呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

ポジショニングの異なるブランドの打ち出し

2013年04月19日 | 日記

 今日はとある子供服ブランドについて紹介します。sunrooという1999年よりスタートした深センの会社です。親会社は香港ですので、本当の香港系企業なのか、中国からいったん香港に出資して深センに作ったかのどちらかでしょう。

 

 

  

 ここの総経理、結構エネルギッシュです。もともと「陽光鼠」というブランドでやってきて、対象は0-3歳児、一着数百元もする高級品ですね。10年ほど経営して売り上げが1億元ほどになったのですが、このあたりで頭打ちの状況が続いていました。そして、上海万博での人だかりを見てこんなに人がいるのだからもっともっと売れてもいいはずだという考えのもと、2011年7月より全国範囲で市場調査を行いました。例えば、湖北省のとある県では児童用品を扱っているのは二つの百貨店に集中し、しかもブランド数が少ない一方で、多くの低級品商品が批発市場(卸売市場)で販売されていました。卸売市場は往々にして偽物が多く、薬品のにおいのきついものも多いという状況でした。これは今でもそうでしょうね。

 

 百貨店は高級品、卸売市場は体によくなさそうな商品、この両極端に分かれているという場所が少なくなかったということです。これも何となく想像がつきますね。そして販売チャネルを回っていったのですが、本音は低級品を売りたくないのだが、消費能力を考えると売らざるを得ないというジレンマを抱えているということでした。この結果を受けて「陽光鼠」の次なるブランドとして「蒙蒙摩米」というブランドを立ち上げました。

 

 

 

 価格帯はミドルエンド、百貨店の商品と比べるとずっと受け入れられやすいものでした。価格面で一般大衆に合わせていくのと同時に、プロモーションとしては自らが子供博物館を造り、そこで子供たちの親がノスタルジーを感じるような微電影(オムニバス程度の長さの映画)を流すことで、要するに気持ちに訴えるという方法をとりアピールしたというものです。まあこれは博物館のある深センだけのプロモーションだと思います。そんなこんなで今では200余りの加盟店がいるのですが、各地の直営店に関しては深センでの成功を受けて子ども博物館にデザイン替えしようとしていく計画です。

 

 この話でいくつか思ったのですが、やはり店舗を多くしようと思うと加盟というスタイルが必要なんだということですね。日経だと加盟というスタイルを取っているのはコンビニとほんの一部の外食だけで、ほとんどやっていないイメージがあります。よく進出時に将来的には100店舗、300店舗と言っている飲食店がありますが、すべて自己資金で直営でできるようなとこならともかく、そうでないところであればフランチャイズ形態は真剣に考えるべきだと思います。

 

 もう一つはセカンドブランドでポジショニングの異なる商品を打ち出したところです。どうしてもいま抱えているブランドイメージが崩れる印象を恐れてテイストが異なるポジショニングまでは打ち出せてもプライスの異なるポジショニングの商品を出すのにためらうところは少なくないと思います。とはいうものの、今以上伸ばそうとすると背に腹はかえられれず、異なる路線のものも用意していかなければならないということですね。これは実際に行う方としてはかなり勇気のいる決定かと思います。何もやらなければ伸びないまでも現状維持くらいはできそうだという妙な安心感を持つというのが普通の考え方だと思うので、今回紹介したケースのようにそれほど広がりがあるとも思えない子供服というカテゴリーでポジショニング・価格帯の異なるものを出すというのはなかなかできないことですね。


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