呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国の大手保険代理店総経理が大金を横領してカナダに逃亡

2013年08月19日 | 日記

 業界第7位の保険代理店である上海泛鑫保険代理公司の美人総経理がなんと5億元とも8億元とも言われる大金を横領してカナダに逃亡したという事件が騒がれています(その後フィジーで捕まり8月19日に中国に連れ戻されました)

 

 

 

 確かに美形です。まあ大手の会社の社長がこれだけの金額を持ち逃げしたら美形であろうがなかろうが話題にはなったでしょう。さて、その手口について具体事例を挙げて見ていきましょう。非常に単純な手口です。海康保険と言う会社があり、この会社の出している商品は保険料300万元、年間収益率10%、20年分割払いというものです。ほとんど理財商品のようなものですね。海康保険の契約書には20年分割であることが明記されています。ところが泛鑫保険代理の契約書にはこの300万元は一括払いで、1年後に元利金を償還るとなっています。要するに間に入っている保険代理店でありながら、元契約と異なる契約をしていたということです。そして、顧客に対しては「海康保険が支払期間を聞いてきたら20年分割と答えるように」と言いこんでいたとのことで、普通であればこの時点でクエスチョンマークが浮かぶところかと思いますが、なにせ業界第7位の大手保険代理店ですから、まあ大丈夫だろうと思った人が多いのは致し方ないでしょう。そして、1年後がやってきて、300万元に対する元利金の償還の前日に、「10日間だけ待ってください」という連絡があり、結局その後償還してもらえない状態が続いている顧客がおり、そのほかにも似たような話がたくさん出てきています。最初に紹介したのは1年後元利金償還と言う商品ですが、20年後に償還するという商品もあり、その場合だと毎年利息だけが顧客のもとに支払われます。これだと十分に資金繰りが回りますね。円天の話を思い出しました。

 

 さて、泛鑫保険代理は最初に300万元をもらっているわけですが、海康保険に対しては20年分割払いなので初年度分の15万元だけを支払い、自らの懐には285万元残るというわけです。これらが積もり積もって5億元高8億元だかになってそれを美人総経理が持ち逃げしてしまったというわけです。まあ、やってることは横領もちろんのこと詐欺も入っていますね。なんでも泛鑫保険代理は物凄い急成長ぶりで業界内でも目立った存在だったようで、2012年には上海で最大の保険代理店にまで上り詰めたそうです。しかし、詐欺的な手口によるものだったということですね。大手でこんなことされると他の保険代理店との契約も怖くてできないですよね。これから金を返せと言う保険契約者が続出するので、たぶんこの会社たぶん潰れちゃいそうですね。

 

 教訓としては、保険会社の商品内容と保険代理店の説明が矛盾している時点で慎重になるべきということになりますね。