ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第102巻-2CRAZY PARK

2007-10-20 23:47:20 | 第101巻~第105巻

■CRAZY PARK(第344話) 発表1993年5月

評価   ★★★★

依頼人  ウイルキンスの側近シャロン

ターゲット なし

報酬    なし

今回弾丸発射数       6/ 通算弾丸発射数 1,910

今回殺害人数         4/ 通算殺害人数   4,059

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    97

<ストーリー>
事業家「ウイルキンス」は求めるものすべてを手中に収めてしまい、暇を持て余していた。側近からゴルゴの存在を聞かされたウイルキンスはゴルゴとの対決を愉しもうと・・・

<この一言>
この茶番はなんのつもりだ?

<解説>
事業家「ウイルキンス」は刺激を求めていた。側近「シャロン」からゴルゴの存在を聞かされたウイルキンスは命を賭けたゴルゴとの対決を企てる。

資金力にものを言わせて偽のテーマパークを作り、センサーで稼働する早撃ちロボットでゴルゴに挑むウイルキンス。西部劇を模したテーマパークにゴルゴが現れると、出迎えのロボットがゴルゴに発泡、さらに建物の爆破など波状攻撃がゴルゴを襲う。逃れた屋敷にはなんとゴルゴのホログラフィーが待ち受けていた。ゴルゴの早撃ちスピードは24分の4秒(0.17秒)であるが、この早さを上回る0.13秒に設定された「ゴルゴ像」に戸惑うゴルゴ。

ゴルゴ像が熱センサーに反応していることを見破ったゴルゴは、消火器を噴霧してビデオカメラの視覚を遮ると同時に熱センサーも誤動作させる。さらには燃えさかるランプを投げつけて照準をそらした上で、ロボット照準アームを撃破する。ゴルゴに牙をむいたシャロンとウイルキンスらを葬り去ってテーマパークは終焉を迎える。

刺激を求めてゴルゴと対決し命を落としてしまうパターン。”テーマパーク”をわざわざ作り、ハイテク・ロボットでゴルゴと対決させるあたりが、90年代のテーマパークブームとハイテク・ロボット大国日本を象徴しているようで面白い。ゴルゴの早撃ちスピードが24分の4秒(0.17秒)というのは第18巻-1『動作・24分の1』に記されている。また、第53巻-3『ズドロナス・マリヨ』でゴルゴは、「今後、二度と俺の複製品を創ったら・・・製造者も必ず・・・抹殺する・・・!!」とのセリフを吐いているが、本作でもゴルゴのホログラフィーを作った研究者が抹殺されている。

ズキューン

ゴルゴ13 (102)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
★ゴルゴ・グッズ紹介 デイブ・マッカートニーの店★

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ゴルゴ13第102巻-1メデジンカルテル

2007-10-19 23:56:27 | 第101巻~第105巻

■メデジンカルテル(第343話) 発表1992年11月

評価   ★★★★★

依頼人  コロンビア大統領ガビリア

ターゲット メデジンカルテル”ドン・ファビエ”

報酬    不明

今回弾丸発射数      17/ 通算弾丸発射数 1,904

今回殺害人数        14/ 通算殺害人数   4,055

今回まぐわい回数     1/  通算まぐわい回数    97

<ストーリー>
世界最大のコカイン密輸拠点のコロンビア・メデジン市。メデジンカルテルの”ドン・ファビエ”は大統領と和解をするが・・・

<この一言>
命と引き換えの仕事だからな・・・ハラをくくってかからなきゃあと思っているよ・・・

<解説>
世界最大のコカイン密輸拠点であるコロンビア・メデジン市。メデジンのコカインを牛耳る”ドン・ファビエ”はメデジンカルテルのドンとして君臨していたが、ガビリア大統領との和解を図り、表向きはコカイン撲滅に協力する姿勢を見せていた。

メデジンカルテルの大物「エステバロ」は脱獄後ファビエと再会するも、ファビエの和解方針に異議をとなえファビエと対立する。エステバロはドン・ファビエの命を狙い、一方ドンはエステバロの裏切りを許さずエステバロ殺害に動く。エステバロは側近に殺されるが、ゴルゴが自らの命を狙っていると知ったファビエはビルに籠城、逆にゴルゴに刺客を向ける。ファビエとエステバロを仲違いさせるのはガビリエ大統領の作戦であり、大統領はゴルゴにファビエの殺害を依頼していたのである。

シャワーを浴びている最中に襲われたゴルゴは、ブリーフ一丁に拳銃を持って35階建てのビルの屋上に逃れる。拳銃に弾丸が残り一発となるや、ビルの屋上からダイブ。落下しながらビル内のファビエを狙撃し、貯水槽に飛び込んで逃走する。35階建てビルの屋上から飛び降り、水深1メートルの貯水槽に落下して難を逃れたのであるが、事前に下見をしていた様子が描かれていることから計画的な行動だったのであろう。

