狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

片付け最中の外は

2009-09-14 11:22:38 | 日録

戸別所得補償

 農家の期待が高いのが、販売価格が生産コストを下回った場合、差額を補償する「戸別所得補償」だ。実施は11年度で、赤松広隆農林水産相は10年度中に制度の設計に取り組むことになる。
 実現すれば、制度に参加する販売農家には、作物の市況に左右されずに経営が安定するメリットがある。07年度夏の参院選に続き、今回の衆院選でも農村票を呼び込んだ。
 モデル事業などで効果を実証し、1年間で制度を設計。11年度からコメを対象に1兆円規模で実施したい考えだ。その後、畜産物や水産物などに制度を拡大。予算規模は1兆4千億円を見込んでいる。
 課題は、事務作業の煩雑さだ。現在の生産調整(減反)でも生産目標を個々の農家に割り振る作業は大変で、役所JAの担当者は悲鳴を上げている。補償制度の範囲を、他の主要農産物に広げた場合、生産費や販売価格の算出や実際の支払い手続きなど膨大な事務作業が必要となる。
 10年に一部地域でモデル事業を実施する場合、現在の減反政策と併存することになる。減反への参加と戸別所得補償のどちらかが経済的に有利なのかはっきりしない段階で、「実験台」となる農家の賛同が得られるかも課題だ。
 また所得補償は小規模農家温存につながり、課題となっている農家の大規模・合理化が進まないとの指摘もある。仮に世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が早期に妥結して農産品の関税が引き下げられ、輸入増で国内価格が下がれば、補償額が増加して財政を圧迫しかねない。(17 日付朝日新聞3面)