呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

8割以上の従業員が3割以上の賃上げを希望

2015年12月23日 | 日記

 人件費コストがかなり上がってきている中国。それでも従業員としてはより高い給料が欲しいもの。経営者としては安い給料でしこたま働いてほしいと思う人もいれば、成果・努力に見合った給料をちゃんと支給したいという人もいます。さて、そんな会社と従業員の関係、お互いはどのように考えているでしょうか。北京でランダムに行われた調査の結果を紹介します。

 

1.従業員

 90%が現在の給料に不満。

 10%が賃上げを要求。

 80%が賃上げしてほしいけどもいい出せない。

 62%が3から5割上げてほしいと思っている

 21%が5割以上上げてほしいと思っている。

 3割以上上てほしいと思っているのが83%ということになりますが、厚かましいにもほどがありますな。私もサラリーマン時代はもっともらいたいとか、もっともらってもいいはずと思ったりしていましたが、今思い返すと単に欲望にきりがないだけで、働きに見合う、いや、分相応以上のサラリーをもらっていたと思います。サラリーマンのままでいればいつまでも欲望にきりがなくもっともらいたいと思っていたかもしれないですね。さすがに3割アップとか5割アップまでは想像すらしたことはなかったですが。しかし、3割とか5割も上げてほしい人って、ちゃんとそれだけのパフォーマンスを出しているのかね?

 

 

2.経営者

 11%が賃上げ計画なし

 83%が賃上げ計画あり

 82%が賃上げは業績に基づく

 

 そして、従業員が賃上げを要求した場合の経営者の反応というのが、

 58%が統一的に段取り。⇒まあ、一人だけ上げるわけにはいかないので、上げるにしても全体を見てということでしょう。

 22%が状況を考慮する。⇒なんとも温情的な。

 13%が不可能。

 

3.転職

 さて、思い通りの給与を得られない従業員は、より高額な給与を求めて転職する人も出てきます。

 13.7%が新勤務先の入社手続き中または現勤務先の離職手続き中

 39.3%が履歴書を更新。

 37%が転職の意向を示す。

 中国の羨ましいのは(中国に限らないと思うが)、日本と比べて転職するという行為が割と当たり前なこと。日本でも以前と比べて転職する人が増えてきましたが、やっぱりまだずっと同じ会社で勤め上げるという人が多いでしょう。、退職金制度なんかも長年勤めている人が優遇される建付けになっているので、経済面を考えた場合、給料がそんなに上がらない転職は障害所得で見るとマイナスになることは十分あり得ますよね。

 


世界初の生物工学によって作られた角膜「艾欣瞳」

2015年12月04日 | 日記

 年5月の時点ですでに発表されていましたが、中国再生医学国際有限公司は中国器械、国控陕西、広東三信、天津生物、浙江衛材、江蘇淮海等の有名な医薬企業と戦略協議を締結し、全国範囲内で正式にこれを販売することになりました。


 


 中国は世界で最も盲人の多い国の一つであり、2010年の報告によると、盲人が824.8万人で、これは世界の18%を占めています。このうち、角膜疾病は失明をもたらしやすく、発展途上国では白内障に次いて失明の原因となっています。2006年に行われた調査でも角膜病により盲人となった患者が約400万人、この85%が感染性角膜病が原因で、毎年角膜盲患者が10万人も発生しているとのことです。角膜は移植できるものなのですが、毎年の献体数は5000にに満たない水準にあります。遺体を提供するというのは抵抗があるようですが、このあたりはおそらく日本も同じで、アジア的な考えなのかもしれません。

 