ビルから落下しながらの狙撃、35階建ビルの屋上から貯水槽に飛び込み生還する一連の奇跡的な離れ業が見事である。落下しながらの狙撃は、狙撃タイミングが限られること、驚異的な動体視力が必要とされることから、ゴルゴ史上最も難度の高い狙撃の一つである。水深1メートルの貯水槽に飛び込むに際も、着水面積を極力小さくした上で着水の瞬間体を開き、水の抵抗を利用して貯水槽の底への激突を避けている。飛び込み選手にも困難と思われる着水も、ゴルゴにかかればリアリティのある方法であると思えてしまう。ゴルゴが描かれている全てのコマに命が吹き込まれている力作で、隠れた名作のひとつである。

ズキューン

ゴルゴ13 (102)巻掲載
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ゴルゴ13第101巻-3カオスの帝国

2007-10-17 23:41:10 | 第101巻~第105巻

■カオスの帝国(第342話) 発表1993年1月

評価   ★★★★

依頼人  ①アイリーン・ジョゼフソン②人権擁護団体③ブラントン未亡人

ターゲット ①レーガン大統領報道官ジム・ブライトン②③アイリーン・ジョゼフソン

報酬    ①不明②不明

今回弾丸発射数       2/ 通算弾丸発射数 1,887

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   4,041

今回まぐわい回数     1/  通算まぐわい回数    96

<ストーリー>
無秩序に見える現象も実は一定のパターンを成しているというカオス理論。カオス理論を社会学に応用し、群衆を一定方向に導くことでゴルゴの狙撃を阻止しようとする社会学者が現れ・・・

<この一言>
俺が最適かどうかは、依頼内容による・・・

<もう一言>
俺の評価に対する気遣いなど無用だ・・・

<さらに一言>
それが用件なら警察へ行け・・・
狙撃以外の用件なら、他をあたれ・・・

<解説>
UCLAの「アイリーン・ジョゼフソン」は社会カオス理論の提唱者として名高い女性学者。無秩序に見える現象も一定のパターンが見受けられることに着目したカオス理論を群集心理に応用して人々の行動を予測・誘導する社会カオス理論を唱えたアイリーンは、レーガン大統領報道官ジム・ブライトン狙撃事件、ブライトン法案可決後のニューヨーク暴動を自らの理論を駆使して創出する。

社会カオス理論確立のためさらなる実験データを得ようと、アイリーンはゴルゴを利用することを思い立つ。リベラル派のデモ対して妨害を企てるようKKKに依頼する一方で、KKKへの接触を人権擁護団体に自らリーク。人権擁護団体がゴルゴに自身の狙撃をするよう仕向ける。社会カオス理論で群衆を誘導しゴルゴの狙撃を失敗に終わらせるような計画を立てる。自らの命を賭けて社会カオス理論の正しさを証明しようというのだ。

ゴルゴはブライトン未亡人に呼び出され、アイリーンの狙撃を依頼されるが、既にアイリーンの狙撃依頼を受けているため未亡人の申し出を断る。しかし、未亡人に対しデモ当日にアイリーンに接触するように誘導するゴルゴ。デモ当日、未亡人はアイリーンに詰め寄り衆人の注意を惹きつける。アイリーンのシナリオではカオス理論が群衆を導きゴルゴの狙撃を妨害するはずが、未亡人という特異点の発生によりシナリオが崩れてしまい、アイリーンはゴルゴの標的となって最期を迎える。ゴルゴをシナリオにのせたはずが、ゴルゴの創出したカオスがアイリーンのシナリオを崩したのである。

アメリカの恥部・暗部である事件を、陰謀として描いたシナリオが素晴らしい。また、天才社会学者が美貌の女性でしかも淫乱であるという設定が、男性読者のカオスを誘発して飽きさせない。ゴルゴも第91巻-1『黄色い害虫』以来のまぐわいとあって、アイリーンと濃密なからみを見せている。どうでもいいことだが、ゴルゴはこの間SPコミックス掲載順で41話セックスレスであり、ここまでのセックスレス最長記録である・・・

ズキューン

ゴルゴ13 (101)巻掲載
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ゴルゴ13第101巻-2種子探索人

2007-10-15 23:57:44 | 第101巻~第105巻

■種子探索人(第341話) 発表1992年8月

評価   ★★★

依頼人  英国王立植物園フォレスト園長

ターゲット 正体不明の黒い悪魔

報酬    不明

今回弾丸発射数       8/ 通算弾丸発射数 1,885

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   4,039

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
チベットで種子探索人が次々と行方不明に。”黒い悪魔”との言葉を残して種子探索人が自殺しているという・・・

<この一言>
植物園の説明がいつまで続くのだ・・・?その説明は依頼内容に関係があるのだろうな・・・?

