狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

一片氷心在玉壺

2009-09-12 20:54:30 | 日録

余のかかりつけ医院。駐車場に車少なし。待合室も大した人数ではなかった。待っている他にも、予約してあるひとの有無を訊ねてみた。3人が予約してあり、10時半頃の診察になるというので、待つ事にした。
スポーツ新聞の記事なり。
一九九三年当時、非自民連立政権誕生で退陣に追い込まれた宮沢喜一首相は唐詩選の「一片氷心在玉壺」披露し、澄み切った気持ちを表現した。政権を去るとき麻生首相がそんな心境に達する事が出来るかは微妙。


芙蓉楼送辛漸  
        王昌齢

寒雨連江夜入呉
平明送客楚山孤
洛陽親友如相問
一片氷心在玉壺

芙蓉楼(ふようろう)にて辛漸(しんぜん)を送る 
 王(おう) 昌齢(しようれい)

寒雨(かんう)江(こう)に連なって夜呉に入る
平明(へいめい)客(かく)を送れば楚山孤なり
洛陽の親友如(も)し相問(と)わば
一片の氷心玉壺(ぎよくこ)にあり

口語訳

寒々とした雨が揚子江にふりそそぐ中を、
夜になってから呉の地にやってきた。
あけがたに、友人を見送ると、夜来の雨もやんで、
朝もやのはれゆく中にぽつんと楚の山が見える。
洛陽の友人がもし、王昌齢はどうしているか、とたずねたら、
彼の心は一片のすみきった氷が玉壺の中にあるようだ、
といってくれ。(石川忠久・訳)