。
「何が起こったのか」。苦痛に耐えながら、通りかかった女性に救急車を呼んでもらい、病院に搬送された。診断結果は左腕骨折など全治1年3カ月。休職を余儀なくされた。内山さんは憤る。「この事故で私の生活は一変した。本当に許せない気持ちだ」
自転車は国内メーカー製。メーカー側の調査で自転車のギアの欠陥が判明する。6段に設定された際、ギア台に十分に締結されず、ペダルが空回りするようになっていた。販売会社は調査結果を経済産業省に報告。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)のホームページにも掲載された。欠陥があったのは内山さんの1台のみだったという。
販売会社とメーカーはともに損害賠償責任を認めたが、具体的な金額は明らかにしなかった。内山さんは昨年10月に「自転車が通常有すべき安全性を欠き、製造物責任法違反に当たる」として2社に約8100万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。会社側は賠償額について争う姿勢を見せている。
「走行中にフレームが突然折れて転倒し、歯を8本折った」「電動アシスト自転車のフレームが真っ二つに折れけがをした」…。欠陥自転車による被害の書き込みはインターネットのあちこちで見られる。事故が相次ぐ一つの要因として、輸入自転車の増加も挙げられる。自転車産業振興協会によると、国内の市場に出回っている自転車の9割が輸入品で、その大半が中国で生産されているという。日本メーカーの現地工場も多く、日本メーカーの製品でもメード・イン・チャイナということが少なくない。
同協会の担当者は「部品の精度が低い輸入自転車もある。消費者も定期点検への意識が低く、壊れたら直す、という人が多い」と指摘する。国が統一した安全基準を定めていないことも一因といえる。NITEによると、20~24年度の5年間に報告を受けた自転車の交通事故以外の事故件数は493件に上る。そのうち自転車の欠陥による事故は162件で全体の32・9%を占めた。
原因を詳しく見ると、溶接や接合の不良、強度不足などで走行中に部品が破損したケースが66件で最多。組み立て段階でハンドルやチェーン、ペダルがしっかり固定されていない締め付け不足も目立った。モーターの電流制御に異常が発生し、急発進したり、バッテリー制御部から発煙したりといった電動アシスト自転車特有のものもあった。
欠陥自転車をどう見分ければよいのか。専門家によれば、車体に貼られている「自転車マーク」が一つの目安になるという。マークは事業者団体が任意でいくつか設けている。約90項目の検査にクリアした自転車のみに貼られる「BAA」マークや、自転車安全整備士によるメンテナンスを受けたことを示す「TSマーク」などがそれだ。こうしたマークの有無をチェックするのも欠陥自転車を避け、事故を防止するのに役立つ。
NITEによると、自転車の製品事故は使用開始から1年未満に多くが発生しているという。自転車産業振興協会は「新しい自転車を購入したら1~2カ月以内に販売店などで自転車技士、自転車安全整備士による初期点検を受けてほしい」と呼びかけている。
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