呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

移転価格調査

2014年09月05日 | 日記

 国家税務総局が、《特別納税調整監督管理関連問題に関する公告》という通達を公布しました。ここでいう特別納税調整とは、企業の関連取引が独立取引原則に違反していないか、タックスヘイブンを利用してタックスプランニングをしていないか、移転価格を利用したり、外国企業のコントロールを受けて、資本弱体化や一般的な租税回避管理等の措置を行っていないかに対して、税務機関が企業に対してリスクを提示し、それを受けて企業自らが審査評価を行って調整する、つまり追加納税するということを指しています。

 

 税務機関は特別納税監督管理において企業にリスクがあることを発見したのち、企業に対してリスクを提示し、企業は規定に従って相応資料を提供するのですが、その結果自ら追加納税を行う場合、追加納税時期と同時期の中国人民銀行人民元貸出基準金利で利息を付加すればよいとされています。相違でない場合は別途5%が加えられます。要するに自首すれば5%の部分は見逃しますよということですね。

 

 通達では企業は20日以内に同期資料またはその他関連資料を提出し、自ら取引価格設定原則と方法等の特別納税調整事項の合理性を自ら審査分析し、自ら追加納税を行うことができるとされていますが、普段から同期資料を用意していないような会社だと20日以内に資料を提出するのはかなりしんどいのではないかと思います。対象となりそうな会社だといちおう準備しているかと思いますが。

 

 2008年より施行されている《特别納税調整実施弁法(試行)》では、以下の条件を満たす場合、同期資料の作成は免除されることになっています。

 

 (1)年間で発生する関連仕入れ販売金額(来料加工業務は年度輸出入通関価格で計Dさん)が2億元以下で、且つその他関連取引金額(関連融通資金は利息回収支払い金額で計算)が4000万元以下、でこれらの金額は企業が年度内に執行するコスト分担協議又は事前確認価格取決めで関係する関連取引金額を含まない。

 

 (2)関連取引が事前価格取決めの執行で関係する範囲に属する。

 

 (3)外資持分が50%未満で勝つ国内関連方とののみ関連取引が発生している。

 

私の知人の会社(残念ながらクライアントではない)は上記要件を満たさなかったこともあり、資料の提出を要求されたのですが、なんと10日以内の資料提出を要求されてます。そんな急にできるわけもないのでかなり焦ったそうです。税務機関は企業にリスクがあることを発見してから通知することになっていますが、企業同期資料作成対象先となっている企業は税務署の調査に備えておいた方がよさそうですね。