呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

これは真似できないわ~終身雇用以上に凄い~

2013年04月07日 | 日記

 中国の空調大手メーカーに格力という会社があります。この会社の董明珠董事長は『市場烈々-13億人に売りまくった「鉄の女」の物語』という自伝が書籍化されており、中国ビジネスに携わる方であれば読まれたことのある人も多いかもしれません。

 

 

 

 

 

 さて、この格力という会社が各従業員に対して20�の宿舎を用意しており、結婚すれば二部屋50�の家を提供し、格力で働いている限りその家を返す必要はなく、定年退職でも返す必要はないというのです。社内結婚だとこの2倍の面積がもらえるのでしょうかと思った私は小市民でしょうか。昔の国営企業みたいなことを今この時にやっているところがあるとは。

 

 この制度のおかげと言い切ってもいいと思うのですが、勤続期間3年以上の従業員が離職するのは極めて少ないそうです。中国では不動産価格が高騰しており、自らの収入で自宅を購入するのがどんどん難しくなってきています。そこで格力は自分で家を持つことができないという不安を解消するためにこのような大胆な政策を行ったのでしょう。ある程度のポジションの人だとそれなりに高給でしょうからそのうち自分で自宅を購入すると思われるので、これだけ気前よくしてあげられる対象はワーカーが中心なのではないかと思います。これだけしてもらったらそりゃあ辞めないですよねえ。

 

 決算書を見ますと2011年末で従業員が約73千人、そのうち生産に携わるものが61千人いるので、みんながみんなというわけではないと思いますが、それでもものすごい数の住居を用意してあげないといけなくなります。よっぽど資金力があるのでしょうか。こんなリテンション対策はじめて聞きました。これはさすがに真似できないですよね。ホント、終身雇用よりすごいと思います。