狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

憂国忌

2008-10-20 16:42:41 | 怒ブログ

憂国忌近しわれすら国憂ふ    谷人

 この小生の句を、今は亡くなってしまった友人が、当時選評までそえて採って頂いた。
《今の世相に、眉を顰める人がどれほど多いか。憤りの強さが直截に伝わる句調のの強さは、季語「憂国忌」にぴったりである。ーI.I郎》
何よりも有り難かった。講師のI先生だったら「詩が欲しい」の一言で片づけられてしまいそうな句のような気がした。
 事実俳句形式の五・七・五ではあるが、選挙用の標語だと云われても致し方ないと、自分でも嘲笑いたくなる。勿論詩的感覚など全くないとも…。
 然し、今三島由紀夫が実在すると仮定したなら、「何の役にも立ちそうもない腰の引けた日本の自衛隊の少数部隊」(朝日新聞天声人語)をアメリカの傭兵に仕立て、イラクにまで派遣するような愚挙に、彼三島は、一体どういう「檄」を飛ばしただろうかと、いきなり机を拳で叩かざるを得なかった。
 最近の自民党政治、特にブッシュに対して千切れるほど尾を振りつづける小泉・川口のやり口は、小生の頭に来る事ばかりだったからである。俳句など、どうでも良い!と自棄に口先だけの、小さな憂国の俳人に、小生は成り下がってしまったのであった。
 三島由紀夫は昭和四十五年十一月二十五日午後零時十五分、自衛隊市ヶ谷駐屯地屋上から、集まって来た自衛隊員達に、憲法改正と隊員の決起を促す檄を飛ばして、東部方面総監室にて割腹自殺した。この日を「憂国忌」として最近の歳時記には載せてあるものが多い。
   辞世
益荒男がたばさむ太刀のの鞘鳴りに幾年耐へて今日の初霜

散るをいとふ世にも人にもさきがけて散るこそ花と吹く小夜嵐

ところでこの稿は、古るーい「平成15年9月」のオレの所属する町俳句会例会会報からの引用文である。ひょっとしたら、本ブログのバックナンバーと重複しているかも知れぬ。
しかし、「インド洋給油活動継続」など、「民主党」すら、「憂国」に値しない法案を賛成するようような、三島の意志に逆らう世の中になっているのではないかと、憂いざるを得ない。