 さて、これが発売されることで、角膜移植さえできれば失明することもなかったようなケースでも、失明を防ぐことができることが期待されるわけでありますが、果たしてどの程度の価格になるでしょうか。あんまり現実離れした金額だと一般庶民には関係ない話になりますし、かといってあんまり安いものだと本当に大丈夫なのかという疑念が出てしまいます。そして調べたところ価格は約1.5万元(約30万円)ののこと。これが一つなのか一組7日分からないのですが、決して手の届かない金額ではないですね。5月に発表された試験結果によりますと、総有効率が94.44%、治療後の効果も角膜移植に近いレベルにあるとのことです。なかなかの水準ですね。こういうものが中国発で作られる時代になったのですね。とはいうものの、この分野での中国企業はブランド力がないので、欧米企業のどこかで同じようなものが作られればすぐにそっちの方が人気が出てくるような気がします。自分をその立場に置き換えてみればわかると思うのですが、同じようなもので中国企業製品とフィリップス製品があればそりゃあフィリップス製品を選ぶでしょう。技術力を竹馬手こういう製品を作れるようになるのはもちろん大事ですが、中国企業の場合はもう一方でブランド力もつけていかないと製品のプレゼンスもなかなか上げていくのは難しいでしょうね。


セミナー代金踏み倒し

2015年11月26日 | 日記

 11月12日に東京でセミナーをした時の話。この日はゲストスピーカーに内田さんを招いて越境ECに関するセミナーを行いました。受付時にバタバタしないように基本的にはセミナー代金は事前に振り込んでもらうようにしていますが、一部の方で当日にお支払いする方もいます。この日は受付担当も用意して、その仕分けも滞りなく行うことができるものと思っていたのですが。。。

 

 セミナーが終わってからわかった話。まだセミナーが始める前にある人から「お久しぶりです」と声をかけられたのです。いろんな方から同じように声をかけられるのですが、その挨拶してきた方とは以前お会いしたという印象がなかったのです。今までたくさんの人に会ってきているので、そういう人もいるだろうということで気にせずに「どうも」と挨拶を返したのであります。実はその人はセミナーに申し込んでいなかった人なのですが、セミナー入場の受付をしていないことに気付いた受付担当が受付をしようとしたところ、「後で呉さんと打ち合わせがあるので来ました」といい、資料を受け取らず、そして受付登録をせず、当然セミナー代金の支払いも行いませんでした。私自身はセミナー終了後は場所を移動してクライアントとの会食があったので、セミナー終了後に打ち合わせをする予定などそもそもなかったのです。で、その人は結局セミナーを最初から最後まで聞いて、終了と同時に風に用に去っていったのであります。いやあ、こんなの初めてだわ。受付担当としては打ち合わせがあると言われるとなかなか言い返しづらく、しかも私自身もセミナーのスピーカーや司会進行もしないといけなかったので、私に確認することもしづらく、結局踏み倒されてしまった次第であります。結局どこの誰だかわからず、メチャメチャゃむかつく!


 似たようなケースは前職時代にもありました。顧問先は参加費無料としたセミナーです。顧問先でもないのに私がいないときをわざと狙ったのか、顧問先と言い張りやはり代金を踏み倒した企業がいます。会社の名前を聞けばそれなりに知られている企業の人なのですが。どうしてそんなことするかなあ。


 というか、セミナー代金ってそんなにケチらないといかんもんですか?お金に見合わないと思えばそもそも来なければいいだけの話ですし、聞く価値があると思うのであればお金を払えばいいのです。世の中は無料セミナーもたくさんありますので、お金は払えないけど聞きたいというのであればそういうのに参加すればいいのです。


 踏み倒された悔しさはもちろんあるのですが、この程度のお金を踏み倒そうというその企業やその人の行動が残念ですし、どうして情報をとることに対してそこまで必死になってケチろうとするのかなあ。がっかりですし、むかつき度合いMAXですわ。


いろんなお仕事

2015年11月25日 | 日記

 世の中にはいろんなお仕事があります。楽しいお仕事、面白くないお仕事、ストレスのたまるお仕事、日本でもそうですし、中国ももちろんそうです。

 

