呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

この不動産物件の購入、リスク高いですよね

2013年06月25日 | 日記

 五洲国際というディベロッパーが変わった方法で不動産の販売を行っています。

 

 

 

 まず無錫の五洲国際小商品城という商業物件についてみていきましょう。購入者は五洲国際と10年以上の賃貸契約を締結すれば、販売価格の76%で物件を購入することができ、残りの24%は五洲国際が年間賃貸料の8%を受け取っていく(賃借するけど払わない)ことで、最終的には実質的な満額100%の販売代金を得るというものです。購入者は物件価格の8%の利回りを享受することができ、「高収益」をうたい文句に五洲国際の物件販売はかなり魅力的に見えるというものです。

 

 次に南通の物件で見てみましょう。南通も同じような形式で販売しています。まず15年の賃貸契約を締結し、当初3年分の賃料の合計を物件価格の15%とし、これを当初購入時に直接控除するというものです。具体的には100万元の物件であれば85万元のみを支払い、3年を超えてからより毎年6%の賃料を返還するというものです。購入者は安く購入できるうえに、あとから利回りを保証された賃料収入まで得られるというものです。

 

 さて、この五洲国際という会社、他にも変わった方法で販売しています。2007年に無錫五洲国際装飾城という物件を4880元/㎡で販売したのですが、販促のために2012年に7800元/㎡で買い戻すという特約をしていたというものです。2012年の段階で物件価格がずっと上昇していることから、購入者のうちだれ一人として買戻し言ってきた人はいなかったそうです。ただし、中国では買戻し特約は禁止されているので、問題のある取引と言えるでしょう。なお、五洲国際では買い戻し特約を付けている物件は他にはないとコメントしています。

 

 しかしながら、メディアによりますと五洲国際が販売しているほとんどの物件には買戻しや長期賃貸プラス高額賃料保証が謳われているとのことです。無錫国際銀河城という物件があるのですが、これは店舗を購入してから当初3年の賃料の合計24%をイニシャルで購入者に返還し、そして五洲国際が年利回り8%で賃借する形式を取るというものです。気づいた方もいるかと思いますが、当初返還するのは実質的な値引きですよね。値引きはいいのですが、利回りの方が大丈夫なのか、このケースだと買い手としては4年目以降の利回りが心配になるはずです。

 

 五洲国際小商品城という物件で見てみましょう。ここに20㎡の物件があり、売却価格が2万元/㎡、合計で40万元ですよね、そしてこれを8%の利回り保証しているので3.2万元の返還が得られることになります。同じ物件ではないのですが、近隣且つ似たような物件である五洲国際小商品城の物件は賃料がたったの1万元ちょっとしかないということで、これは五洲国際が承諾した利回りの半分にも満たない水準です。また、既に竣工している8つのプロジェクトについてみていきますと、実際の利回りは2.6%しかなく、8%からはおよそ程遠い水準にあることがわかります。リースバックのようなこの形態ですが、これは万達広場が初期のころにやっていたモデルで、失敗モデルであることがすでに分かっているということなのですが、それをいまだに続けているということは将来的に問題になる可能性は高いでしょう。現に実際の利回りは承諾している水準にはほど遠いわけですから。なんかとにかく金をかき集めるために甘い言葉で勧誘して販売し、そのあとは知らん顔というパターンが想像できてしまいます。さて、この五洲国際の行っているプロジェクト、今後果たして大丈夫なのでしょうか。


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