<もう一言>
相手を間違えたようだ。俺の仕事内容に救助はない・・・

<さらに一言>
医者代に使え・・・いいから早く行け!

<解説>
アメリカでは農作物の遺伝子組み替えによる穀物栽培のため、世界中から植物の種子を収集していた。イギリスではガーデニングの伝統から園芸植物を中心に種子の収集が進められていた。しかし、両国の”種子探索人”が次々とチベットで行方不明になる事件が発生。行方不明者は錯乱のうえ「黒い悪魔」と叫んで自殺しているという・・・

イギリス王立植物園フォレスト園長は、命の恩人でもある親友のオールマンがチベットにて種子の採集をしていることを心配し、ゴルゴに接触する。ゴルゴにオールマンの救出を依頼するも、「俺の仕事内容に救助はない・・・」と断られる。それではと「黒い悪魔」の狙撃を依頼するとゴルゴはこれを応諾、チベットへ向かう。

オールマンはチベットの案内人「廉」に連れられて種子の採集を続けていたが、廉はオールマンにケシを溶かしたお茶を飲ませて正常な判断力を奪い、チベットに伝わる鳥を呼び集める技を用いて鷲を呼び寄せ、黒い悪魔の襲来と思わせてガケからの転落死を狙う。転落寸前、ゴルゴの銃弾がオールマンの肩をかすめ、オールマンは正気を取り戻し九死に一生を得、廉は誤ってガケから転落し最期を迎える。

遺伝子組み替えの危険性が謳われる前から、種子検索人(プラント・ハンター)なる職業があることを明かす、作者の着眼点の鋭さに感服せざるを得ない。ゴルゴが母子に示す”情”も見逃すことの出来ないポイントだ。

ズキューン

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ゴルゴ13第101巻-1メディアコントロール

2007-10-14 23:16:47 | 第101巻~第105巻

■メディアコントロール(第340話) 発表1992年9月

評価   ★★★

依頼人  フジワラ

ターゲット サトル・サエジマ

報酬    不明

今回弾丸発射数      23/ 通算弾丸発射数 1,877

今回殺害人数        19/ 通算殺害人数   4,037

今回まぐわい回数     0/  通算まぐわい回数    95

<ストーリー>
旧ユーゴスラビア情勢を伝える映像は報道か演出か?アメリカ政府筋の情報操作を巡り・・・

<この一言>
・・・

<解説>
日本国籍の映像プロデューサー「サトル・サエジマ」は、米国国防省(ペンタゴン)の要請で旧ユーゴスラビアの民族紛争に関する映像を制作する。内容はクロアチア共和国内でセルビア人によるテロが発生したものであるが、実際にはアメリカ国内で撮影したフィクションであった。アメリカの軍事介入を世界世論に訴えるために国防省が”ヤラセ”映像の作成を指示したのである。

しかし、過度の演出による情報操作に危惧を覚えたサエジマの師「フジワラ」は、サエジマにユーゴ映像の放映中止を要請する。カネの亡者となり果てたサエジマは、フジワラの要請を拒否した挙げ句、フジワラを殺してしまう。死の直前フジワラは「私が死ぬことになれば、君(サエジマ)も必ず死ぬことになる」との言葉を残す。サエジマが調べたところ、フジワラは万一の場合ゴルゴにサエジマの始末を依頼していたのであった。

ペンタゴンから見捨てられたサエジマは、映像処理基地に立て籠もる。基地は、監視カメラで守られており、外部からの攻撃を衛星放送で全世界に配信できるようになっていた。しかし、ゴルゴは監視カメラを一台ずつ狙撃し、サエジマの”目”を奪う。心臓病を患っていたサエジマは、追い詰められて心拍数が急上昇し絶命する。ゴルゴはサエジマの心臓疾患を調べ上げており、精神的に追い詰めることでサエジマの命を奪ったのである。

映像による情報操作の危険性を警告する作品。テレビゲームのような”無血の戦闘”の映像が戦争の正当性を喚起したこと、油にまみれた鳥の映像がフセイン憎しの国際世論を喚起したことが、作品中で語られている。ボスニア紛争へのアメリカ介入がテーマとなっているが、このボスニア紛争で国際世論操作のためにPR会社が暗躍したことは『ドキュメント 戦争広告代理店』に詳しい。

ズキューン

ゴルゴ13 (101)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
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