呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

最近の融資規制について

2007年12月06日 | 未分類
前回書いた日記が11月19日であり、2週間以上も間隔が開いてしまった。仕事が一時的に集中したことと体調を崩したために間隔があいてしまったが、この間にも色々なことが起こったようである。特に融資規制については頭の痛い問題だろう。聞いたところによると今のところは人民元が対象となっており、外貨については対象となっていないようだ。現在の経済の加熱振り、特に不動産の過熱ぶりからしておそらくこの動きを抑えることを狙いとしているのだろう。新聞報道等で見る不動産の加熱ぶりを紹介する記事を見る限りでは対象の中心は不動産の加熱抑制を目的としていると思われるが、今回の融資規制は業種が特定されているわけではない。そのため、それ以外の業種で真面目に活動している企業にとっては困った話である。

 今の状態が続くと親子ローンへのシフトが考えられるだろう。中国国内で調達した外貨は人民元転できないが、国外より調達した外債であれば手続きを踏めば人民元転することが可能だからだ。

 また、融資規制が外貨にまで及びことは当面ないように思う。中国国内で調達した外貨は人民元転できず、基本的には海外との間の決済資金として使用されるため、不動産業への影響は及ばないと考えられるからだ。

 中国の決算は12月なので、12月末さえ過ぎればこのような動きが収まるというのであればよいのだが。

 上とは関係ない話だが、12月17日にJETRO上海主催の保税監管区域外貨管理弁法に関するセミナーで講師を務めることになった。興味のある方には是非ご出席いただきたい。

【同セミナーの詳細について、下記のアドレスよりご覧ください】
http://www.jetro.go.jp/biz/world/asia/events/20071205814-event


全人代常務委員会法制工作委員会の責任者の労働契約法についてのコメント

2007年12月06日 | 未分類
今回は、全人代常務委員会法制工作委員会の責任者が労働契約法についてコメントしたので、その主な点について紹介していくことにする。なお、⇒の後は私のコメントである。

(1)勤務年数のゼロクリアは違法
  一部の企業で見られた労働契約法施行前、つまり今年中に労働契約を解除し再雇用することで勤務年数をいったんゼロクリアする方法は違法だとの見解が示された。形式上「自主退職」したとしても労働関係が連続しているという事実を変えることはできないとの見解が示された。

⇒あまりに露骨な場合このようにみなされてもしょうがないだろう。

(2)無固定期限労働契約は「鉄飯碗」ではない
「鉄飯碗」とはいったん就職すれば真面目に働かなくても解雇される心配がない現象をさすが、無固定期限労働契約は決してこれに該当しないとしている。無固定期限労働契約であっても、①会社と労働者が協議一致した場合、②労働者が法律や規定違反をした場合または病気、ケガ等で職務に耐えられない場合、③経済性人員削減、の場合は契約を解除できるとしている。これは固定期間労働契約と同じであり、従って無固定期限労働契約は決して「鉄飯碗」ではないとしている。

⇒しかしながら、労使間で争議が発生し、仲裁等が行われた場合の企業側が勝つ確率が極めて低いことから、企業としては「鉄飯碗」を恐れるのは致し方ないことだろう。


(3)労働契約法実施細則お呼びし法解釈は制定作業中
11月下旬から12月上旬にかけて労働契約法の実施催促が公布されるといわれていたが、国務院及びその関連部門はまさに実施細則を制定作業中であり、最高人民法院も司法解釈を出すとのことである。

⇒公布され次第取りまとめる予定にしている。私としても公布されるのが待ち遠しい状態だ。