呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

規定に違反する人民元転に対する処罰

2011年12月20日 | 日記

 2011125日付で《国家外貨管理局総合司:外商投資企業の資本金人民元転規定違反行為の定性と処罰の適用法規の根拠に関する通知》(匯綜発[2011]135号)が公布されました。外商投資企業が規定に違反して人民元転するケース、無断で人民元転資金の用途を変更することとその処罰に関する通知となっております。

 

1.担保または保証金名目での人民元転

(1)  違法人民元転行為

外商投資企業が虚偽または無効の担保プロジェクトを利用して担保または保証金名目で人民元店する行為。

(2)  無断で人民元転資金の用途を変更する行為

外商投資担保が担保または保証金名目で人民元転したものの、実際に契約履行せず、人民元転後の資金を政府審査批准部門が批准した経営範囲以外に使用する行為。

 

2.土地保証金名目での人民元転

(1)  違法人民元転行為

外商投資企業が土地入札をでっち上げて土地保証金名目で人民元転する行為。

(2)無断で人民元転資金の用途を変更する行為

外商投資企業が入札に参加して土地保証金名義で人民元転して、且つ落札していないのに人民元転資金を政府審査批准部門が批准した経営範囲以外に使用する行為。

 

 1と2に関してはもっともらしい内容のように思えますが、そもそも担保金と保証金は過去の通達では原通貨で振替えなければならないにもかかわらず、この通達を読む限りでは保証金や担保金を人民元転して、真実履行し、その人民元を政府審査批准部門が批准した経営範囲内に使用する場合は、この人民元転支払いはOKということになります。

 

3.企業間または企業・個人間の借入または立替金お支払または返済を名目とする人民元転(ここでいう借入先に該当する企業は銀行等の金融機関をいいます)

(1)違法人民元転行為

外商投資企業が企業または個人からの借入または立替金の返済を名目とする人民元転、企業または個人に貸出または立替金を提供するための人民元転、企業または個人に代わって借入れ、立替金を返済する当の名目の人民元転。

 

4.既に使用した自身の銀行借入または銀行委託貸付の返済を名目とする人民元転

(1)  違法人民元転行為

外商投資企業が既に使用した自身の銀行借入または銀行委託貸付の返済を名目とする人民元転ながら、貸出資金が使用されていないまたは自身の正常生産経営範囲内に使用されていない。

(2)無断で人民元転資金の用途を変更する行為

外商投資企業が既に使用した自身の銀行借入または銀行委託貸付を返済する名目での人民元転ながら、人民元転資金を企業自身の銀行借入または銀行委託貸付の返済に使用しない。

 

5.持分投資を名目とする人民元転

(1)違法人民元転行為

持分投資を名目とする人民元転。

 

6.無効な契約を使用または虚偽発票を使用して人民元転したのちに発票を廃棄

(1)  違法人民元転行為

外商投資企業が無効な契約または虚偽発票を使用して人民元転する行為。

(2)無断で人民元転資金の用途を変更する行為

外商投資企業が人民元転後に発票を廃棄し、人民元転資金をその他用途に使用または人民元口座に滞留させる行為。

 

関連会社または相互に影響のある企業間で発票を適当に用意し、その後用済みになった発票を廃棄するというケースが多いのですが、これは流動資金貸出において多くみられる問題であります。

 

7.手元準備金名義での人民元転

(1)  無断で人民元転資金の用途を変更する行為

外商投資企業が頻繁に手元準備金名目で人民元転し、大量の人民元天使金を人民元口座に滞留させる明らかに異常な行為。

外商投資企業が準備金根目で人民元転し、明らかに準備金用途での使用を超える人民元転。

 

8.前払い金名義での人民元転

(1)  違法人民元転行為

外商投資企業が架空の契約を捏造して前払い金名義で人民元転する行為。

(2)  無断で人民元転資金の用途を変更する行為

外商投資企業が真の取引背景のある前払い金名目の人民元転ながら、申請した用途の通りに人民元転資金を使用しない行為。

 

規定に違反する資本金の人民元転は非常に多いようで、外貨管理局も大きいものは取り締まり、小さいものには目をつぶるというような現象もあるといいます。少しでも抑止効果を出すためにこう言った通達を公布したと考えることもできますね。