1.成人用品のモニター

 成人用品、いいかえると大人のおもちゃ。もちろんおもちゃだけではなくて、体内にいれるような薬品に近いものもあります。日本だと人目を忍んで買う成人用品。中国でも同じかと思うのですが、なぜか薬局にもあれば軽いものだとコンビニあたりでも売っています。販売ルートだけ見ると需要はかなり多いのでしょうか。もちろんお店で買うのが面倒、或は恥ずかしいという人であればネットで購入する人もいるでしょう。年間3000万人以上もネットで購入するのが増えているとのこと。

 さて、この成人用品ですが、情趣体験師なる仕事、日本語にすると大人のおもちゃのモニターというのが一番わかりやすいかと思うのですが、なんと年収20万元(約400万円)!必要とされる条件はもちろん、「精力旺盛」です!

 

 就業難易度:一つ星

 就業リスク:五つ星

 

 

2.大学進学コンサルタント

 学歴がその後の人生を決めてしまう、中国でもそう考える人は少なくありません、というか多いです。大学生も絶対数の少なかった以前ほど価値はなくなってきたかもしれませんが、それでも大学を卒業するというのは社会に出るうえでの武器であるには違いなく、毎年のように大学ランキングが発表されています。こんな世の中になってきたこともあり、大学進学コンサルタントなる職業が存在しています。

 さて、待遇ですが年間勤務期間は6-8日程度と短く、しかし一回当たり2千元から8万元までと非常に幅の広い報酬体系となっています。8万元クラスの仕事が2本来れば大人のおもちゃのモニターに近い水準になりますね。

 就業難易度:五つ星

 就業リスク:二つ星

 

3.愛人別れさせ屋

 別れさせ屋という職業は日本でも聞いたことがありますが、同じような職業ですね。ただし、ここで紹介されているのは愛人別れさせ屋です。

 2014年の離婚員数は2003年のなんと3倍にまで膨らんでいます。すべてが愛人によるものと思わないですが、こんな職業が紹介されるくらいなのでそれなりにあるのでしょう。金持ちが増えてきたのに伴い愛人ニーズが増えてきたことによるのでしょうか。

 報酬ですが、相談料が100元/h、出勤費という概念がありますが、実際に相手と交渉することを指しているのでしょうか、1万~50万元とこれまたレンジが大きいです。結構稼げそうですが、ストレスも大きいと思います。また、半年以上の研修が必要で、そのコストは30万元も必要とのこと。この職業でここまで投資するのはちょっと割に合わないような気もしますね。

 

 就業難易度:三つ星

 就業リスク:三つ星

 

 

4.投資理財体験師

 日本語だと投資顧問というのがわかりやすいですね。報酬は20万元/年、なかなかです。成績がよければもっと上も目指せるでしょう。

 

 就業難易度:一つ星

 就業リスク:五つ星

 

5.プログラマー奨励師

 うまい翻訳が見つけられなかったのですが、プログラマーにはっぱをかける人のことです。なんでも中国ではプログラマーは20-40歳の幅で分布しており、男性は何と女性の4倍以上もいるとのこと。男性プログラマーに女性をあてがって効率を挙げさせようというものです。漫画家や小説家の締め切りを見張る出版社の人のような存在と言えば聞こえはいいのですが、これに関しては、えらく単純な仕事です。しかしこれがなんと毎月16千から18千元もの収入になります。

 

 就業難易度:一つ星

 就業リスク:一つ星

 

 

 

 いろんな仕事がありますね。ちょっと変わったものもあれば今の中国の世相を表してそうな職業もありますね。


アルペン中国の道険し

2015年11月24日 | 日記

 中国の新聞に日本のスポーツショップのアルペンに関する記事を見かけました。日本にあるスポーツショップアルペンになじみのある人は多いと思います。しかし、中国に出店していることに対して印象の強い人はあまりいないのではないでしょうか。進出当初の計画は7年以内に100店舗の出店だったのが、ふたを開けてみると3年でわずか4店舗しか出店してらず、しかもそのうち1店舗閉鎖。最近虹橋駅付近の虹橋天地というところで1店舗オープンしています。ちなみにスポーツ用品を販売する店舗とゴルフ用品を販売する店舗では屋号が違っていまして、スポーツ用品を販売するのがsportsdepo、ゴルフ用品を販売するのがGOLF5とう名前になります。

