こんな本があります。
クリエーター情報なし | |
講談社 |
サブタイトルが「医療は日本を救う輸出産業になる!」とありますが、ビジネスになるのではないかと思い買いました。まだ読んでいないのですが。ビジネスになるのではないかというのは中国に日本の病院が進出するというのをイメージしているわけですが、ここでちょっと中国における外資系病院に対する規制について見ていきます。
今のところ外資系病院は2000年に公布された《中外合資、合作医療機構管理暫定弁法》に基づいて合弁または合作という形態に限られており、投資総額が2000万元、中方の出資比率は30%以上であることが要求されています。そして、香港・マカオ・台湾系については出資比率要件が一部緩和されており、直轄市と省都については独資での開設が、そして台湾系についてはこれに加えて福建省、広東省、海南省、江蘇省で独資行院の開設が認められています。日系に関しては個人的には開設した後に患者を集める必要があることを考えると独資よりも合弁の方がいいとは思っているので、この程度の制限は特に気にはなりません。
ところが最近この《中外合資、合作医療機構管理暫定弁法》の改正が検討されており、この意見募集稿が発表されていますが、ここで投資総額を2000万元から1億元に引き上げられるという内容になっているとのことです。ちなみにこの2000万元という金額については香港・マカオ系については1000万元に引き下げられています。中国側からすると外資系の病院であれば1億元くらいの規模の先進的なものを持って来いということなのでしょうが、総合病院のような大病院であればいざ知らず、病院の形態によってはそもそもこんなに資金を必要としないものがあります。具体的に言われているのが歯医者や口腔科なんかがそうです。これらは一般的に大病院のような規模を必要とせず、現行の2000万元すら必要でなく1000万元もあれば十分です。そんな中で1億元とは大きく来たものです。外資の歯医者の類はもういらんと言っているようなものでしょう。それでなくても多くの外資の病院はまずはクリニックレベルで入ってきて、運営していく中で中国の医療に関する政策、状況、費用体系といったことについて勉強してからその次のステップとして本格参入を考えているところが多いです。それがいきなり1億元ともなるとリスクが大きいですよね。現時点で外資系病院は220が登録されていますが、実際に運営されているのは60余りだそうで、それら以外の多くはうまく行っておらず運営されていないようです。こんな状況で投資金額基準を引き上げられても外資系としては困りますよね。あくまで意見募集の段階ですが、果たしてどうなることやら。