呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

特殊用途化粧品の取り扱いに変化が生じる可能性

2013年08月26日 | 日記

 国家食品薬品監督総局より関係する企業に対して「《化粧品衛生監督条例》改正の意見募集稿」が送られています。だいたい数年に一回改正されているものですが、今回の意見募集稿はインパクトが大きいと見られています。具体的には特殊用途化粧品の取り扱いです。特殊用途化粧品は育毛類、染毛類、パーマ類、脱毛類、美乳類、健康美容類、除臭類、シミ取り類、日焼け止め類の9大分類に分かれていますが、これらの特殊用途化粧品に対して明確に特殊用途化粧品の批号を取り消しするとまではしていないものの、特殊化粧品の有効な効能をうたっているようなカテゴリーに対しては管理を強化するとしています。業界内ではこれは特殊化粧品の批号(認可番号)が取り消されることだという見方があります。批号が取り消された化粧品の販路としては薬品としての申請をするということになります。しかし、薬品の申請は化粧品と比べてずっと厳しく、大きなコストをかけて臨床試験を行ったりする必要があり、数年の時間を要することも考えられます。それに比べて特殊化粧品であれば6-9か月程度で批号を取得することができています。つまり薬品とみなされると困ってしまうわけです。

 

 国内の化粧品市場規模は1000億元を超えており、特殊用途化粧品はこのうち約12%-15%を占めており、金額ベースでは150-200億元の間にあると言われています。そして、特殊用途化粧品の中で最も多いのが日焼け止め類と染毛類で、各々40-50億元の規模があると言われており、その次がシミ取り類で約30億元、そして育毛類が約20億元となっています。

 

 特殊化粧品の販売ルートはスーパーマーケット、ネット販売、専門店販売に分かれています。一時かなり話題になりました章光101は現在約2000の専門店があり、これは販売チャネルの90%、そしてスーパーでの販売が8-9%、残りのチャネルがネット販売となっています。もし育毛剤が薬品と認定された場合、薬局で販売しなければならないことになるので、これらのチャネルのほとんどが使えなくなってしまいます。

 

 化粧品なのか薬品なのかあいまいなまま販売している松陰を取り締まることを目的としていると思われますが、薬品とみなされた場合販売方法が完全に変わってきますので、そうなってしまった場合、許認可関係や販売ルートの整備にかなりの労力が費やされることが予想されます。今のところ改正案はまだ意見募集稿に過ぎませんが、該当する商品を持っているところはしばらく動向を見ておく必要がありますね。