 

 上海に住んでいてスポーツショップといえばデカスロン。毎年かなりのペースで出店しており、今年3月時点で125店舗もあります。私も何度も行ったことがあります。店内は広く、品ぞろえも豊富、見ているだけで楽しいのです。これに対してアルペンはまだ3店舗、出遅れ感は否めません。ところが、中国の総経理は特段心配していないようです。なんでも、100近くの商業施設から出店の引き合いが来ているとのこと。スポーツ用品に対するニーズが増大していることと、商業施設の増加を前向きな材料と考えているようです。現在中国にはすでに3500ものショッピングモールがありますが、多くの都市の空室率は6%を超えています。このような状況なので、総経理は、「今は相手のほうが発言権があるかもしれないが、きっとそれが逆転する日が来る」とコメントしています。商業施設の増加は近年ずっと言われていることですが、中には閑古鳥のなく商業施設も少なくありません。ショッピングモールの発言権が弱くなることはショッピングモール自体の力がなくなることを意味するので、あまりこれがいきすぎるのもどうかなあと思います。

 

 アルペンはショッピングモール内店舗が基本である(自ずと店舗面積は郊外型より小さくなる)のに対して、デカスロンは郊外型の独立店舗が多く、面積も広く、並べられる商品も多く、店内も広いので店内で体験することもできます。デカスロンはこのスタイルが売りなのですが、アルペンの領域であるショッピングモール内店舗への進出を始めようとしているようです。これに対して総経理は日本の商品はきめ細やかで品質がいいのでデカスロンを恐れることはないと考えているようです。メディアの取材なので弱気な発言はできないのでしょうが、もうちょっと警戒心があってもいいのではないかと思いました。

 

 デカスロンとアルペンの違いとしてPB商品とNB商品の比率の違いがあります。デカスロンで販売されている商品は大多数がPBで、NBは非常に少なく、アルペンはPBが70%、NBが30%あります。アルペンのPBは10数種類ありますが、同類の商品であればPB商品の価格はNBの半分くらいでターゲットはミドル層においています。一度上海のアルペンで買い物したことがあります。残念ながら客数はまばらでしたが、価格は思ったほど高くなく、いや、むしろ安く、いい買い物ができたと思ってます。

 

 最後にもう一つアルペンの特徴。ゴルフ用品の売り上げが日本では多く、中国でもゴルフ用品売り場に力が入ってます。そういえばデカスロンではゴルフ用品を見かけた印象がないですねえ。そういう意味では差別化ができているということなのですが、中国のゴルフ用品市場、一時盛り上がったものの、贅沢禁止令等の関係もありここ2年は45%の落ち込みだそうです。しかしまだまだ中国のゴルフ用品市場は伸びているとみており、その理由として、日本には2500のゴルフ場がある一方で、中国には250しかない点を挙げています。ここで素朴な疑問なのですが、そもそも中国って250しかゴルフ場がないものなのでしょうか。こんなに大きな国なのに。正規の認可を取得したのが250しかなく、公園名目で作ったいわゆる非正規のゴルフ場がたくさんあるのではないでしょうか。とにかく250じゃきかないでしょう。また、最近では非正規のゴルフ場が閉鎖させられているというニュースも聞かれますので、実質的にはゴルフ場は減少傾向にあるのではないかと思います。加えて上にも書いたように贅沢禁止令。普通に考えればきっとゴルフ用品市場も右肩上がりで伸びていくのでしょうが、この二つのマイナス材料って結構キモだと思うんですよね。

 

 ショッピングモールの増加とゴルフ用品市場の潜在力、プラス要素とマイナス要素を比較した場合、果たしてどちらの要素のほうが強いでしょうか。日本を代表するスポーツ用品店として頑張ってほしいと思います。