狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

漢詩の恋文

2009-04-12 16:49:30 | 本・読書

花見に行くので、床屋にかかった。パンチパーマをかける先客がいて、オレの番になるのは相当時間がかかる。待つ間、そこに置いてあった「漢詩の作り方講座」なる分厚い本(講義録というのか)を開いてみた。この床屋のご主人は漢詩の刻字を能くするので、勉強の必要があるのであろう。
 うむ。ボクは思わず唸ってしまった。手帳を持っていたので、早速書き入れた。
 扶桑第一梅
 今夜為君開
 欲識花真意
 三更踏月来

 これまで、漢詩は男児の特許品だとばかり思っていた。
 
 これは亀井小琴という女性作の恋文である。
   扶桑第一の梅
   今夜君が為に開かれん
   花の真意を識らんと欲せば
   三更月を踏んで来たれ
と訓読する。帰宅後亀井小琴をネットで検索した。
 雷首という人の作で、『贈小琴女史(しょうきんじょしにおくる)』の返答の漢詩だそうである。

 二八誰家女
 嬋焆真可憐
 君無王上点
 我為出頭天

   二八誰(た)が家の女(じょ)ぞ
   嬋妍(せんけん)真に憐れむ可し
   君に王上の点なくば
   我れ出頭の天とならん

 大意は、あの妙齢(二八は16即ち16歳くらいという意)の女性は、どこの娘だろうか。顔姿のあでやかな美しさは、本当に可憐である。もし、貴女に御主人がいないなら、小生があなたの夫になりますよ、という意。

「王上の点」とは、「王」に点を付けると、「主」になり、「出頭の天」とは、「天」が突き抜けると「夫」になることのダジャレ。

携帯電話の時代、時の大学生の男性諸君、あなたの彼女に試してみたら如何。でもこのナゾを解ける女子大生果たしているのかなぁ。